子どもとの関わりの中で「困ったな…」と感じる行動に遭遇したことはないでしょうか。
そんなとき、子どもの気持ちを受け取りながら、「今目の前にいるこの子に何が起こっているのだろう」と子どもの声を聴きながら、その行動の背景をみつめる視点が大切です。
子どものサインをみつめるとはどういうことか。児童精神科医として10年以上に渡って、子どもたちの声に耳を傾けてきたPIECES代表理事の小澤いぶきが、「トラウマ」の視点からお伝えしました。
子どもの心と健康とウェルビーイング
心の健康の状態は連続したものであり「病気」と「病気ではない」ではなく、グラデーションになっていること、それは誰もが同じであることがまず最初に話されました。
その上で、子どもの心の健康は、周りの影響を大きく受けます。家族や保護者、友だちそしてその周りの人同士の関係性をはじめ、学校や地域社会の文化、制度なども影響しています。
子どもの心の健康やウェルビーイングで大切なこと<3つの要素>
・楽観性
・ここにいて大丈夫だと思える感覚
・主体的に社会に関わっている、働きかけられる感覚
子どもの健康とウェルビーイングには誰もが関わっていて、誰もが一緒に育んでいけるということ、さらに子ども時代の体験の影響の大きさについても説明がありました。
心も怪我をする
ここでは、トラウマについての説明やトラウマ体験に対する私たちの反応やその影響について話されました。実際にトラウマ体験をした子どもが回復した事例も交えながら、周りにいる私たちが子どもたちのサインを通して、その影響を知り、受けとることの大切さを学びました。それが子どもにとって安全な体験の積み重ねになります。
トラウマインフォームドケア
心の怪我とはどんなことか、どんな影響を及ぼすのかを知り、適切な対応をすることで更なる傷つきを防ぐことができます。心に負った傷に対する手当は専門家だけではなく、誰もができることであること、その実践に当たって周りの人ができることや意識するべきことについての説明がありました。
大切な2つのポイント
・目の前で起こっていることを「問題行動」として捉えるのではなく、危機時における正常な「反応」や「対処」として捉える
・風邪に関する知識を持つのと同じように、トラウマの影響を理解しながら関わる
参加者の感想
安全性は日々の繰り返しから作られるというところが印象的でした。自分も大切にしながら安全な日々を一緒に作っていきます。
普段の自分の子どもとの関わり方と重ねて考えることができ、子どもの気持ちに寄り添いながら話を聞くことは、「なぜ?どうして?」と気持ちを問うばかりではなくて、「解像度」をあげることで、子どもに安心感を与えることが何より大切なんだと気づきました。
「なぜ機嫌が悪いのか子どもたち自身も分からない」というお話が印象に残りました。 私は思わず「どうして機嫌が悪いのか」「どうして嫌だったのか」を聞いてしまっており、そのような視点が無かったので、今度からもう少し子どもたちの視点に立って考えようと思いました。
平日夜という時間にもかかわらず、たくさんの方にご参加いただきありがとうございました。
執筆:広報ファンドレイズ インターン 坂本朱弥音