「問い」の先に広がる世界。

誰かの排除や痛みの上に成り立つ社会ではなく、この世界を共にしている異なる存在のそれぞれが大切にされ、誰もが尊厳ある一人の人として大切にされていくような、そんな世界はどう育まれていくのか。
そんな願いからはじまった「#問いを贈ろう」プロジェクト。

今年もたくさんの方々と共に育んできた宝物のような時間となりました。
皆様にとって、この1ヶ月、どんな体験だったでしょうか。

私自身にとっては、問いを通して出会ったたくさんのお返事に触れ、世界の多様さと豊かさを感じ、日々自分がみえていなかった世界と出会い直したような日々でした。

自分の身体に共にいる微生物に、まだ出会っていないこの世界を共にしている人に、隣にいる子どもの見つめる世界に、宇宙の不思議を感じながらこんなにもいろんな存在が共にあることにとに、身体が満ちるような感覚になったり、時代が紡がれて自分が今ここにいることに身体がゆるゆると夜空に溶けていくような感覚になったりしました。

私たちの日常には多様な世界が広がっています。空の景色がその日の大気の状況によって刻々と変化するように、日常に広がる世界と自分は相互に影響しあいながら変化しています。

互いに影響し合いながら自分の暮らす社会が変化しているというのは、実感しづらい時もあるかもしれません。けれど、「問い」を受け取るタイミングにより、どんなことがこころに浮かぶか変化したり、誰かの問いのお返事に触れて自分のこころに新たな感覚が芽生えたりすることは、自分と誰かや世界が交わされ影響し合う瞬間だったように感じます。

「問い」を通じて立ち止まり、お互いの返事を通して新たな世界と出会い、この世界を共にしている自分や他者、未来に想いを馳せることは、共に生きる人や自分に純粋に関心を向けながら、日々の暮らしに、さまざまな願いや想いを発見し、互いにそれを紡ぎながら社会を育んでいくことなのかもしれません。

SNSに飛び交う言葉、街中にながれるニュース、子どもが手にするおもちゃ、横断歩道でふとすれ違う人からのまなざし、暮らす街の文化、かけられる声。
ニュースで知った戦禍から逃れてきた子どもが、自分の街にも暮らしているかもしれない。
自分の使っているものは、あの国のあの地域の人がつくっているかもしれない。

問いを通して、今この瞬間に、そして今まで、これから共にあるさまざまな存在に目を向け、その世界を感じ、受け取り、働きかけていくことの先に、誰もが大切にされる、子どもが子どもでいられる、自分が自分でいられる世界があると私たちは信じています。

今年のキャンペーンは一旦区切りとなりますが、わたしたちは、この取り組みを通して、市民性を重ねあい、優しい間を育みながら、願う社会を皆さんと一緒に広げる営みを続けていきたいと考えています。

改めてこの1ヶ月半を一緒に育み、耕し、広げてくださりありがとうございました。

 

認定NPO法人PIECES 代表理事


▼PIECESからお贈りした、17の「問い」と皆さまからのお返事はこちらからご覧いただけます。
https://toi-pieces.tokyo/