「Reframe Lab」は、豊かな想像力を育む「あそび」や「まなび」を開発し、アート、教育、医療、 福祉がつながるプラットフォームを構築していくプロジェクト。認定NPO法人 PIECES、一般社団法人Whole Universe 共催のもと、2018 年から活動を続けています。
2020 年度は、PIECESが掲げる「ひらかれたWeの社会」の実現に向け、世界の捉え方や境界線をリフレーミングし、複雑な世界を感受していくプロジェクトとして、PIECESが主催となり、「ミエナイモノとあそぶ」をテーマに、様々なアーティストとの協働により、“ ミエナイモノ ” を感じ、体験し、 その想像力を耕す「あそび」のプログラムを開発してきました。
「ひらかれたwe」と「Reframe」
PIECESでは、2019年に役員体制を新たにし、「ひらかれたwe」の社会の実現に向けて「市民性の醸成」を行ってきました。詳しくはこちら▶︎ 「ひらかれたweの社会」の実現に向け、 認定NPO法人PIECESが経営体制を刷新 — 認定NPO法人PIECES(ピーシーズ)
私たちは、常に他者や外部環境へ「ひらかれた」状態にあり、お互いに影響しあい、揺れ動きながら存在しています。私たち人類を取り巻く様々な問題(紛争などの国際問題や気候変動など環境問題、差別などの人権問題など)も、「個人」という枠組みだけでは捉え切ることができない、さまざまな要素が影響しあいながら発生しています。個人を越え、私という存在が、社会や地球環境と相互に響き合うような「we」の感覚をもって捉えてはじめて、「問題」とされていることが私たちに与えている影響の実態に近づくことができます。
私たちは、ひとりひとりがそのような「we」を実感できる未来を「ひらかれたweの社会」と定義します。
この社会の綻びを生み出すのも、いまの社会を形作るのも、「私たち」であり、そして時空を超えて、様々なものたちと共にある「ひらかれたweの社会」の未来のかけらも、またすでに「私たち」一人ひとりの中にあります。
市民性醸成を通して、地域にある知恵やレジリエンス、可能性に出会ってきました。それと同時に、身近に起こる、そして世界に起きているさまざまな危機と共に生きる中で、相互に影響し合うさまざまな存在を感受し、想像力を広げていく体験を通して、「ひらかれたwe」の社会の可能性のをより多様な人たちとともにうねりにしていきたいという思いもより強くなりました。
それぞれが持つ異なる「自然」や「時間」を行き来し、あらゆる存在への想像力を拡張し、世界を感受し、問いを広げ、多様な人たちの手元から「ひらかれたwe」の未来のひとひら繋ぎ合わせて広げていく。そんな冒険を、子どもたちと、子どもに関わる一人ひとりと共にしていきたい。そんな願いから、ReframeLabというプロジェクトを本格化してきました。
ReframeLab 2020:「あそび」から複雑な世界を感受していくプロジェクト 企画背景
私たちが「ひらかれたwe」の社会へのプロセスを育むことを自分たちの存在意義としてきた背景には、時代や空間を超えてこの世界を共にする存在それぞれの世界を壊すことなく、それぞれがwellbeingに共に存在していくことはできないのかという問いと、そのためにプロセスを育んでいきたいという強い願いがあります。
そして、このプロセスを育む一つの鍵は「想像力」と、本来の生態系や私たちの持つ「レジリエンス」であると考えています。
「想像力」と「レジリエンス」は市民性の醸成でも大切にしている鍵でもあります。
たとえば、森には、何万年もの土壌で育まれた、幾種もの生命たちの「記憶の地層」が存在しています。私たちが暮らす街の中にも、いまを生きる人間や他種の生命、機械、そしてもう存在していなくとも、無数の生命の記憶が刻まれています。その記憶に身を置き、想像を広げた時、私たちは歴史を紡いできた異なる多様な物語から何を感じ、受け取のでしょうか?どんなバトンを次の時代に渡していくのでしょうか?
人智を超えた複雑な生態系が変化しながら今存在している、そのレジリエンスに私たちは何を学ぶのでしょうか?
これからの社会を「目に映るもの」だけで考えるのではなく、かつて存在していた様々な生命や非生命、そして人の痛みやレジリエンスといった“ミエナイモノ”への気配を感じ、想像し、それぞれの多様なる自然を行き来していく。これからの社会を手探りで紡ぎだしていくプロセスを、2020年度は、誰もが持っていた「あそび」を手がかりにつくっていけないかと考え、「ミエナイモノとあそぶ - Immersive Experience」をテーマに、生命・異世界・社会をつなぎ、「あそび」から複雑な世界を感受していくプロジェクトを実施しました。
*あそび(大和言葉) … 異界とつながること*遊 … 「神が自由に行動する」から転じて「人が心のおもむくままに楽しむ」
ReframeLab 活動概要
これまでの事業を通して大切にしてきたこと、行なってきたことについての詳細は、以下のReframeLab公式webサイトをご覧ください。
Webサイト
Reframe Lab / あそびとまなびのプラットフォーム
いま目にうつる世界は、見方次第でいかようにも変容する。あらゆる角度から世界を「リフレーム」することをテーマに、医療、福祉、教育、アートなどの異分野をつなぐプラットフォーム。 さまざまな生命と共にあることへの想像力を育み、新たな「まなび」と「あそび」を開発していきます。
Reframe Lab 公式Webサイト▶︎ https://reframe-lab.com/
展覧会+トークイベント|7月22日〜8月9日開催
「もるめたも展 - あそびとへんしんの研究所」
「ミエナイモノとあそぶ」をテーマに、様々なアーティストとの協働により、“ミエナイモノ”を感じ、体験し、その想像力を耕す「あそび」のプログラムを開発してきた、2020年度。その成果のひとつとして、一冊の本とアニメーション『もるめたも』が誕生しました。
2021年7月22日から東京都新宿区の「ケーススタディスタジオBaBaBa」にて展覧会を開催しますので、足をお運びください。 ▶︎ 展覧会詳細はこちら
映像コンテンツ、ガイドブック
ミエナイモノとあそぶ アニメーション & 絵本『もるめたも』
それまで「自分」だと思っていたものが、あるとき水に、鳥や風に、土 中の菌から宇宙にまで゙変容していくメタモルフォーゼ(変容)の物語。 物語の原作は Reframe Lab、絵本・アニメのビジュアルを担当するのはアーティストのひらのりょう氏、音楽は OLAibi 氏、ナレーションにコムアイ氏を迎えて制作しました。また絵本には「あそびとまなびの観察ノート」と題して、大人向けのコラムページと、 Reframe Labが゙開発してきたワークショップのあそびかたガイドを掲載。「あそびの可能性」をテーマに、多様な領域の方々によるコラムを収録しています。 ▶︎ 映像コンテンツ・ワークブック詳細はこちら
このプロジェクトは、来年、そして再来年と、地域を超え様々な子どもたちとすでにある未知なる世界を探り、描く冒険として続いていきます。
◉主催:認定NPO法人PIECES
◉共催:一般社団法人Whole Universe
人々の想像力を拡張するアート&サイエンスのプラットフォーム。キュレーション、メディア制作、アートプロジェクト、教育、異分野が集う研究会やプラットフォームの構築など、日々ありとあらゆる実践に取り組む。主なプロジェクトに、アートサイエンスメディア「Bound Baw」運営、JST/RISTEX「人と情報のエコシステム(HITE)」メディア・コミュニケーションなど。(代表理事:塚田有那)
◉運営メンバー:Reframe Lab
この社会に潜む、見えない境界や抑圧を見つめ、そこから解放され、一人ひとりが自身の生きる世界を変容しながら生きていける社会構造を探求し、実践していくプロジェクト。2018年4月に始動。
メンバー:小澤いぶき(児童精神科医/NPO法人PIECES代表)、塚田有那(キュレーター/一般社団法人Whole Universe代表)、清水聡美(企画制作・コーディネーター)、富樫多紀(カルチュラル エデュケーター)、和田夏実(手話通訳士)、岡本真梨子(カウンセラー・サイコエデュケーター)、古屋遥(演出家・クリエイティブディレクター)。