9月6日(日)、「子どもへの“支援”を問い直す ~プレーパークでの実践に学ぶ「子どもとともにいる」関わり~」というテーマで一般社団法人プレーワーカーズ理事の神林俊一さんをお招きして公開講座を行いました。
残暑が残る蒸し暑い日でしたが、オンラインで、26名の方々に参加いただきました。
※本講座は、今期の「Citizenship for Children」(CforC)第2回目の講座です。2021年1月にかけて全6回の講座を実施します。今後の講座について、ご興味のある方は以下Peatixページのフォローをお願いします。
◆講師プロフィール
神林俊一(一般社団法人プレーワーカーズ理事/一般社団法人TOKYOPLAY/そとあそびプロジェクト・せたがや/フリースペースつなぎ理事/NPO法人日本冒険遊び場づくり協会宮城地域運営委員)
いじめ・不登校の最中、プレーパークに出会う。2010年、東京都次世代育成支援行動計画にて、チャイルドファシリテーターとして子ども300人大人100人 をヒアリング、心の貧困を抱える多くの子ども達と出会う。2011年4月、東日本大震災直後に子どもの心のケアを旗印に、住民協働による遊び場「あそびーばー」を立ち上げ、その後2年間常駐し、住民による運営体制を確立。NPO法人日本冒険遊び場づくり協会宮城県北部長として日本ユニセフ協会との協働し東北各県の仮設住宅、復興公営住宅付近にて遊び場を開催しつつ、住民主体の遊び場づくり支援を行う。2015年、子どもが関わる全ての場所へプレイワーク(子どもの遊びに関わる専門職)の視点を伝えていくために一般社団法人プレーワーカーズを設立。(一般社団法人プレイワーカーズHPより)http://playworkers.org/member/
◆講座内容
講座は4つのセクションに分けて進められていきました。
①講師紹介/子どもたちにとっての遊び
最初のパートでまず話していただいたのは、プレーパーク・冒険遊び場の事例や現在の子どもたちの状況について。遊び場を子どもたち自身が手を加えていく様子や実際の映像で子どもたちの様子をみたうえで、少子化や子どもたちにとっての遊びがどのように変化しているのかを、「遊びのさんま」「子どもたちの遊びは創造から消費へ」といった言葉をもとにお話しいただきました。
②遊びと居場所~あそびーばーでの実践~
東日本大震災から、気仙沼で子どもたちの遊び場がどのように作られたか、その状況について話されました。実際に子どもたちと一緒に作ることで、子どもたちから「自分たちが作った」という発言や「子どもたちにノコギリを使うという体験をさせたことがなかった」という地域の方の発言があったそうです。また、あそびーばーを運営している地元の方たちにも触れ、大人にとっての居場所にもなることの重要性や、無理のない関わり方について実際のエピソードも交えて紹介いただきました。
③対談①~子どもへのまなざし~
講師の神林さん、NPO法人セカンドリーグ 茨城理事長の横須賀さん、そしてPIECESの斎の三人で、気仙沼で神林さんが出会った子どもたちについて対談しました。それまでなかなか出会うことのなかったヤンチャな子どもたちとあそびーばーを通して繋がったこと、その子たちが地元のおじいちゃんおばあちゃんとはじめは衝突しながらも、少しずつ関わり方に変化が生じていったこと、その時双方に対してどんな関わりを行っていたのかなどについてお話しをいただきました。
④対談②~支援のカタチ~
前のセクションに続き、三人で神林さんが出会ったある女の子の話から、「待つ」ということについて対談しました。半径数mのところで話をしたそうにしている子に対して、あえてこちらから声をかけずに待ってみた時にどんなことが起きたのかというエピソードをもとに、「待つことを仕掛ける」という奥深い子どもへの関わり方について紹介いただきました。
◆当日の質疑応答の様子
当日は講義動画をそれぞれで見た後に、数人ごとで感想共有を行い、全体で質疑応答を行いました。質疑応答では、「あそびーばーは自由な世界だと思うのですが、学校は自由ではない。子ども達はその世界になじめない場合、その世界からエスケープした方が良いと思いますか?」、「あそび場運営している中で、あれは失敗だったなという経験、そこからどうカバーしていったかなど、あれば教えてほしい」、「活動を通じて、大人側・多数派の人達の変容はあったか」、「怪我や安全性はどうなのかという批判や意見への対応はどうしているのか。また、かんぺーさん自身が危険だと思うことにはどう対応しているか」といった多くの質問が参加者から寄せられました。
◆参加者のみなさんからの感想
・子どもを信じること、待つことの大切さ。子どもが自分で遊びや人と関わる方法、危険を感じとれるということを信じて、待つことで応援できる人になりたいなと思いました。
・力を持っている子ども達(大人もだが)のモチベーションを下げ、支援慣れするようなサポートは本来の目的ではない、と改めて思った。子ども達が自発的に考えられるよう、サポートしていける立場になるために、現場での実践が大変重要だと思う。学ぶべきものは現場。失敗を恐れずチャレンジしていきたいです。
・少子化はすなわち大人の多大化でもある、というお話が非常に印象的だった。確かに子どもの遊びを「危ない、見守らなくちゃ」という視点で見ていることが多く、でも自分の子ども時代を振り返ると、大人の目の届かないような場所でも自由に飛んだり跳ねたりして過ごしていた。それが当たり前だったし、ケガも含めて私を大きく育ててくれたと思う。そのあとでも「支援慣れ」という言葉が出てきたが、何かをしてあげなくちゃいけない、というスタンスを取りすぎているなと思った。
◆次回公開講座のご案内
第3回目は、10月4日(日)10時~12時半で開催します。
講師に、NPO法人ビーンズふくしまの山下仁子さんをお招きし、「子どもたちの“生きづらさ”に心を寄せる ~孤立する子どもたちが本当に求めているものとは?~」というテーマで行います。単発でのご参加も受付ていますので、ご関心のある方は是非イベントページをご覧ください。