ウクライナなどの海外から来日した子ども・若者たちが日本で安心して暮らせるように、より良い受入体制の構築が少しでも早く進むことを願って、今回はすでに受け入れをしている自治体や支援団体を対象にイベントを実施しました。直前の広報だったのにも関わらず、20名以上の方にご参加いただきました。
イベントではPIECES代表の小澤より、国を逃れて日本に避難してきた子どもたちが安心して暮らせる地域を育んでいく時、心理的およびトラウマインフォームドケアという観点から必要なことをお話ししました。
お話した内容のポイントをご紹介します。
言葉や行動の背景にある願い
子どもは言葉でうまく表現できないことを、別の方法で表現することがあります。そういった時、表面に見えているものだけを大人の思い込みで見るのではなく、その背景にある「願い」や「ニーズ」に向き合い、関わっていくことが大事です。
子どもたちの安全をつくる
トラウマ体験とは、安全が失われる体験でもあります。どんな出来事があったか、どんな風に体験したか、どんな影響が起きているかは、それぞれの子どもによっても、発達段階によっても異なります。体験や感情を安全に共有でき、受け止めてもらう環境が大切です。
大人が勝手に決めたり判断したりするのではなく、感情や思考、欲求や願い、価値観、信頼、経験を安全に出せる場をつくり、トラウマを理解していく必要があります。
トラウマ体験の影響
引き金となる大きなストレスをすぐに表現するわけではなく、周囲の大人が落ち着いてから初めて出てくることもあります。表現していないから大丈夫、というわけではないことを認識する必要があります。そしてトラウマ体験により、からだ(眠れない、だるいなど)、こころ(自分のせい、イライラしたり腹が立つ)、行動(そわそわする、うまく遊べなくなる、やる気が起きないなど)に影響が出ることがありますが、安全が確保され、日常が戻ってくる中で落ち着いてくることもあります。
そのほかにも、トラウマによる影響を症状や問題行動ではなく「対処」として考えるトラウマインフォームドケアの考え方、子どもと関わる時にレジリエンスにも目を向けていくストレングスの視点、自分の経験や価値観、信念だけに囚われず、子どものそのままをみてニーズや願いを聴いていくために必要なリフレーミングなどについてもお話ししました。
一時間と限られた時間ではありましたが、参加者からは子どもたちを受け入れるに当たって必要な配慮などについて、具体的な質問が多数あげられました。
改めて受け入れをしている自治体、支援団体の皆さまに敬意を表すると共に、今回のような具体的なノウハウを知る機会、そして専門機関や専門家との連携の必要性を感じる機会となりました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
最後になりましたが、この企画は一般社団法人kuriya代表の海老原周子様のお声がけにより実現しました。改めて感謝申し上げます。