日本財団が、全国の10〜18歳の男女を対象に行った「こども1万人意識調査」および同調査のレポート作成にPIECESが協力しました。
調査結果の【詳細版】と当事者であるこどもたちに届くように【こども向けレポート】の二種類を作成しましたので、ぜひご覧ください。
どんな背景や特徴を持っているかにかかわらず、子どもは誰でも、権利を取り上げられたり侵害されたりすることなく、安全に安心して生活することのできる存 在です。
そして、こどもの権利は、何かの目的や能力獲得に有益であるから必要なのではなく、生きる土台として大切にされ るものです。
子どもの生活が権利に根ざしたものであるためには、日常的に、こどもの権利が認識され、大切にされ、こども自身がそのことを 感じ、声をあげることができ、その声がしっかりと考慮され、周りの人ができることを考えることが重要だと考えています。
子どもたちの大切な声が詰まっているレポ―トを、ぜひご覧いただけますと嬉しいです。
以下それぞれのレポートをクリックすると、PDFにてご覧いただけます。
PIECESメイトを募集しています
毎月1,000円からのご寄付を通じて、PIECESとともに市民性を醸成する仲間を募集しています。
PIECESに関わる人はみんな、A piece for peaceだと考え、毎月の継続寄付で支えてくださる方々のことを、仲間という意味をもつmate、PIECESメイト(ピーシーズメイト)と呼んでいます。
イベントレポート|190423開催『誰も知らない家族の話』
誰も知らない家族の話
〜自分の「家族」について、誰かの「家族」について、一緒に考えてみませんか?〜
2019年4月23日イベントレポート
こんにちは。PIECESインターンの濵口です。今回は4月23日に開催された「誰も知らない家族の話 〜自分の「家族」について、誰かの「家族」について、一緒に考えてみませんか?〜」のイベントレポートをお届けします。
イベント告知当初から多くの方々からお申し込みを頂き、平日の夜の開催にも関わらず、オンラインも含めると50名を超える方々にご参加いただきました!ありがとうございます。
それぞれが想いを持って参加くださり、真剣な眼差しでメモを取りながら、それぞれの観点を共有してくださる深い会となりました。
<登壇者紹介>
まずは、親子の未来を支える会の林さんのお話です。
林さんが代表理事を務めるNPO法人親子の未来を支える会は「-1才の命」と向き合い、「生まれる前からの支援」の大切さを伝えていく活動を行っています。
「もしもお腹の赤ちゃんに障がいや、病気が見つかったらと想像してみてください」と林さんは言います。
「生まれる前から、人生は始まっているんです」
おなかの赤ちゃんの障がいや病気が見つかるときは「普段の定期健診」ということがとても多いそうです。
突然告げられた妊婦さんの気持ちは、「家族にどのように伝えるか」「無事に産むことが出来るのか」「産んだあとのサポートはあるのか」などの様々な不安があります。
「日本には、生まれる前の赤ちゃんに異常が見つかった時に特化して相談できる機関がないため、妊婦さんは自身の不安や葛藤に向き合いながら、数日から数週間という限られた時間で、自ら情報を探し、決断をしなければなりません。」と林さん。
「周りでサポートする人への適切な情報も行き渡っていません。そのため、『大変そう』というイメージだけで産むことに反対してしまう人もいます。」
そこで親子の未来を支える会では、おなかの子に病気があった時に、同じような子どもを育てている他の家族や、患者本人と出会えることを目的とした、ピアサポートサービス「ゆりかご」を2016年に開始しました。
また、胎児診断を受けた方やサポートする方にむけたブックレット作成や、電話・LINE相談窓口の開設、医療者向け講習会の開設を目標として、「胎児ホットライン」設立を目指しています。
(クラウドファンディングで資金調達していた、胎児ホットライン設立プロジェクトは2019年5月15日(水)成立されました。おめでとうございます!)
生まれる前のからの支援は「予防・ピアサポート・胎児治療・福祉連携」など様々です。
まずは「知る」ということから始めること。
支えられる人も支える人も、安心して妊娠、子育てができる社会を目指し、活動に取り組まれてます。
1人ひとりが安心して子育てができる環境づくりを行うことは本当に大切なことだと感じることができました。
「皆さんの周りに、困った時に頼れる存在はいますか?」
PIECESは、子どもたちが孤立せずに安心して頼れる市民の優しい繋がりを社会に増やしていくために、日々活動に取り組んでいます。
「人に頼ることも、将来を望むことも、すごいエネルギーを必要としているんです」と小澤は話します。
実は人に頼るというのは極めて主体的な行為です。「人に頼る」という行動には3つの壁があると考えています。
それは、まず「自分で自分の課題を認識できること」次に「その課題を訴えかけられる人が近くに思い浮かべられること」、そして「実際にその人に訴えかけに行けること」です。
子どもたちが社会から排除されている状態でこの3つを超えていくことは1人だけではとても難しいことです。同時に子どもたちが周りに「頼ること」ができる環境、社会づくりや、子どもが育つ社会が優しさに溢れた社会であることは、本当に大切なことです。
「優しい繋がりが生まれる社会をつくりたい」
私たちPIECESでは、人と人の「間」の関係性を作っていきたいと考え活動をしています。
「社会を信頼できなくなる明日より、優しい関係が人の想像力から生まれる未来を作りたい。」
「人と人の間に優しさが生まれる生態系をつくりたい」これらの思いから子どもと寄り添う優しい大人育成プログラムの全国展開を目指しています。
クロストーク
それぞれの活動についてのお話の後、和やかな雰囲気の中、林さんと小澤さんのクロストークが行われました。
「おなかの赤ちゃんに病気や障がいがあるかもしれないと診断されたとき、自分が想像していた未来の形が急に変わることになる」と林さん。
そこから産む、産まないの選択などをしていかなくてはならない。
どの選択をしても納得できる答えはでないかもしれない。けれど多様な選択肢が尊重される社会、迷って向き合って出した答えが尊重される社会にしていきたいとお話をされました。
また、親子の未来を支える会の水戸川さんや、PIECESの斎からの子育てのお話もありました。
妊娠中や子育ては、周りの環境が変わる時期で、心も不安になったりすることが多いです。
その中で自分が良かれと思って言ったことが相手を傷つけてしまったり、すれ違ってしまったりすることがありました。
しかし、考え続けること、向き合い話し合うことが大切であると感じています。
「そして、決断をした後でも、その考えは変わって良い、迷っていいんです。どれだけ話し合い、向き合えたかが大切になってくるんです。」と話されました。
「家族」については公に話すことが少なく、また「孤立している子どもたち」についても、どこか「他人事」「自分には関係ない」と思ってしまうかもしれません。
1人ひとりが「自分ごと」として考えること、常に関心を持ち、自分に出来ることは何かあるだろうかと考え続けることが大切であると今回のイベントを通じて、改めて感じました。
それぞれの活動が重なり合い、優しさの溢れる社会をひろげていければと思います。
NPO法人親子の未来を支える会のマンスリーサポーターになる
https://peraichi.com/landing_pages/view/fabsupportdonation
認定NPO法人PIECESのマンスリーサポーターになる
https://www.pieces.tokyo/donation
イベントレポート|190417開催『未来をつくる』お金の使い方(後編)
『未来をつくる』お金の使い方
〜寄付の仕組みをつくる人・寄付を活かす人・寄付をする人、3つの立場から考えるお金の話〜
トークイベントを開催いたしました。
こんにちは。PIECESボランティアの中原です。今回は、4月17日(水)にfreee株式会社様の会議スペースをお借りして開催されたイベント「『未来をつくる』お金の使い方〜寄付の仕組みをつくる人・寄付を活かす人・寄付をする人、3つの立場から考えるお金の話」のレポートをお届けします。(後編)
前編はこちらから▶︎ https://www.pieces.tokyo/news/2019/5/1/19041701
後半は3者によるクロストークということでコモンズ投信株式会社で子どもたちのお金の教室にも関わる馬越様にファシリテーターとして入っていただきました。
寄付を通して皆さんらしさを発揮できる
馬越:初めから寄付の視点を持って事業に取り組んだのはなぜでしょう?
渋澤:リーマンショックが大きな契機となりました。リーマンショックは渋澤ショックでもあったんです。オリジナルのSEEDCapの財源は機関投資家の運用資金でした。サイズが大きいのですが、リーマンショックで全てが解約されてしまいました。サステナブルでなかったんですね。長期的に継続させるためには、一般個人のつみたて投資の方が最適だと思ったんです。
そこでそれからは長期的な視点を取り入れた事業を主に行ってきました。そして寄付は長期的な社会の成長を考える上でとても重要なものでした。
馬越:SEEDCapでは2018年にPIECESが寄付先として選ばれました。どうしてだったんでしょう?
渋澤:コモンズ投信でファンドに参加していただいている「お仲間」からの紹介や過去の起業家たちからの推薦など複数の要因がありました。そしてなによりも小澤さんの話し方って素敵じゃないですか。メッセージもとても素敵ですよね。ただ、なによりもSEEDCapの寄付先選定の中で「お仲間」からの声で印象に残った瞬間がありました。それはあるとき、8歳の小学生の「お仲間」よりこんな声を聞きました。
「子どもが1人でいるのはいやだから。」
これはかなり決定打になったと思います。SEEDCapではその組織が寄付支援を通じて次のステップに行けることをお手伝いできることがポイントで、一緒に言葉のキャッチボールをしながら歩んでいけることを大事にしています。寄付を通してコモンズらしさや皆さんらしさを発揮できることが大切なことだと思うんですよね。
馬越:下山さんはどうやって寄付先を選んでいるのですか?PIECESを長期的に好きでいられるのには理由があるのでしょうか?
下山:やはり出会ったときの初めの印象で選んでいるように思います。ただ、それだけでは応援したい団体が多すぎて、どうやっても全部はお金が足りないので(笑)、実際に活動説明会などに足を運んでみて、活動の話などを聞いて寄付先とするかどうかを考えています。PIECESはスタッフみんながそれぞれ特異で多彩なメンバーが集まっています。だからそれがPIECESの目指す新しい関係性在り方を生み出すのではないかと思っています。
渋澤:だから名前がPIECESなんですか?
小澤:元々平和に向かうそれぞれの手に平和へのピースがあって、それをみんなが出し合うことで平和が繋がるよ、って意味でした。でも今の質問でこの問いを今後の組織体制にも生かしていこうと気づきを得ました。(笑)
伴走者としてのお金の出し手
馬越:コモンズ投信として組織を応援することをどのように捉えているのでしょう?
渋澤:組織も環境に応じて変化していくことが重要だと考えています。ダーウィンの進化論で説かれているように、環境に適応した種が最後には生き残ります。そのためにはダイバーシティも必要です。デコボコ感と言ってもいいかもしれません。組織も寄付もその在り方はいろいろあっていいし、寄付の楽しみ方ももっとバラエティがあっていいのではないでしょうか。
馬越:いぶきさんのお話の中でPIECESの財源は自主財源が多いとのことでしたが、PIECESにとってどうして寄付が必要なのでしょうか?
小澤:欧米と比べて、日本の非営利団体の資金源の特徴としては、公的な資金が占める割合が多いというデータがあります。PIECESとしては、権利の保障と、尊厳の尊重からこぼれ落ちていく人がいない、それぞれの尊厳の共存が可能な社会としての仕組みのあり方、保障のあり方に取り組んでいきたいと考えています。
そのためには、組織の方針が政治的な理由でで左右されない伴走者としてのお金の出し手が必要ですし、新しい仕組みを作るとなると独立性の担保も必要になります。そういった意味で寄付というのは一緒に新しい社会の形をつくっていく上でとても大切なものだと考えています。
下山:私もそこは非常に大切だと感じています。そういえば、もう一つPIECESの好きなところをお伝えしそびれてました。(笑)それは、支援者と被支援者という姿勢ではなく、個人を尊重する姿勢を組織として持っているところで、とても大事だと思っています。
馬越:昨年のSEEDCapでは、いぶきさんを推薦する声が過去一番多かったんです。ちょうど選考の時期、子どもに関連する悲しい事件が次々と起こっていたんです。今までSEEDCapに参加したことのなかったお仲間の人たちも、「何か自分にできることがあるのではないか」ということで、子どもに関わる問題に関わっているPIECESさんに想いを託す形となりました。今すぐ、自分にできることは何だろうということから「寄付」という考えが生まれたようです。このことから、寄付の即効力を改めて強く感じました。お金の流れの中で寄付が一番早く自分たちの想いを必要とされるところに届けてくれるものだと思いました。
民間が自ら将来の希望に向けてお金を使うこと
馬越:それでは、そろそろお時間も近づいてきたみたいなので、最後に渋澤さん、1つだけ質問をさせてください。日本にとって今後寄付はどんな力を持っていけるでしょうか?
渋澤:最近驚くニュースがありました。それは一万円札に私のおじいちゃんのおじいちゃんである渋澤栄一が描かれることになったというニュースがあって。(笑)おじいちゃんのおじいちゃんは日本資本主義の父と呼ばれましたが、当時国力を高めようと考えていたんですよね。
つまり、国力を高めるために民間力を高めることが不可欠。でも散らばった状態ではあまり力がないので、民の力を合わせるために多くの企業や組織を立ち上げました。そこのメッセージ性を今に置き換えると、社会を作るのは政府ではなく、社会を作るのは民間であり、民間が自ら将来の希望に向けてお金を使うことが大切だということだと僕は考えています。
いいお金の使い方をさせて、お金を循環させることです。資本主義の導入も初めはそのように意図されていました。お札をタンスに入れてしまっておくのではなく、くるくる回していくことが大事です。民間の力で世の中を良くしていくには、寄付というものが大事な要素になってくると思います。寄付が回ればいい世の中になると私は思うのですけど、みなさんはどうでしょうか?
自分のためにお金を稼いで豊かになろうという動きと、社会のために何か貢献しようという動きは、今その境界が揺らいできているのかも知れないと今日のお話を聞いていて思いました。利己と利他は相反するものではなく、寧ろお互いに補完し合うものでもあるのかも知れません。その境界をつなぐキーワードが「寄付」なのではないでしょうか。寄付の仕組みをつくる人、寄付を活かす人、寄付をする人の3者の視点からそれぞれの想いを感じることができ、こうしてこれからも多くの人の間で優しい繋がりと豊かな想像力から、社会の孤立が少しでもなくなり、あなたがあなたであることのできる社会に繋がっていくのかな、と社会に希望を信じることができた今回のイベントでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
私たちの「未来のお金」の使い方。いただいた寄付と想いを大切にこれからも活動していきたいと思います。
イベントレポート|190417開催『未来をつくる』お金の使い方(前編)
『未来をつくる』お金の使い方
〜寄付の仕組みをつくる人・寄付を活かす人・寄付をする人、3つの立場から考えるお金の話〜
トークイベントを開催いたしました。
こんにちは。PIECESボランティアの中原です。今回は、4月17日(水)にfreee株式会社様の会議スペースをお借りして開催されたイベント「『未来をつくる』お金の使い方〜寄付の仕組みをつくる人・寄付を活かす人・寄付をする人、3つの立場から考えるお金の話」のレポートをお届けします。
週の中日の夜でお忙しい中にも関わらず、皆様から多くの参加申込をいただき、当初想定定員50人を拡大し、有難いことに定員上限いっぱいの65名の方々からお申込をいただきました。そんなイベントのお話の中身を以下簡単にではありますが、お伝えしたいと思います。
まずは、登壇者の3名に「寄付」についてそれぞれの関わり方や想いをお話しいただきました。
◆寄付の仕組みをつくる人
渋澤 健(しぶさわ けん)さん −コモンズ投信株式会社 取締役会長
皆さんの中にこれからの未来を信じているよと自信を持って言える人はどれくらいるでしょうか?もちろん強くそう信じる人もいれば、少しだけどそう思っているという人もいるかもしれません。僕は、皆さんの中に未来を信じる力が少しでもあればいいと考えています。その信じる力が合わさることで未来の社会を作る原動力となっていきます。そして、寄付は自らの意思が伴いながらお金が回っていく仕組みであり、寄付が集まることで未来を信じる力は強くなってより良い社会に繋がっていくと信じています。コモンズ投信の長期投資も同じです。
コモンズ投信では、子どものためのお金の教室という事業を行なっています。そこでは、いつも4つのお金の使い方の話をします。それは、消費・貯金・寄付・投資です。消費と貯金は「me(私)」ですが、寄付となると「we(私たち)」になります。そしてその後に来るものが投資です。「we」はこれからお金の使い方としてキーワードになってくると思っています。利己と利他は決して相反するものではなく、giveの後にはgivenが続きます。お金の使い方には時間軸があり、利己は本来利他に繋がるものなのです。
僕は元々アメリカでNGOからキャリアを始め、その後金融業界に入っていきました。その時に経験した911を契機に、そこには資本主義に対するシグナルがあったのではないかと感じ始め、その後社会起業家というものに関心を持つようになりました。アメリカでは一見営利目的にしか眼中になさそうな人たちでも、911のような大勢の人々が困っている時にすぐ基金を立ち上げるようなダイナミズムがあり、日本にもこのような営利と非営利をつなげることが必要だと思いました。
これまでの時代は、社会起業家という在り方を理解してくれる人は決して多くありませんでした。高度成長時代には感じやすかった成長を今の時代では感じにくく、豊かではあるけれど未来を信じる力が弱くなっているからこそ、なんとか変えなきゃいけないと思う人たちが現れてきているんだと思うんですよね。ですから、今日の話というのはその意味で時代が求めているお金の使い方なのではないかなと思います。
◆寄付をする人
下山 俊一(しもやま しゅんいち)さん −麻布不動産鑑定事務所 代表
こんばんは。PIECESのマンスリーサポーターの下山と申します。今回は一社会人の寄付者として、個人の体験を通して、感じている寄付の役割や広がった世界についてお話ししたいと思います。
まずはなぜ私が寄付をするようになったのかということをお話ししたいと思います。そもそもは投資から寄付というものに出会いました。コモンズ投信という会社を知り、長期的視点で社会全体の価値を大事にしていて、経済性と社会性の両立を目指しているところに惹かれました。そうしてコモンズ投信にてお世話になる中で、社会起業家フォーラムというイベントで多くの若手社会起業家と呼ばれる方々に出会い、社会課題に向き合う若者を見て、自分にもなにかできないかと思うようになり、このとき他人事が自分事へと変わりました。その時に投資以外の関わり方はないのだろうかと考えたときに行きついたのが寄付という形でした。現在は8つの団体に寄付を行なっています。
寄付の役割というものについて、実際に寄付を始めるまでは、正直お金を投じたらそれっきりで、正直ただ可哀想な人を助けるというだけのイメージでした。しかし、寄付を始めてからそのイメージは変わりました。素直にそこで出会う人たちを応援したい、課題解決に貢献したい、と思う気持ちが現れました。寄付とは、お金を通した社会参加であり、主体的にお金を通じて社会に参画する手段だと思います。そこでの出会いは長期的な繋がりとなり、寄付を通じて私自身も精神性・関係性のリターンをいただけていることに気づきました。
いろいろとお話ししましたが、まずはもし皆さんの中にまだ寄付をしたことがないという方がいらっしゃれば、是非一歩踏み出してみることをお勧めします。いきなり長期の寄付サポートが難しいと感じる場合には、活動説明会に参加してみたり、クラウドファンディングでの寄付から始めたりしてみるのもよいかもしれません。また、身の回りの友人に伝えることも貢献になると思います。私は「1%の利他」という考えを信じていて、誰かのために1%を使うが社会を変えると思いますし、人間は社会的な生き物なので、自らの幸せにも繋がるというのを実感しています。多くの1%が集まることで、その雫は川となって流れて大地を潤すように、きっとじわじわ良い方向に変えてていきます。その「1%の利他」という言葉を胸に今後も寄付を続けていきたいと思っています。
下山さんのブログ:セルフ・リライアンスという生き方
◆寄付を活かす人
小澤 いぶき(おざわ いぶき) −認定NPO法人PIECES 代表
皆さん今日はお忙しいところお越しいただきありがとうございます。お会いできて嬉しいです。私からはPIECESの大切にしている想いをお話しさせていただこうと思います。
その前にまず私の話をさせていただくと、子どもの頃からメディアを通じて戦争などの社会排除の構造に興味があり、いつか医者になろうと思っていました。そして実際に精神児童科医として働き始めてからは、多くのしんどさを抱えた子どもたちに出会ってきました。みんな社会のあらゆる制度とともに様々な人との関わりの中で支えられて生きています。しかし、安心して頼れるつながりが周りにない中、自ら命を絶つ子どもたちがいました。亡くなってからしか出会えない子どもたちもいました。子どもたちが生きている社会をつくっているのは、市民一人一人の意思決定や関わりだからこそ、さまざまな人たちとともに子どもの尊厳も自分の尊厳とおなじように尊重していく文化をつくりたくて、PIECESを立ち上げることにしました。
人に頼ることも、将来を望むことも、実はすごいエネルギーを必要とします。人に頼るというのは極めて主体的な行為で、人に頼るには3つの壁があると考えています。それは、まず自分で自分の課題を認識できること、次にその課題を訴えかけられる人が近くに思い浮かべられること、そして実際にその人に訴えかけに行けることです。子どもたちが社会から排除されている状態でこの3つを超えていくことは1人だけではとても難しいです。そこで私たちPIECESは、人と人の間の関係性のインフラを作っていきたいと思っています。社会を信頼できなくなる明日より、優しい関係が人の想像力から生まれる未来を作りたい。そう思い、子どもたちが孤立せずに安心して頼れる市民の優しい繋がりを社会に増やしていくために、日々活動に取り組んでいます。
最後にPIECESへいただいている寄付のお話をすると、企業と個人からの寄付が収入の7割に及びます。私たちがアプローチしている分野は未だ課題として社会から広く認知されている訳ではありません。まずは自主財源で活動を行い成果を出すことで仕組みにして、全国に寛容の輪を広げていきたいと考えておりますので、これからも引き続き応援をよろしくお願いします。