ガバナンス強化に向けた取組に関するご報告

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2021年5月20日
認定NPO法人PIECES

PIECESから皆さまへガバナンス強化に向けた取組に関するご報告

 日頃は、PIECESの活動を様々な形で支えてくださり、心より感謝申し上げます。

 かねてより、私たちは、子どもの虐待や貧困などの背景にある子どもの孤立に対して、「子どもの周りに優しい間があふれる社会」を目指し、市民性の醸成に取り組んできました。目指す社会に向けて、事業を通して市民社会における人権感覚を豊かにすること、そしてそのために、自分たち自身が国際的な規範に沿った人権意識を持つ必要があると考え、役員体制の強化などにも取り組んできました。そしてこの度、下記の通り、ガバナンスに関わる体制づくりを一層強化していくこととしましたので、取組の実施状況と今後の対応についてご報告させていただきます。

<ガバナンス強化に取組む背景>

 PIECESでは、設立当初より、法人運営の基盤には「人権」があるという認識のもとに、事業活動・団体運営に取り組んでいます。事業を通して市民社会における人権感覚を豊かにすること、そしてそのために、自分たち自身が国際的な規範に沿った人権意識を持つ必要があると考え、役員体制の強化などにも取り組んできた経緯があります(役員の体制強化に関する詳細はこちら)。

 そのような中、NPO法人soarから2021年3月29日付で、元理事(以下、「当人」)による関係先への加害行為(後に、性加害行為に修正)に関する公表がありました。当人とは、PIECESが事務局として2020年2月~6月まで活動に携わった「とどけるプロジェクト(※)」において協業していました。そのため、同プロジェクト内においても、同種の性加害行為が当人とメンバーとの間で生じていなかったかの状況確認を進めるとともに、一層のガバナンス強化を図る必要性が生じたと判断するに至りました。
※2020年6月、当初の目的を終えた時点で事務局団体としての活動を終了しています。

 なお、当人による性加害行為の発生・発覚経緯については、NPO法人soarによる各種リリース記載のとおりであり、当団体や当団体役員としての活動との間に関連性はありません。ただ、その後のNPO法人soarによる解任・公表等の一連の対応(以下、「一連の対応」)においては、PIECESの経営ボードメンバーのうち3名が、主として役職や専門性に基づく対応を実施してますので、ここではその点について概要をご説明させていただきます。


 それぞれ下記の通りです(カッコ内はPIECESにおける肩書)。

小澤いぶき(代表理事)
soarの監事を務めており、今回の一連の対応においては、独立性と専門性を有する立場で関わっています。現在は、被害にあわれた方、加害による影響を受けた方のことを考えた対応が優先と判断し、soarの監事としての任を全うできるように努めています。

小野田峻(理事)
弁護士。ソーシャルセクターのガバナンス体制の構築・運用の専門家として、一連の対応における内部調査チームのメンバー兼アドバイザーという立場で関わっています。

佐藤暁子(監事)
弁護士。法人の事業活動を通じた人権の尊重という、近年国際的にも極めて重視される領域の専門家として、一連の対応の中で設置された外部相談窓口の担当者として関わっています。

※相談フォームでお寄せいただいたご意見をもとに、soarからの公表内容について言及する箇所の表現を、「加害行為」から「性加害行為」に修正しました(2021年6月13日)

<ガバナンス強化のための取組>

1)権利侵害や加害行為に関する相談体制の強化

①団体内における状況把握
 当団体において、これまでに(当人にとどまらず)役員やスタッフなど関係者による権利侵害や加害行為等による被害がなかったか、不安に感じることがなかったかについてヒアリングや、運営に関わるスタッフ・ボランティアメンバーへの呼びかけを通じての状況確認を実施しています。相談や申告をすること自体のハードルの高さを考慮し、相談することへの懸念も含め広く声を拾い上げることに努めています。

 なお、これまでに相談・報告があった事案については、相談者が安全でいられることに配慮した上で声を聴き、速やかに必要な対応を行ってきました。

②相談窓口の設置
 従来より設置に向けて監事(弁護士)と相談して進めてきましたが、今回を機に、上記と併せ、匿名で相談や懸念の共有ができ、場合によっては外部の弁護士等に相談できる体制を、引き続き監事や外部専門家に相談しながら構築していきます。

2)研修機会の設置、Code of Conduct(行動規範)の策定などによる防止策の実施

①研修機会の設置
 人権感覚や人権規範、人権を守るために必要なことを学ぶための研修や対話の機会を、役員・スタッフ・ボランティアメンバーなど、当団体の事業活動に関わるメンバーを対象に、より充実させた形で実施していきます。これまでも、社内ミーティングの機会などで折に触れて取り扱ってきたテーマではありますが、本格的に全社的な仕組みとして導入を図る必要があると考えています。

②Code of Conduct(行動規範)の策定
 当団体として、また、NPOとしてのミッションを追求するプロセスにおいて、団体運営に関わる全てのメンバーにとっての共通の行動規範が必要だと考え、昨年度からCode of Conductの策定準備を進めてきました。今年度内の策定を目指すとともに、その運用を通じた権利侵害や加害行為の防止、権利侵害が生じた場合の迅速な救済に取り組んでいきます。

<今後に向けてのPIECESとしての考え>

 今回、人の尊厳が損なわれる行為が、人の尊厳を大切にする業界から生まれたことに悲しさと悔しさを感じ、私たちにできることを改めて考えています。社会では、ハラスメントをはじめとした、他者の尊厳を傷つける行為が起き続けています。そして、それに対して声をあげられない方々が今もなおたくさんいらっしゃると考えています。また、被害にあった方が心身の負担や経済的負担と引き換えに声を上げ続けなければ、起こっていることに社会の目が向かない構造もあります。そうした方々の声や必要とされるケアのあり方、あるいは、被害が生まれる構造的課題は、いずれも軽視されてはならないと考えています。それはまた、加害行為が生み出され続ける社会構造にも目を向けることでもあります。

 私たちは、そうした方々の声やニーズ、構造的課題に真摯に向き合いながら、誰に対しても物理的にも心理的にも安全に相談やケアの機会が届く社会の一助となるために、他の機関との連携も含めて、自分たちにできるより良い方法を模索しているところです。

 さらには、何らかの問題が起きてから対処するだけではなく、そもそもなぜ、同種の問題が繰り返し起きるのか、その構造的課題はどこにあるかを今一度熟考してまいります。そして、私たちもその構造に関わる一人にもなりうるという自覚を持ちながら、改めて個人の権利を尊重するような市民社会の醸成に取り組んでまいりたいと考えています。

 従来より私たちの団体が取り組んできた、「子どもの周りに優しい間を紡ぐ」ための「市民性」の醸成とは、権利侵害等が起きる構造自体にも、個々人の権利にも自分が関わっているという感覚をもち、今の構造を問い直し、起こっていることやその背景を丁寧に受け取り、向き合っていくことでもあると考えています。

 権利侵害等が起きた時に安全に身近な人を含め相談する環境も、そのことに気づいて早期に対応することも、そもそも起きづらくする環境も、それらを作っていくのは、ほかの誰かではなく自分たち一人一人だからこそ、それを難しくしているのは私たちでもあるということに向き合いながら進んでいきます。

 権利と尊厳が尊重されず、痛みが増幅していくという社会を当たり前とするのではなく、権利と尊厳の尊重を制度として組み込みながら、権利や尊厳が尊重される状況が少しでも進んでいくような市民性の醸成に、皆さんと一緒に取り組んでいけたら幸いです。

 今後も、このようなPIECESの取り組みに関して、メールマガジンやホームページ等で発信してまいります。

<本件に関するご相談・お問い合わせ>

 本件に関して、何かご質問やご相談などがありましたら、下記相談フォームを通じて声をお聞かせください。今後も皆さまの力をお借りしながら法人運営に取り組んでいきたいと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

▼相談フォーム
https://forms.gle/AYxJtVFLYqfuQ1Ny5