「問い」の先に広がる世界。

誰かの排除や痛みの上に成り立つ社会ではなく、この世界を共にしている異なる存在のそれぞれが大切にされ、誰もが尊厳ある一人の人として大切にされていくような、そんな世界はどう育まれていくのか。
そんな願いからはじまった「#問いを贈ろう」プロジェクト。

今年もたくさんの方々と共に育んできた宝物のような時間となりました。
皆様にとって、この1ヶ月、どんな体験だったでしょうか。

私自身にとっては、問いを通して出会ったたくさんのお返事に触れ、世界の多様さと豊かさを感じ、日々自分がみえていなかった世界と出会い直したような日々でした。

自分の身体に共にいる微生物に、まだ出会っていないこの世界を共にしている人に、隣にいる子どもの見つめる世界に、宇宙の不思議を感じながらこんなにもいろんな存在が共にあることにとに、身体が満ちるような感覚になったり、時代が紡がれて自分が今ここにいることに身体がゆるゆると夜空に溶けていくような感覚になったりしました。

私たちの日常には多様な世界が広がっています。空の景色がその日の大気の状況によって刻々と変化するように、日常に広がる世界と自分は相互に影響しあいながら変化しています。

互いに影響し合いながら自分の暮らす社会が変化しているというのは、実感しづらい時もあるかもしれません。けれど、「問い」を受け取るタイミングにより、どんなことがこころに浮かぶか変化したり、誰かの問いのお返事に触れて自分のこころに新たな感覚が芽生えたりすることは、自分と誰かや世界が交わされ影響し合う瞬間だったように感じます。

「問い」を通じて立ち止まり、お互いの返事を通して新たな世界と出会い、この世界を共にしている自分や他者、未来に想いを馳せることは、共に生きる人や自分に純粋に関心を向けながら、日々の暮らしに、さまざまな願いや想いを発見し、互いにそれを紡ぎながら社会を育んでいくことなのかもしれません。

SNSに飛び交う言葉、街中にながれるニュース、子どもが手にするおもちゃ、横断歩道でふとすれ違う人からのまなざし、暮らす街の文化、かけられる声。
ニュースで知った戦禍から逃れてきた子どもが、自分の街にも暮らしているかもしれない。
自分の使っているものは、あの国のあの地域の人がつくっているかもしれない。

問いを通して、今この瞬間に、そして今まで、これから共にあるさまざまな存在に目を向け、その世界を感じ、受け取り、働きかけていくことの先に、誰もが大切にされる、子どもが子どもでいられる、自分が自分でいられる世界があると私たちは信じています。

今年のキャンペーンは一旦区切りとなりますが、わたしたちは、この取り組みを通して、市民性を重ねあい、優しい間を育みながら、願う社会を皆さんと一緒に広げる営みを続けていきたいと考えています。

改めてこの1ヶ月半を一緒に育み、耕し、広げてくださりありがとうございました。

 

認定NPO法人PIECES 代表理事


▼PIECESからお贈りした、17の「問い」と皆さまからのお返事はこちらからご覧いただけます。
https://toi-pieces.tokyo/

新年のご挨拶

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
寒さが続く中、体調を崩されたりしていないでしょうか?

心身の調子も一人ひとりの状況も社会や周囲と呼応し、社会や自然の影響を受け揺れることが自然なことだからこそ、不調の時もそうでない時も、誰もがなんとかなるような信頼ある社会を今年も手元から育みたいと思いながらこの文章をかいています。

昨年も、様々なことが世界や日本で起こった年でした。危機が起き続ける中で、今起こっていることに身体が動く自分と、お互いの尊厳が大切されながら共存可能な社会への変容を後押ししていくために市民性を育み、社会の土壌を耕すことをより早く進めたくなる自分と、様々な葛藤を個人としても持ちながら活動していました。

そのような中で、寄付を継続してくださったり、一緒に広げたいという言葉をいただいたり、これを読んでくださっている方々のおかげで、PIECES の活動を進めることができました。本当にありがとうございます。

PIECESが大切に育んでいる「市民性」は、人が人として社会に開かれていることで、一人ひとりの尊厳を大切にしあえる土壌でもあります。
忙しない日々、明日がどうなるかわからない社会の中で、誰かのちょっとしたサインやニーズが見過ごされたり、自分の様々な感情や願いに封をして、誰もが命ある一人の人であることが見えづらくなることもあるかもしれません。

一方で、ちょっとした誰かのサインに誰かが応答し、手を伸ばす振る舞いによって、お互いのことを気にかけ合うあたたかな循環が生まれたりもします。

バスの中での声かけから生まれた、助け合いの連鎖や柔らかな空気
目があった時の微笑みに心が緩み、自分の身近な人への声かけが和らぐ瞬間

目に見えない空気や文化は、私たちのまなざしをまとって変化し、巡り巡って誰かに影響を与えます。

暮らしや社会の中に、人が人として心や声を交わし合い、ふと力を抜いて世界を見つめるような、心がゆるみほどける「間」があちこちに生まれていたら、明日もここにいて大丈夫、なんとかなると感じられる社会が徐々に広がるのだと思います。

今年も子どもと共に、子どもの暮らしの近くから、人が人としてまなざしや心を交わす「間」を育み、社会に市民性が熟していくうねりを、皆さまと共に育んでいけたらとても嬉しいです。

10年後に、今日この日があったから、あの一年があったから、今お互いを大切にしながら暮らせているね、と目の前に広がるお互いの尊厳を大切にしあう風景を共有できると信じて、その道を共に耕す広がりをつくる一年にしていきます。

皆さまにとって、あたたかな一年になりますように。

 

誰もが尊厳ある一人の人として、大切にされるために。

1ヶ月半に渡り行ってきた「#問いを贈ろう」キャンペーンは10月1日に終わります。

私たちからの問いへお返事をくださったり、問いを誰かに共有してくださったり、たくさんの方々とこの1ヶ月半を共にすることができました。本当にありがとうございます。

誰かの排除や痛みの上に成り立つ社会ではなく、この世界を共にしている異なる存在のそれぞれが大切にされ、誰もが尊厳ある一人の人として大切にされていくような、そんな世界はどう育まれていくのか。

私たちの変わらぬ願いから、このキャンペーンは始まりました。

誰もが尊厳ある一人の人として大切にされている世界は、共に生きているさまざまな人たちがいることを優しく想像することからはじまる、キャンペーンにはそんな思いを込めました。

「問いを受け取ったよ」「こんなことを感じたよ」「何度考えても、まだ言葉にならない。難しいなぁ」

問いを共有し、そこで生まれたお返事に、また誰かが応答するという優しい間の広がりに触れて、初めて出会う人たちのこと、お返事の先にいる人のこと、さまざまな瞬間を共にする世界にいる人たちのことを想像し、私自身の心にも優しいスペースが広がっていきました。皆さんは問いを通してどんな間を体験したでしょうか?


「問い」を通じて立ち止まり、この世界を共にしている自分や他者、世界に想いを寄せることは、共に生きる人を優しく想像することでもあります。

子どもが手にするおもちゃ、目にする情報、すれ違う人からのまなざし、暮らす街の文化、かけられる声。
ニュースで知った戦禍から逃れてきた子どもが、自分の街にも暮らしているかもしれない。
自分の使っているものは、あの国のあの地域の人がつくっているかもしれない。

私たちの暮らしを見つめると、そこにはすでに多様な世界があります。

問いを通して、すでにある多様な世界に目を向け、その世界を感じ、受け取り、働きかけていくことの先に、誰もが大切にされる、子どもが子どもでいられる、自分が自分でいられる世界があると私たちは信じています。

だから、この取り組みを通して、願う社会を皆さんと一緒に広げる営みを続けていきたいと考えています。


社会に起こることを、一つの絶対的な正解でなんとかできることは多くはないかもしれません。

でも、問いを生み出した日々の暮らしを共有し、問いを通して生まれた願いをお互いに手渡し関わりながら、誰もが大切にされる社会とはどんな社会かを問い続け、変化する社会に一人一人の手元から共に働きかけていくことが、この社会を自分にとっても、子どもにとっても生き心地の良い社会に少しずつ少しずつ広げていくのだと思います。

誰かの排除や痛みの上に成り立つ社会ではなく、この世界を共にしている異なる存在のそれぞれが大切にされ、誰もが尊厳ある一人の人として大切にされていくような、そんな世界はどう育まれていくのか。

問いを贈ろうキャンペーンは終わりますが、問いを贈り合い、応答しあう営みは、市民性の大事なエッセンスとして続いていきます。これからもぜひ、その広がりを一緒に育んでいただけたら嬉しいです。

改めてこの1ヶ月半を一緒に育み、耕し、広げてくださりありがとうございました。

 

認定NPO法人PIECES 代表理事


▼PIECESからお贈りした、20の「問い」はこちらからご覧いただけます。
https://toi-pieces.tokyo/

「問いを贈ろう」

大きすぎる願いと共に

どうしたら、誰かの痛みや排除の上に社会が成り立つのではなく、誰もが尊厳ある一人の人として大切にされ、異なるさまざまな存在が共に生きていけるのだろう。その世界をどう育んでいけるのだろう。
そんな大きすぎる「願い」を持ちながら、私たちPIECESは活動しています。

大きすぎる願いや痛みを目の前に、私自身、時に途方に暮れることもあります。
ただ、私自身は、それでも願う社会が私たちの手元から紡がれることを体験し、学んできました。

私は一人の人間だから、不完全でエラーも起こします。
そして、私だけでなく誰もが一人の人として、不完全でエラーを起こしうるのではないかとも思います。
その不完全さやエラーは、私たちの生み出す仕組みや制度にも起こり得ますし、文化にも内在化されていきます。

だからこそ、その不完全で歪みが起きやすいことを前提に、私たちは知恵を出し合い、起こっている痛みに目を向け、可能性に耳を傾けながら、当たり前を問い直し、構造を問い直すことで、少しずつ少しずつ前に進んできました。過去から今まで、法律や制度が様々な人の努力と声と痛みの上に変わってきたように。

大きな痛みや犠牲がないと変わらないのではなく、誰もの今日の暮らしの安全が、誰もの明日への願いが大切にされるような、そんな変化を願う自分がいます。

だから、過去の知恵を受け取りながらも、常に当たり前を問い直し、確固たる正解が存在し得ないこと、少なくとも今正解だと思っていることが時代とともに変化する可能性もあることを受け取り、問いから生まれる変化を大切にして進んでいくのだと思います。

問いを通して立ち止まってみる〜food for thought~

異なる私たち尊厳ある一人ひとりが大切にされている、そんな社会は、誰かがつくる確固たる正解ではなく、
私たちがふと感じる違和感や、願い、問いから紡がれていくのではないか。
そして、その問いや、問いが生まれた背景にある体験や痛み、願いを共有し合いながら、願うあり方を共に模索していくような、他者や世界、自分自身への純粋な関心や眼差しからはじまっていくのではないかと考えています。

厳しい現実と向き合い、それを体験する日々の中で、
時間や距離を超えて、一人の人としてお互いをまなざし、世界に手を伸ばすような、そんなひとときを共にできるとしたらそこには何が生まれるのだろう。

そんな想いから、私たちPIECESでは、2021年から「問いを贈ろう」というキャンペーンを始めました。

異なる場所に生き、異なる体験をしている異なる私たちが、問いを通して、自分の中に生まれる願いや想いを共有し、そっと深呼吸して立ち止まり、自分や他者に、世界に想いを馳せる。

そんなひとときの積み重ねが、豊かな明日の種となり、
種の芽吹きを大切に慈しみ待つ、 
私たちの中にある純粋な関心が、
芽吹きの広がりを紡ぎ、
世界が少しずつ 変わっていくかもしれません。

気づいたら私自身、いろんな役割や立場の中で、一人の人として、つまり市民性を通して、人と、世界と関わることが難しく感じることもあります。

それでも、ふっと力を抜いて、ただただ一人の人として心を交わしたとき、一人の人として世界に起こることに悲しみ喜び、そこに生きる人のことを思うとき、
出会った人からジャッジのない一人の人に対する眼差しが向けられたとき、そしてその時感じる純粋な関心に、
私自身の心が喜び、心の泉が湧いてくるような感覚になります。

私も問いを通して、問いを広げてくださる様々な方と、立ち止まって、
問いから生まれる風景を見つめ、わたしたちとして響き合う感覚に耳を澄ませて、願う明日の世界に手を伸ばしたいなあと思います。

支援するのでもされるのでもなく、ラベリングされた境界線に押し込められるのでもなく、異なる経験を持つ経験者としての敬意を持ちながら、この世界を共にする一人の人として。

今年の「問いを贈ろう」が始まります。

#問いを贈ろう — 認定NPO法人PIECES(ピーシーズ)20の「問い」をあなたに贈る7週間toi-pieces.tokyo

是非共に、そっと息を吐いて、ふっと肩の力を抜いて、
少しだけ、一人の人としてあれる時間を過ごしませんか。

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ウラバナシ

〜サイカンパニーさんとご一緒したかった理由〜

私たちはいつも何かを伝える時、共有するとき、そのデザインのプロセス自体を大切にしています。
私たちにとっても大切な「問いを贈ろう」のキャンペーンにサイカンパニーさんにコアから関わっていただいた理由を少しだけ。

共に育み広げたい社会や世界のあり方を考え紡いでいくことは、誰かの特権ではなく、誰もの手元から育まれるものであると私たちは考えています。

だから、私たちにとって、自団体の願いやフィロソフィー、世界観や大切にしているエッセンスが特権性を帯びずに、誰の手元にもあるものとして、暮らしの中に溶け込みながらも、誰もが問い直せるものとして誰もと紡いでいけることが、そしてお互いに行き来するものであることがとても大切なことだと考えています。
そんな想いから、自分たちの大切にしている願いや想い、エッセンスが現実や暮らしに映し出され、一人一人の中にある願いの重なりが、自分たちの願う未来と繋がり育まれていく、そのつながりをもたらす多様なメディウム的なあり方も市民性の一つの形でもあると考えています。

わかりづらいこと、複雑なこと、目に見えづらいこと、体験しないと共有が難しいこと。
そういったことを、誰かを消費するようなストーリーとしてでも、誰かの尊厳を傷つける構造を強化する形でもなく、
まるで、目の前に広がる風景の前に共にいるかのように、ふと見上げたどこまでも続く空を誰かも見上げていると感じるかのように、「共有している感覚」を感じながら、
それを、まるで、食を共にしたり、絵本を手にするかのように、「手にとれる共有体験」として体験できるような、
デザインを通して体験する市民性があるのではないかと思っています。
そしてそれをデザインを通して行っているサイカンパニーさんと、ぜひ今回のキャンペーンを共にしたいと思って、デザインをお願いしました。
キャンペーンの仕組みやコンセプトコピー、そしてサイトといった、想いやその背景にある願いを、日常を育む一人一人の手元につなげていくデザインを一緒に考え形にしてくださっています。

大きな事件があったとき、私たちが心を守り、社会のレジリエンスを大切にするために。

安倍元首相の事件について、さまざまな報道やSNSでの情報が流れています。
事件自体は、その人に対してこれまでどんな感情を持っていたとしても、誰もが傷つきうる可能性の高いことです。
誰もが知っている有名な人であったり、一国の首相を務めた自分たちの暮らす国と密接に関わる人である場合、より広範囲に、誰もにとって影響が起こりえます。また、「コレクティブトラウマ」という集団としての傷ともなり得ます。

このような時に心が傷つくことはとても自然なことです。
「誰もが傷つく可能性があり、集団として、社会として広く傷が生まれる可能性がある」ことを前提に、報道や、情報共有、対応を考えていく必要があります。

①今回の事件により起こりうること

「心が傷つく」ということは「安全を喪失した」体験でもあります。それにより以下のようなことが起こり得ます。

1)一人一人に起こりうること
大きなストレスや危機に瀕した時、私たちは誰もが恐怖を体験したり、安全を喪失した感覚を味わったり、ストレスに対しての心身のサインが現れたりします。そしてそれが続き安全が喪失したままであると、心がより深く傷つくことがあります。これは誰にでも起こりうる自然なことですが、それに対してさまざまなできることもあります。

・社会が安全ではない、自分の周りが安全ではないという、社会への安全に対する信頼の喪失・感覚。このことによる、不安、落ち着かなさ、怒り、緊張、過覚醒など。
・過去の恐怖を感じた体験(トラウマ体験)を思い出す。このことによる、恐怖、痛み、過去を今体験しているような感覚、過覚醒、何も感じなくなる、ぼーっとするなど。
・大きなショックを受けた初期に起こりうる反応や心身の対処。涙が突然出てくる、イライラする、やる気が出ない、落ち着かない、お腹が痛いなど。


2)社会に起こりうること
わからないことが多い複雑な状況に対して、私たちは自分たちを痛みから守ったり、自分にとって理解できる意味づけをして対処して、大きな痛みを乗り越えようとします。また、それが過激であったとしても、わかりやすいシンプルで、自分の感情や思想に近い情報を拠り所とすることで、安全ではない社会の中に安心を見つけようともします。これにより、自分たちと近い思想・考え・価値観を持つ集団以外の集団を「敵」のように見なした意味づけや自分たちを守るためのナラティブが生まれることがあります。それが、時に特定の集団を排除したり、社会の極端な分断や暴力的な対立を生み出します。
特に一国の首相であった方の事件であるが故に、政治的なイデオロギーが意味づけに活用されることもあります。
ただ、これは、集団と集団がさらに排除しあったり、暴力的な対立を深め、次なる痛みを生むことで、本来もつ社会のレジリエンスを損なう可能性もあり、社会の脆弱性を高めもします。
安倍元首相である前に一人の人であり、事件の情報を受け取った私たちも一人の人です。一人の人として、一人の人の喪失をケアし、自分の傷つきをケアしましょう。

・社会全体が混乱しており、それに伴い情報も混乱する。どの情報を信じて良いかわからない。誤った情報を信じるなど。
・社会全体が過覚醒となっており、情報が氾濫する。メディアやSNSによる更なる傷つきの広がり。
・特定の属性に対してのスティグマタイズ。(加害した人を特定の属性に紐づけて属性を非難するなど)
・社会の分断や排除の広がりと、それらを乗り越えるための各集団のナラティブによる次なる暴力や痛みの連鎖


②起こったことに対してできること

1)日々の暮らしの中でできること
まずは安全を確保しましょう。物理的・心理的、どちらの安全もともに大切です。

・情報から離れる。
不安で情報を何度も見てしまうことは自然なことです。けれど、過激であったり、衝撃的な言葉や映像の情報によって私たちは知らず知らずのうちに更なる傷つきを体験しています。
情報から離れる時間を確保してみてください。

・日常を取り戻す。
特に子どもにとっては、「安全な日常」を感じる体験の一つが、「日々のルーティンが繰り返される」ことです。これは実は大人も一緒です。
同じ時間に起きる、ご飯を食べる、遊ぶ、など、日々のルーティンをぜひ続けてください。

・大事な人と安全を共有する
これも特に子どもにとって、信頼できる大人やケアする大人が近くにいること、その人に体験を共有し、感情を受け止められることはとても大切なことです。

・自分にとって安心できる、その考えから離れられるリラクゼーションを試す
人によって何が自分にとっての安心かはさまざまです。どうしてもそのことを考えてしまう時、思考だけ切り替えることが難しいこともあります。
お風呂にゆっくり入る、好きな漫画を読むなど、自分の普段大切にしている時間を長めにとってみましょう。

・深呼吸などをし、過度に緊張し、覚醒している心身をほぐす
気付かぬうちに心身は緊張しています。ゆっくり、吐く息を多くして深呼吸をしてみてください。
また、肩をぎゅっと上げて下げたり、手をぎゅっと握って開いたり、緊張をほぐしてみましょう。


2)社会に対してできること
このような事件の場合、メディアの報道の仕方が更なる傷つきを生むこともあります。また、報道していたり治療にあたる人、目撃した人や、加害をした人や被害にあった人の家族や近しい方の心も傷を負います。発信の仕方によっては、心の傷や痛みがさらに広がり深まったり、暴力的な対立、排除や差別が引き起こされる可能性もあります。それらを防ぐ方法があります。

・私たちの発信の仕方の工夫

私たち一人一人がメディアとなりうる時代です。衝撃的な映像や、誤情報、特定の属性への非難等スティグマを助長する情報に関して、混乱したり、いつもよりも興奮している時は正確に判断しきれないことがあります。そのような時は、深呼吸して拡散を保留してみてください。
自分や周りを守ることにつながります。

・報道の仕方の工夫(トラウマインフォームドな報道を)
a. 
過激であったり暴力的な映像や報道に、繰り返される衝撃的な場面の報道は更なる傷つきを生むことがあります。
慎重に取り扱うことを前提として、どうしても流す必要がある場合、暴力的な映像が流れること、離れた方が安全な場合は離れて欲しいことを事前に伝えてださい。

b.  一部だけを切り取った過激で暴力的な、時に差別やヘイトを助長し、不安を高める報道ではなく、暴力的なことが起こる背景にある社会構造や解決策、起こったことに対して対応できうること(心肺蘇生など)、予防策、さまざまな人がこのようなことが起こらないためにやっていることなどのグッドプラクティスも報道してください。

c. スティグマを助長するような報道は避けてください。加害をした人や被害に遭われた方、その家族を特定の集団や属性に紐付けて非難したり意味づけをしないようにしてください。

d. このような事件が起きた時に、誰もがこのような事件においてストレスに対してのさまざまな反応が起こること、それはとても自然であり、反応はあなたの力でもあること、しばらくすると落ち着いてくること、回復のために日常でできる対処があること、もし反応が悪くなったり、長引く場合は専門家に相談することも大切なことを伝えてください。具体的な相談先もセットで共有してください。


③子どもに対しての関わり

このような事件があったとき、子どもたちの心も傷つき痛みます。また、近くにいる大人の状況から、さまざまなことを敏感に汲み取り不安を感じることもあります。

1)お子さんと一緒に情報から離れる時間をつくる

2)遊ぶ時間を大切にする

年齢にもよりますが、特に幼児期〜学童期の子どもたちは遊びを通して、危機に対処することがあります。ごっこ遊びを通して子どもなりの意味づけをしていきます。本人が遊びの中で苦しそうに、痛みの強い結末を何度も繰り返している場合は、一緒に遊びながら、痛みの少ないケアのある結末をつくり、違う遊びを共有してみてください。
過去の事実は変わらなくても、今から先の未来は自分の手でつくっていけるという感覚を取り戻していくことはとても大切です。「今度こんなことがあったら**するんだ」「もし過去に戻れたら**するんだ」という子どもの表現は、過去を過去のものとする自分なりの対処。ぜひ大切に受け取ってください。

3)共有された体験と、感情を受け止める

「こんなことがあった!怖かった、びっくりした」と言った感情を否定せずに受け止めてください。

4)いつもの違う行動に対して否定せず、受け止める

特に幼児期は、いつもやっていたことをやらなくなる、赤ちゃん返りをしたように見えるなどということがあります。これも大切なサイン。否定したり、無理矢理やらせたりせず、感情を受け止めましょう。

5)あなたのせいではないことを伝える

特に幼児期は、起こったことも、周りで起きている大人の反応も「私のせいかもしれない」と感じることがあります。その子の責任ではないことをぜひ伝えてください。

6)子どもの言葉や考え、意見、言葉以外のさまざまな表現を大切に受け取る。

自分自身が無力と感じることもあります。日常で、子どもが自分の意見や考えをそのまま受け取られる体験や、自分の願いやニーズが具体的な形になる体験、自分の選択を尊重される時間を大切にしてください。
また、遊んだり、感情を共有したり、お話したり、気になることを聞くこと、今は何も言いたくないからちょっと黙ることなどあなたの選択そのものが、もあなたのできている大切なことであることを伝えてください。


④子どもへの伝え方

1)起こっていることは自然なことであり、回復することを伝えてください

年齢に合わせて、心も傷つくけれどそれは自然なこと、傷ついた時のサイン、回復すること、回復するための具体的な方法を伝えてください。

2)事件のことに関して以下のような伝え方を参考にしてみてください

・あなたのせいではない。
・いろんな感情を感じたり、心身が反応するのは自然なこと。こんな対応の仕方があるよ。
・このようなことは時に起こるけれど、毎日起こるわけではない。特に今世界で色々なことが起きていて、それによって社会に余裕がなくなっているから起こっている可能性もある。
・ただ、このようなことがおこらないように頑張っている人たちもたくさんいるんだ
・暴力以外の方法で解決したり対応していることはたくさんあるよ。例えばね(話し合い、外交、対話、司法、選挙などなど)
・このようなことがあると怖くなったりびっくりしたり、いろんな感情が出てくることがある。心や体が、びっくりしたよ!怖かったよ!悲しかったよ!とサインを教えてくれることもある。どんな感情もサインもとても大切なこと。それはあなたの力であり、とっても大切なことで自然なこと。無理に押し込めたり、無理に語らなくて大丈夫。でも共有したくなったらいつでも言ってね。ちゃんときくよ。

*もしお子さんが、誤った情報をもとに「実はこうなんだって」ということを共有してくれたら、それを否定せず、まずは「そう思ったんだね。教えてくれてありがとう。」と受け止めてください。情報を聞いて感じたことも丁寧にお子さんの言葉を繰り返しながら受け止めた上で、「あなたと一緒に話してくれたことを考えたいから、その話を教えてくれた理由(や、その話をどうやって知ったか)をもう少し聞いてもいい?」と穏やかに尋ねてみてください。そして、その情報は実は誤っている可能性が高いこととその理由、たくさんの情報があるから、誰もが誤った情報を信じやすいこと、事実、を丁寧にわかりやすく、本人を肯定しながら伝えてください。

*お子さんが過激な言葉や暴力的な言葉を使って(自分が殺してやる!など)表現した場合も、その気持ちを受け止めてください(そのくらいびっくりしたんだね、なんとかしたかったんだね、怖かったよね)。そして、そう思ったその子の願いやニーズを丁寧に受け取ってください。その上で、実は、そういった方法以外にもたくさん解決できる方法があることを、一緒に調べたり見たりしながら共有してください。

*情報が溢れている今の状況で、実際情報から離れることが難しかったりつい見てしまうこともあります。不安だから見るなど、その子なりの理由や、状況があります。見たことは否定せず見たことを話せる安全を工夫しましょう。また、情報にかじりついているときは、もしかしたら不安だったり落ち着かないサインかもしれません。何が起こっているのか、どんな時に見たくなるのか、どんな時にこのことを考えずに過ごしているか、どんな時はほっとしたり落ち着くか、その時何をしているか、などを丁寧に聴きながら、その子がやっている落ち着く知恵や、実践、離れる方法などを一緒に考えてみてください。

こちらの資料をぜひ参考にしてください。

子どもとの対話のヒント
紛争のニュースで感じる不安 否定せず、寄り添って

3)いつでもあなたのタイミングで考えていることや気になったことを聞いていいし話していいことを伝える

子どもたちは不安な時、繰り返し同じことを聞くことがあります。それは不安なサインでもあります。「話してくれてありがとう」と伝えた上で、受け止めていきましょう。
また、思春期になると、保護者には話さなかったり、大人が大変そうな時は自分の中でなんとかしようとすることもあります。
本人のタイミングを大事にすること、でも話したい時はいつでも話してね、ということを伝えてください。直接の会話より、ラインなどの方が話しやすい場合もあるかもしれません。
その子にとってのコミュニケーションツールを試してみてください。
また、安全な情報の探し方や扱い方について一緒に考えることも一つの方法です。
その子なりに過去から対処している大事な知恵や方法を持っていることもとても多いです。ぜひその子の持つ対処や、知恵にも目を向けてください。
また、その子が好きなこと、関心を持つことなどレジリエンスを大切にしてください。

4)見通しを伝える

いつまで「いつもと違うように感じる自分」が続くのかわからないことも不安となることがあります。
だいたい、数週間〜1,2ヶ月でおさまってくること。
期間は人や状況によって違うこと。長く続く時には一緒にそのことを考えてくれるスペシャルな人に相談できること、具体的な相談先をぜひ伝えてください。

⑤取材に関して

1)取材する場合は、取材される人のプライバシーを大切にしてください。プライバシーが守られる権利があることとその意味を伝えてください。

2)取材により起こりうることやデメリット(無理矢理話すこと自体で自分が傷つくことがある)、拒否する権利があること、取材された後にとりさげる権利があること、取材途中に傷つきの反応が起こったらいつでも中断する保障、取材の後に傷つきやストレス反応が起こった場合の相談先や連絡先を伝えてください。
また、現在取材がSNSで拡散されることも少なくありません。それにより二次被害を受けることもあります。
SNSで直接拡散されづらい工夫をしてください。

⑥最後に

このような事件に関わった方は誰もに大きな負荷がかかり得ます。まずご自身の心を守りケアを大切にしてください。
このような時にさまざまな感情が湧き、深い悲しみや喪失を感じることはとても自然なことです。その感情を否定せず、「傷ついてたんだな。悲しかったんだな。安全じゃないと感じていたんだな」とそっと自分の感情を受け取ってください。
心の傷や痛みを過度に恐れることなく、また、なかったことにすることもなく、大切に、誰にでも起こりうることとして扱ってください。

また、このような時も、私たちにも社会にもレジリエンスがあります。心が痛いよ、と教えてくれるサインも、それに対してこれまで対処したきた個々や地域にある知恵も、このようなことを防いだり、対処しようとするさまざまに積み重ねられてきた工夫も、私たちのもつ大切な知恵と力です。

特定の集団への攻撃やスティグマタイズや、二次的な痛みが加速することが社会の脆弱性を拡げるとしたら、私たちが、少しだけ立ち止まって、レジリエンスに目を向けることで、もしかしたら未来の暴力を防げるかもしれません。まずは今を大切にしながら、もし余裕ができたら少しだけ未来への贈り物を考えてみてください。

以下にも活用できるツールがあります。ぜひ参考にしてみてください。


◎ 子どものこころのケアに役立つ資料

◎ サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き

◎ 事故や災害が起きたときのケアについて〜子ども「心」のケアの視点から〜

世界で紛争や戦争が起きている時の子どもとの関わり

ウクライナ・ロシア情勢が刻々と変化する中で、子どもたちもニュースでそのことを目にする機会や、大人が話すことを耳にする機会が増えているかもしれません。

私たちが自分なりに社会で起きていることを受け取っているように、子どももその子なりに起こっていることを受け取っています。受け取ったことをどのように認識するか、どのように対処するかは年齢や発達、そして一人一人違います。
いつもと違う状況やニュースなどで知ったことに関しての疑問や不安を、「大人に何度も聞く」といった形で表現する子もいれば、遊びで表現する子やもいます。大人から見ると「困ったなあ」と感じる行動や、「赤ちゃん返り」しているように見えるような、いつもと違う様子に見える状態が、その子なりのサインである場合もあります。

大きな危機が起きた時、私たちの心身はその危機に対応しようとします。そのサインとして、さまざまなサインがみられます。それはとても自然なことで、私たちの力でもあります。

このような時に子どもに起こること、そのことに対して子どもと共にできることを共有します。

1.子どもは、どんな時に社会の危機を受け取るの?

・自分の生活がいつもと変わる

・戦争のニュースで生々しい映像、強く印象に残るいつもと違うニュースが流れる。そのことに対して大人の様子もいつもと違う

・過去に怖かったことを思い出すようなニュースや話題が身近で話される、流れている

・見通しがつかない

・ルーティンでやっていたことが変わる

・突然イベントがなくなる

・いつも行っていた場所に行けなくなる

・周りの雰囲気がいつもと違う

今回はウクライナ・ロシアの影響を念頭に記載していますが、一般的に不安を感じる時は、ここに書いているものだけではありません。

今回のような状況で、お子さんが「何かいつもと違うことが起きている」と感じるのはとても自然なことです。

2.危機を知ったり、体験した時は子どもにどんな変化があるの?

子どもたちは、言葉で伝えてくれる以外に、行動や身体、心を通して様々な形でサインを出してくれることがあります。これらはその子なりに、今起こっていることに対処しようとしているその子の力でもあります。

・いつもできていたことをやらなくなる

・ぼーっとする

・おねしょが増える、頻尿になる

・ご飯の量が減る

・寝つきが悪い、途中で目が覚める

・腹痛などの身体の症状

・いつもより甘える、一人でいるのを怖がる

・会話が減った、なにか言いかけてやめる

・いつもよりこだわりが強くなる、なんども同じことを聞く、やる

・いつもより落ち着きがなくなる、そわそわする、イライラしやすい

・兄弟などとの揉め事や喧嘩が増えた、何かや誰かに当たる

・勉強に集中できない

ここに書かれているものだけではなく、様々な形でサインを出しています。ぜひ子どもの様子がいつもと比べてどうかを丁寧にみてみてください

危機に対応するために過覚醒になることもあります。低年齢であればあるほど、言葉以外で表現する頻度が多いかもしれません。

周りの状況を繊細に見て、自分の不安や悲しさ、恐怖、疑問などを表に出せず我慢しているお子さんもいます。一見何もないように見えるからといって、何も感じていないというわけではないこともあります。
また、子どもは遊びの中で様々なことを表現します。見たニュースを「爆弾ごっこ」「ミサイルごっこ」のようにあそびで再現することもあります。

保護者も戦争のニュースを気にしながらも、新型コロナウイルスに関する対応、新年度への準備など、日々さまざまなことに対応しており、お子さんに気を配るのは物理的にハードルがあるかもしれません。
保護者だけが頑張るのではなく、複数の大人の目でお子さんに関心を向けていける環境を周囲が一緒につくっていくことも大事なことの一つです。

3.子どもにどんな風に関わったらいいの?

①心と身体の変化に目を向ける
・いつもと違う状態や行動に気を配る

・子ども自身、自分でもどうして良いかわからないと感じていることもあります。いつもよりできないことが増えたように見えても、急かさず、子どもが何に困っているのか丁寧に観察する

・子どもなりに対応していること、やっていること(子どものレジリエンス)にも目を向ける

②子どもに対する声がけ
・子どもの感情を言葉にして受け止めてみる
例:「悲しかったんだね」「嫌だったね」「嬉しかったね」「楽しかったね」など

・自分の感情に自分で気づくことが難しいこともあります。子どもの身体の状態を手がかりに、気持ちを探ってみるのも一つの方法です
例:「顔があついね」「いつもよりドキドキしてるんだね」「いつもより身体がかたくなってるかな」など。「怖かったね。心配になったね」など感情を共有する。

・できるだけ肯定的な言葉がけを心がける。大人からみたら当たり前だと思うことでも、子どもにとってはとても頑張ってやっていることも。
例:「歯を磨いたんだね」「着替えたんだね」と当たり前に目を向けて言葉にして伝える。

③生活の工夫
・可能な範囲で子ども自身が選択できる余地を作り、選択をまずは受け止める。もしその選択が叶わない場合は、違う方法を提案したり一緒に考えたりする。
※子どもにとって自分の意思ではどうにもならないことが続く時は、子どもが小さくても自身で決められることをつくってみるのも大切なことの一つです。

・日々の中に、小さな楽しみやほっとできる時間をつくってみる

・身体をケアし、リラックスする時間をつくる
例:深呼吸をする、手をぎゅっと握って開く、触られるのが嫌でなければ背中をマッサージするなど

・大人と一緒に情報から離れて、違うことをする時間をつくる。好きなことを大事にする。

・普段と変わらずにできることは、無理がない範囲で続ける
※規則正しい生活(いつもと同じ時間に寝る、ご飯を食べるなど)は安心感につながります。

・遊ぶことや身体を動かすことはとても大切なので、可能な範囲で取り入れる

④遊びに対して
・まずは無理に止めずに見守りましょう。苦しそうに同じ遊びを何度も何度も繰り返す場合、遊びが何度も悲しい結果に帰結する場合、良い形で遊びを終えられるように一サポートしてみてください。

いつもより保護者に「見て見て」と共有することが多かったりするかもしれません。体験を共有し、感情を受け止めてもらえることは、子どもが危機を乗り越える上でとても大事な体験です。

ただ、「見て見て」に対して、その体験や感情を受け止め共有することがすぐに叶わないこともあります。そんな時は「見せてくれて嬉しいな。ありがとう。〇〇時になったら見るね。」と声をかけて、一緒に体験や感情を共有し受け止める時間をつくったり、子どもと一緒に「見て欲しいもの」を置いておく宝箱や、秘密の場所などを考えて、その箱を開ける時間を決める、なども一つの方法です。

4.起こっていることについて子どもに伝える時

大人にとっても予測が難しいことも多いかと思いますが、今起こっている事実を子どもの年齢に合わせた言葉で丁寧に伝えてみてください。

わからないことがあった場合もごまかしたり、嘘をついたりせずに「自分もわからないこと」を伝え、「わかったら伝えること」を丁寧に伝えてください。見通しがつかないと、何度も同じことを聞いてくるかもしれません。そんな時は、できる限りで同じことを繰り返し丁寧に、穏やかに伝えてください。

繰り返し聞かれることに対応する時間や気持ちの余裕がないことがあるのも自然なことです。そんな時は「聞いてくれてありがとう。」と伝えた上で、気になることを聞く時間を決めるといいかもしれません。
文字が書けるお子さんであれば、「気になることノート」や、「気になることボックス」を作って、気になることを書いた紙を入れるなどして、書いたものに答える時間や書いたものに言葉で返信するなどをしてみてください。

子どもへの対応や関わり、話の伝え方については、セーブザチルドレンが出されている「専門家がすすめる、子どもと戦争について話すときの5つのポイント」も参考にしてみてください。

5.最後に

子どもに関わる大人自身も、気づかないうちに疲れていることが少なくありません。

過去の体験をニュースの映像で思い出し、苦しくなったり涙が出たり、呼吸が浅くなることもあるかもしれません。それもとても自然なことです。ぜひ情報から離れて、深呼吸したりストレッチをしたりとリラックスする時間をつくってみてください(できる範囲で、無理をせず)。

また、子どもも子どもに関わる大人も、このような状況でもできていることがたくさんあります。当たり前にやっていることやできていることに目を向けてください。そして、自分の中にある感情を大切に受け取ってください。