日頃よりPIECESの活動を応援いただき、本当にありがとうございます。
3月に発信した認定の失効に関するお知らせについて、失効理由の詳細確認や外部専門家への相談、団体内部での協議を行い、課題状況や今後の方針を一定整理することができましたので、第二報としてお知らせいたします。
まず先に、結論にあたる今後の方針についてですが、このタイミングでの審査請求等の異議対応については見送り、新規の認定申請を行うことで、早期(遡及的な適正化が奏功すれば約半年程度の期間)での認定再取得を目指したいと思います。
以下、要点を押さえつつ詳細な経緯等をお伝えいたします。内容がやや複雑であり、正確にお伝えしようとすると字数を要してしまうことをあらかじめご容赦ください。
<目次>
1 失効理由に関する東京都からの説明について
2 東京都指摘事項に対する当団体としての見解について
3 今後の対応方針について
1 失効理由に関する東京都からの説明について
・2024年3月26日に東京都の担当から「認定特定非営利活動法人の認定の有効期間を更新しない旨の通知書」を受理するとともに、更新しない理由について以下の説明を受ける。
・説明によれば、更新しないことの理由の趣旨は、書類上、平成 30年度から令和4年度中途までの間、「役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下であること」という特定非営利活動推進法(NPO法)第2条第2項第1 号口の定めに違反する状態が継続していたと判断せざるを得なかっため、であるとのこと。
・そして、その根拠として、手続き面や書類面での不備の指摘があった中で、「職員給与規程の定めでは、使用人兼務の役員であっても支払われる対価は総会での議決が必要となっているが、当時、総会での報告がなされていない。そのため、当該対価が(上記の規定にいう)役員報酬に当たらないとはいえない。そのほか各種書類も検討したが同認定を覆せる事情が認められない」などといった趣旨の指摘があった。
※補足:NPO法上の上記の規定は、あくまで役員としての職務に対して報酬が支払われる場合の規定であって、役員が職員(使用人)として職務執行する際の対価については制約を受けない。
2 東京都からの指摘事項に対する、当団体としての見解について
・当団体はそもそも、設立以来一貫して、役員に対し、役員としての職務に対する報酬(上記の規定にいう役員報酬)は一度も支払っていない。
・一方で、役員のうち、事業活動や事務局の運営に係る業務を行う者については、職員としての職務に対する対価を支払っており、会計上は、一般職員への給与と区別するため「役員報酬」の科目を用いてきた(この点、当初は一般職員と同じ「給料手当」の科目を使っていたが、平成30年の認定申請の際に、東京都からの助言を受けて科目名称を変更した)。
・そのため、当団体としては、実質面だけを見れば、東京都が指摘する違反状態に当たらないと考えるが、一方で、形式面を見れば、手続き上作成すべきであったと考えられる書類が不足している点は認められる。
3 今後の対応方針について
・東京都からの失効理由の説明内容や、それを踏まえた外部専門家を交えての検討の結果、今回認定の更新が認められなかったのは、運営の実態(実質面)に不正や違反があったからではなく、あくまで手続上・書類上の不備(形式面)が理由。そうであれば、違反状態の継続という法的評価の根拠となった事実認定部分の相当性について争う余地があること。加えて、手続上・書類上の不備についても、過去に遡って治癒するという機会が、詳細な処分理由の告知の後に設定されるべきだったとの評価もあり得たところであり、不備に基づいて直ちに不認定の処分がなされたという手続き面の是非についても併せて異議等の根拠となるという法的解釈もあり得る。そのため、審査請求等によって異議を申し立てることは、選択肢の一つとして、一定程度の妥当性はあると考えられる。
・一方で、行政不服審査法に基づく審査請求手続やその後の行政訴訟には、決着までに1年半~2年程度の期間を要することが見込まれる。仮に、それら手続きを利用した結果として今回の処分が遡って取り消されたとしても、経過してしまった時間における団体運営に与える影響(新規の資金調達機会が限定されることなど)は大きい。
・以上の事情を踏まえ、このタイミングでの審査請求等の異議対応については見送り、今回東京都から不備を指摘された決議や書類の整備等、手続き面の適正化を遡及的に実施し、各種不備を全面的に解消の上、新規の認定申請を行うことで、早期(遡及的な適正化が奏功すれば約半年程度の期間)での認定再取得を目指す(その上で、当該申請が認められなかった場合に、不服審査請求等の対応を検討する)。
・併せて、本件を重要な学習機会と捉え、法律面と税務面に関連する各種規定類、書類の整備や見直し、運営体制の改善などを図ることで、ガバナンスや法令順守の視点からも信頼に足る組織づくりを進める。
認定の空白期間が生じてしまうことを考えれば、今回の認定失効について審査請求等を進める道もあるかと思います。ただ、手段選択として一定の妥当性があるとはいえ、一度下った行政上の処分を覆すのには多くの時間や費用等のコストを要することもあり、また、行政処分に関する紛争は通常の裁判以上に結果の見通しを立てにくい面も否定できず、総合的には早期での認定再取得を目指すことが最善ではないかという判断に至りました。
以上が、第二報としてのご案内です。
3月以降、PIECESメイトをはじめとするたくさんの方から心配や励ましのご連絡をいただいております。今回の件を受けて、各種書類の整備や見直し、適時適切な改善プロセスの構築など、ガバナンスや法令順守の視点から絶えず組織全体のあり方を見直すことのできる仕組みづくりに務めていきますので、今後も何卒よろしくお願い申し上げます。
なお、ご寄付の継続に関してや、本件に関するご不明な点やご要望等につきましては、お手数ですが下記までお問い合わせくださるようお願いいたします。