子ども期の“生きづらさ”に心を寄せる~第5回PIECES公開講座&CYWゼミレポート~

こんにちは!

コミュニティユースワーカー4期生の新免です。

11月18日に、月に一度の公開講座とゼミが開催されました。
今回の公開講座のテーマは、【子ども期の“生きづらさ”に心を寄せる】
講師は、病児保育など親子問題に関わる事業を展開している、認定NPO法人フローレンス所属の菊川恵さんです。

複雑な家庭環境の中で育ち、様々な葛藤を抱きながら子供時代を生き抜いてきた菊川さん。中学・高校時代を中心に、乳幼児期から大人になるまでにご自身の身に起きたことを振り返っていただきながら、その当時感じていたこと、大人に求めていた関わり、過去を振り返っていま思うこと、についてお話しいただきました。

わたしたちコミュニティユースワーカー(CYW)はもちろんのこと、“生きづらさ”を抱える子どもとの関わり方を模索するあらゆる立場の方々にとって、「支援者」としての自分の在り方を自問自答する機会になったことと思います。

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子供時代の菊川さんが、周りに求めていた関わり、救いとなったもの。
それは、その時々の状況によって、変化していきました。

例えば、大人の発言より行動を見ていた中学時代は、近所の切手屋さんと「ただ一緒に時間を過ごす」ことに、温かくほっとする気持ちを感じていました。

母親が亡くなった後、言葉の出づらさに悩んでいた時期は、帰宅後に聴くラジオが心の支えとなっていました。パーソナリティの話を聴いて笑ったり、お悩み相談をする同世代の話を聴いたり。

この時期は、「自分が人にどう見られているかを過剰に気にしてしまうから、間接的に救われるのがちょうどよかった」「居場所支援があったとしても、元気な時しか行けなかったと思う」という菊川さんの言葉が印象に残りました。

そして高校時代。一時保護施設に身を寄せるなど、一番ハードな出来事が続いた時代でしたが、今回振り返りってみると、「スッキリした気持ち」で当時を思い出すことができたそうです。理由は、「自分自身を見てくれていた」人たちがそばにいたから。

父親の暴力で怪我をして登校した時、いつもと変わらない感じで「気になっとったんよ~」と声をかけてきた担任の先生。

保護施設で、毒舌だけれど、本当に子供たちにとって何が必要なのかを考えているのが伝わってきた職員さん。

転校後の高校で、なんにでも必死に食らいつく姿を見て、「お前おもしろいな」と興味を示し、大学進学を提案してきた担任の先生。多様な価値観を認め合えた同級生たち。

こんな風に、高校時代に、信頼できる他者がいるという実感を重ねられたことで、「信じてもらえてはじめて出せる力」を発揮できるようになり、自分の心の回復を早めることができた、とお話しされていました。

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しかし、その後も、菊川さんの苦しみは続きます。


菊川さんは、20歳当時、慢性的に生きづらさを感じていたそうです。けれど、支援者に助けてもらえるのは、問題が分かりやすく起きているときだけ。大人になって、表面上は「普通の大学生、普通の社会人」として日常を過ごすようになってからは、気軽にアクセスできる支援が見つかりませんでした。


「大人になっても戻ってこられるような支援やつながりがあればよかった」という言葉を聞いて、PIECESでの活動を通じて、子供たちにとって「いつでも戻ってこられる居場所」を少しずつ増やしていきたい、と思いました。


「支援者」として子どもたちに関われる部分は、その子の人生のごく一部に過ぎません。そして、支援者の手を離れた後も、子どもたちの人生はずっと続いていきます。


その子の人生を長い目でみて、本当に必要な関わりは何なのか?

その子に合った支援の形ではなく、「自分にとって理想的な支援の形」に囚われていないか?

自分の持っているフィルターを介して相手を眼差していることに、自覚的であるか?


今日の講演で、菊川さんから投げかけられた問いを心に留めながら、子供たちの人生に「伴走」していきたいと思います。


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午後からは、CYW4期生のみでゼミを行いました。

メディアの取材が入っていたので、少し緊張感もありつつ、各自が現場実践後に書いた「プロセスレコード」を用いながら、二人一組になって「リフレクション」の振り返りを行いました。(「プロセスレコード」について、詳細を知りたい方は第2回ゼミレポートへ)

午前中の講義で学んだことを反芻しながら、「自分自身が抱いている『相手にこうなってほしい』という願いや価値観に縛られたまま子供たちと接していないか?」「目の前の子どもを大事にできているか?」という視点で振り返りをしたのですが、1対1でお互いの「願い・価値観」を深堀りしていく中で、自分自身の認知の癖について、新しい気づきを得ることができました。


更に、今回は、自分が相手に与えている印象や態度を客観的に捉えるために、話し役(子ども)と聞き役(CYW)に分かれて会話をしている様子を動画で撮影する(!)というワークも行いました。

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自分自身の願い・価値観は、必ずしも、言動として表面化して、相手に伝わるとは限りません。このワークを通じて、自分のコミュニケーションの癖がどのようなものなのか、強みと弱みを知ることができました。


本当に、子どもにとって良いことは何なのかを考えるということ。

それを、相手にメッセージとして届けるということ。


とっても難しいことですが、これからも、子ども達、そして自分自身と向き合っていきたいと思います。


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