子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するプログラムCitizenship for Children2024
「支援者」ではなく「ひとりの人」として子どもに関わりたいと思うからこそ生まれる、迷いや葛藤。Citizenship for Children(CforC)は、そんな願いや気持ちを持つ人たちが集い、子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するプログラムです。
今回は、NPO法人ハンズオン埼玉理事の西川正さんを講師にお招きしておこなった「講師を囲む会」と「ゼミ活動」についてご報告します。
講師を囲む会
参加者には、事前に講座動画を視聴してきてもらいました。
「 子どもの孤立を防ぐ、コミュニティのつくり方 〜なぜそこには『つながり』が生まれるのか?〜」
講師:西川正さん(NPO法人ハンズオン埼玉)
Part.1 遊ぶと学ぶの場づくり
Part.2 対談①~つながりが生まれる場のデザイン~
Part.3 対談②~“with 子ども”のコミュニティ~
当日は、人と人との自然で対等なつながりが生まれるために講師の西川さんが大切にしていること、サービス化するのではなく参加者と運営側の境界線を薄くし共に作り上げていくことなど、興味深いお話をたくさんお聞きしました。
終了後に寄せられた、参加者から寄せられた感想を一部ご紹介します。
・「揉め続ける」という言葉がとても印象的でした! 揉めている状態ってそのことに注視しているのでバランスを取れていたりしますね。大人にどのように理解してもらうか、という話もありましたが、双方対話ができることが必須だと思います。みんな争いを避けたいので枠を作ろうとしますね。保護者さんとフラットな関係性を作り続けることは大切です。それを認識しました。
・「with子ども」は手間がかかりますが、そういう想いを持った大人を増やすためにはどうしたらよいのでしょうか?
・どういう場でも、あらかじめ仲良くなっておく(関係性を作っておく)ことってとても大切なんだなと改めて感じました。
「揉め続ける」「with 子ども」など西川さんらしさが詰まったワードは、新たな気づきや視点となって参加者の中に浸透していくように感じました。
きっと西川さんのエッセンスが、参加者の周りにいる子どもたちにもじわじわと広がっていくのではないでしょうか。
ゼミ活動
探求コース第2回目のゼミは12月14日にオンラインで行われました。テーマは【「子どもたちと自分たちにとって優しい間」をデザインするとはどういうことか?を探求する】です。
まず、ある子ども(Aちゃん)の例から読み取れる、または想像できるAちゃんの強み(ストレングス)や困りごと(ニーズ)をグループ全員であげていきました。
その後、前回のゼミのワークであがっていた参加者それぞれの資源性(得意・好きなこと、誇れる経験、人に感謝された経験など)をかけ合わせると、Aちゃんと一緒にこんなことができるかもしれないと、クリエイティブな発想やアイディアを膨らませました。
そして、その発想やアイディアの背景にある参加者のAちゃんへの願いを見つめてみたり、わたしたちがAちゃんに与えるだけでなく、Aちゃんが他者に与える側に立つにはどんな工夫ができるか?またこのアイディアに名前をつけるとしたら?と想いを巡らせました。
ファシリテーターとして参加していた私自身も、参加者の皆さんのAちゃんに対する温かなまなざしや素敵な資源性が掛け合わさって、彩りや個性豊かなアイディアがたくさん生まれていくところを肌で感じられ、ワクワクしながらその場に居ることができました。
リフレクションワーク
この日はゼミの後、リフレクションを行いました。リフレクションでは発表者が、事前にプロセスレコードと呼ばれる記録シートを記入します。
子どもとの一場面を切り取って、その時の自分や子どもの行動・言動を時系列に振り返り、感じていたことや気づきなどを書き起こします。そのシートをもとに、スタッフや参加者から生まれてきた問いを投げかけてみたり、その行動・言動の背景には何があるのか想いを馳せてみたり、「わたしだったらこういう風にするかも」など新たな視点から語ってみたり……。
言葉で表現するのは難しいのですが、発表者の内面の深いところに潜り込んでいくような、リフレクションならではの独特な空気感があります。
今回発表者として参加していた方の感想を一部ご紹介します。
・優しさが炸裂した日でした!リフレクションは思いの外、突き刺さるものがありますね~完全に忘れていた昔の傷まで降りていけました……(悪い意味ではないですよ。でも何も知らないトップバッターでよかった!)。自分自身の認識が変わりました。変わったところで子どもたちと関わるのが楽しみです。
・子どもと関わる中で自分がどういう姿でいたいのか、奥底に眠っている自分もわからなかった価値観(想い?)が降りてきました。本当はこういう関係性でいたいんだよな、と気付き、涙がポロポロでしたが、この場面を持ってきてこの価値観に気付けてよかったなと思います。
私もプロセスレコードの文面のみでは決してわからなかった、発表者の子どもに対する願いや祈りのようなものに辿り着けたような気がしたり、過去がどのような軌跡を描いて今につながっているのかなどを想像し、葛藤したり心が揺さぶられたりして、熱いものが込み上げてくるような感覚がありました。とても素敵な時間をくださった参加者の方に感謝しています。
CforCは参加者やスタッフの垣根を曖昧なものにし、共に与え合い、そして受けとり合い、新たなものが生まれていく場であると再認識したような一日でした。
参加者の姿や言葉にエンパワメントされることも多々あります。プログラムも終盤に差し掛かってきました。これからもCforC2024は子どもにとっても、自分にとっても心地よい「優しい間」を探求していきます。
執筆:髙橋真生(CforC2019修了生)