子どもの孤立の解消をミッションに掲げ、子どもたちの生きる地域で市民性醸成に取り組んできた認定NPO法人PIECES(本社:東京都文京区、代表理事:小澤いぶき、以下、PIECES)はこの度、子どもの孤立が解消された「ひらかれたweの社会」の実現に向けた活動を拡充させるため、経営体制を刷新いたしました。また、それに伴い6/21(日)にイベントを開催いたします。
◯ 子どもたちの孤立を生まないために。地域で子どもたちとかかわる市民向け研修を届けてきた4年間
PIECESは、児童精神科医として10年以上医療・行政の現場に携わってきた小澤いぶきが、子どもたちや社会のwell-beingのために立ち上げた団体です。
私たちがこれまで、医療や専門機関で出会ってきた子どもたちは、虐待や貧困などの環境の中で、痛みや心の傷を一人で抱え、孤立の中で頑張って生きていました(孤立とは、ここでは、安全に頼れる誰かがいない環境で、他者や社会への信頼感を失っている状態を意味します)。
私たちは、孤立が深刻化する前に、多様な人たちの優しさや想像力があふれる環境を子どもたちの周りに育んでいくことが必要であると考え、活動をスタートさせました。具体的には、地域で子どもたちによりそう市民を増やすための研修プログラム(Citizenship for Children)の実施や、企業や行政、一般向けの研修・講座などを実施し、述べ3,000名以上に研修を届けてきました。
※Citizenship for Childrenプログラムとは
私たちがこれまで実施してきた、Citizenship for Childrenという市民向けの半年間にわたる研修プログラムでは、子どもたちや地域のためになにかしたいという願いをもった方々とのたくさんの出会いがありました。私たちは、そうした出会いの中で、私たち自身も変化し続けながら、地域や子どもたち自身の中にある、未来への願いを探求してきました。
◯ 一人ひとりが自分の手元から社会を紡ぎ続けていくプロセスの重視へ
現在の取り組みを通して、私たちには気がついたことがあります。それは、子どもの孤立を解消していくためには、まるで部品の欠陥や不備を交換するような機械論的なアプローチでは根本的な解決にはならない、ということです。私たちの生きる社会は、1対1の原因と結果で説明できる単純な構造ではなく、さまざまな要素が複雑に影響しあいながら成り立っています。そのため、1つの課題を1つの解決策で解決しようとしても、他のところに歪みや矛盾が生じることが少なくありません。例えば、虐待の原因は養育者だけにあると決めつけ、養育者を責めるだけでは、虐待という課題そのものを根本的に解決するのは難しいですし、そのことが新たな差別を生んでしまうおそれもあります。また、子どもたちを取り巻く環境を含む社会そのものが常に変化し続けていますので、特定の課題の解決のみに捉われてしまうと、新たに立ち現れてきた別の課題に対応することが難しくなってしまいます。
だからこそ私たちは、複雑な社会を1つの有機的な存在、いわば生命体として捉え、たった一つの最適解という幻想を盲信するのではなく、一人ひとりが生きる一瞬一瞬のなかで、自分たちの手元から社会に関わっていける仕組み・プロセスそのものを作っていくことが大切だと考えました。
◯ 新しい時代の中で、「ひらかれたweの社会」の実現に向けて
私たちは、常に他者や外部環境へ「ひらかれた」状態にあり、お互いに影響しあい、揺れ動きながら存在しています。また、現在拡がっている新型コロナウイルス感染症を含め、私たち人類を取り巻く様々な問題(紛争などの国際問題や気候変動など環境問題、差別などの人権問題など)も、「個人」という枠組みだけでは捉え切ることができない、さまざまな要素が影響しあいながら発生しています。個人を越え、私という存在が、社会や地球環境と相互に響き合うような「we」の感覚をもって捉えてはじめて、「問題」とされていることが私たちに与えている影響の実態に近づくことができます。
私たちは、ひとりひとりがそのような「we」を実感できる未来を「ひらかれたweの社会」と定義します。そのような「ひらかれたweの社会」実現のためには、「市民性」醸成が鍵になると考えています。
ここでいう「市民性」とは、物質の所有や消費、あるいはイデオロギーや特定の価値観に自分の人生の主導権を握らせることなく、自分自身の願いに目を向け、自分の時間を生きることを通して、社会に働きかけていく態度や作法を指しています。それは、個人の能力や結果の優劣を問うものではなく、他者や社会との相互作用のなかで、その瞬間瞬間に立ち現れる、連続的な状態でもあるともいえます。
だからこそ私たちPIECESは、常に市民性を意識し実践し続ける場所(コミュニティ)づくりと、それを支える持続的な経営を目指していきます。
◯ 市民性醸成を広い視野で、持続的に支える経営基盤へ
私たちは時代を超えて、子どもを取り巻く環境に働きかけ、市民性を実践し続けていくためには、グローバルな視点や歴史的な視点を踏まえた上で、現在起きている現象を見渡していく広い視野が必要であると考えています。それは、局所的な判断に捉われるのではなく、今みえていない誰かへの想像力を養う必要があるからです。また、市民性醸成の活動は、短期的にわかりやすい成果が出るわけではなく、継続的に行っていくことが重要です。そのため、理事には、幅広い知見を持ち、多くの社会起業家が紡ぐ「いまこの瞬間」に関わる小野田峻弁護士、メンタルヘルス領域で起業し、現在は幅広い領域での起業家支援を行う荻原国啓氏を迎え、市民性醸成のための広い視点をもちながら持続的な事業展開を目指します。また、監事には、市民性の醸成において土台となる「人権」を軸にビジネス支援を行う佐藤暁子弁護士と、数多くの非営利団体の経営を会計・税務面から支えてきた長田和弘税理士を迎え、健全な経営を目指すことにいたしました。
理事
小野田峻
小野田髙砂法律事務所
盛岡で東日本大震災に遭遇したことをきっかけとして、東京弁護士会内有志の津波被災地訪問企画を立案し、継続的に実施。
2016年11月には、ソーシャルスタートアップ向けシェアオフィス(social hive HONGO、以下shH)併設の小野田髙砂法律事務所を本郷三丁目にて開業(2018年7月には増床。2020年6月時点で、shHに入居している団体は19社)。支援先の団体が向き合う社会課題は、シビックテックや救急救命、日本酒など伝統文化、介護、食と演劇、子ども・若者支援や社会福祉の現場のデザイン、女性の両立不安の解消、出生前検査など多岐にわたる。
法務支援を中心とするビジネス横断的支援にとどまらず、社会課題解決に関連する各種リソースを有機的に連携させることにより、広くソーシャルチェンジメーカーの多様な可能性を未来に繋げる活動を行っている。
荻原国啓
ゼロトゥワン株式会社 代表取締役社長,ソーシャルアントレプレナーズアソシエーション(SEA)代表理事,ピースマインド共同創業者
慶應大学在学中に個人・組織のメンタル面のサポートする社会企業のピースマインド(株)を創業。人と組織の「はたらくをよくする®」メンタルヘルス支援プログラムを提供するアジア最大手企業として、上場企業を中心に1000社以上の支援をするパイオニア企業に成長。2016年ゼロトゥワン設立。社会インパクト起業家輩出のために経営支援、投資育成事業を展開。2018年ソーシャルアントレプレナーズアソシエーション(SEA)を社会起業家メンバーと設立、共同代表理事。ライフワークとしても業種業界問わず多くの起業家/経営者のメンター・エンジェルとして活動中。
監事
佐藤暁子
ことのは総合法律事務所
上智大学法学部国際関係法学科、一橋大学法科大学院卒業。International Institute of Social Studies(オランダ)開発学修士号(人権専攻)取得。
2010年、名古屋大学日本法教育研究センター在カンボジアにて日本法の非常勤講師。2017年、バンコクにある国連開発計画アジア・太平洋地域事務所にてビジネスと人権プロジェクトに従事。2018年より日弁連国際室嘱託、同国際人権問題委員会及び高齢者障害者権利委員会精神保健PT幹事。
バリューチェーン全体の人権デュー・デリジェンスを通じた責任あるビジネスの推進と精神科閉鎖病棟からの地域生活移行に取り組む。
長田和弘
長田和弘税理士事務所
税理士法人勤務を経て2019年2月長田和弘税理士事務所を開業。中小企業・NPOに対するクラウドソフトによる会計支援、業務効率化支援を中心に実施。経営計画策定支援、資金調達支援、助成金・補助金申請、認定NPO支援などを得意とする
【所属】
長田和弘税理士事務所 所長
東京都中小企業診断士協会認定ソーシャルビジネス研究会 代表
一般社団法人ソーシャルビジネス・コンサルタントグループ 代表理事
【保有資格】税理士、中小企業診断士、准認定ファンドレイザー
◯ 6月21日、新しい経営体制で、アニバーサリーイベントを開催
この度の経営体制刷新を踏まえ、新理事・監事をゲストに迎え、アニバーサリーイベント「子どもとの優しい間があふれる「ひらかれたweの社会」にむけて」を開催いたします。ここでしかきけないひらかれたweの社会にむけた市民性やNPOの経営についてのお話させていただく予定ですので、参加希望の方は、以下の詳細ページをご覧くださいませ。
■イベント詳細
日時:2020年6月21日(日)14:00〜16:00
開催:オンライン(zoom)
詳細:https://anniversaryevent2020.peatix.com/