こんにちは。PIECESの青木です。
道端の樹木に色が付き始め、日差しが暖かくなってきましたね。まだコロナの脅威は衰えておりませんが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
いつも大変お世話になり、誠にありがとうございます。お知らせしたいことがございまして、ご挨拶させていただきます。
私事で恐縮ですが、4月15日を持ちまして、PIECESの理事を退任し、スタッフとしての勤めもいったん退職することになりました。
PIECESがまだかたちになる前の2015年末頃から関わり始め、ここまで6年間歩んできたPIECESから離れることはとても寂しいですが、みなさまとともにつくってこれた歩みは、私にとってとても誇りであり財産です。
未熟な私をご指導、ご鞭撻いただいたみなさまには本当に感謝してもしきれません。ありがとうございました。
おかげさまで、ここまで歩を止めずに来れたのだと思います。
今回このような決断にいたった背景としては、市場や国家政策などの動きと市民社会の関係性についてもっと真剣に取り組んでみたいと思ったことがあります。
PIECESという市民社会における活動に従事しながら感じていたのは、資金調達や活動をつくっていく際、どうしてもそこの影響を免れ得ないということでした。
市民社会の営みとは、①政府セクター、②市場セクター、③親密圏セクター(家族やプライベート)という3セクター以外の残余の社会活動領域に属するものです。つまり、非政府性(non-govermental)、非営利性(not-fot-profit)、人間関係の公式性(formal)という基準を満たす社会活動のことです(参考:『市民社会論ーー理論と実証の最前線』法律文化社)。
現状の市民社会は、新自由主義のイデオロギーが、NPOの経営にも入り込み(経営手法、ファンドレイズ手法等。そもそも、NPOで活動を推進していくことを経営という表現をすること自体も含まれますね)、公共的な活動も準市場化され、そして市民活動自体にも強い影響を与えています(例:地域主体の市民活動は減退し、個人主義的な活動が増加している等)。さらに、政府の指針にも助成金や補助金も左右されるため、政府の影響ももちろん免れません。
こうした現状を肌身で感じ、市民性というものを掲げて活動する身として、「これからの市民社会は、国家や市場とどういう関係を築いていけばよいのか?」という問いに対して、もっとダイレクトに取り組んで行きたいと思っていました。
そこで、新しい業界に転職して、これまでとは違う角度からこの問いについて考えていくことにしました。
私個人の思いとしては、一人ひとりの権利と尊厳が尊重され、優しい間があふれる未来(PIECESのビジョン)をつくっていくことに変わりはありません。
ですので、新しい分野での仕事に挑戦しつつ、PIECESにもプロボノ、相談役として関わり続け、みなさんと一緒に市民性醸成の歩みを進めて行きたいと思っています。
また、新しいメンバーも加わり、PIECESは自律的に運動していき続けるための体制づくりが進んでいます。
市民性はわたしたちの生活の土壌です。
政治が変わったり、法律が変わったり、生活をささえるインフラ企業が変わったり、たとえ国家という仕組みが変わったとしても、市民性は常に土壌としてわたしたちが生きる社会のベースになっていくのではないでしょうか。
そして、わたしたちのあり方こそが市民性を耕していくものです。
だからこそ、今後もみなさまと一緒に歩んでいけたらと思いますし、今後もこの歩みを止めないよう、みなさんも一緒にもっと動いていけると嬉しいです。
どうか引き続き、何卒どうぞよろしくお願いいたします。
青木翔子