PIECESは、子どもたちの生きる地域に「優しい間(ま)」を増やすことを目的に、Citizenship for Childrenという市民性を醸成するプログラムの全国展開を目指しています。
12月7日(月)夜にFacebookライブを開催しました。テーマは「~共にいることで紡ぐ優しい間を考える~」。
子どもが孤立しない地域をつくる「Citizenship for Children」プログラム2020の現役受講生にプログラムの意義や実際に受けてみての実感を話していただく初めての機会。その配信の様子をレポートにしましたので、ぜひご覧ください。
登壇者紹介
●松友萌 さん(めぐ)/Citizenship for Children2020探究コース 奈良クラス
●山端聡 さん(やまちゃん)/Citizenship for Children2020探究コース 奈良クラス
●榎本八千代 さん(やちさん)/Citizenship for Children2020探究コース 一般クラス
●瀬戸久美子/PIECESスタッフ Citizenship for Children2020 奈良クラス担当
~共にいることで紡ぐ優しい間を考える~
Citizenship for Childrenプログラム受講生の声
私たちPIECESは、子どもと寄り添う大人の市民性を醸成する「Citizenship for Children(CforC)」プログラムを実施しています。
専門職でなくても、日常の大人たちが「信頼できる他者」として子どもたちと出会い、孤立した子どもたちの日常に寄り添うことができるように、子ども関わる基礎を学んだり、子どもとの関わりを見つめなおしたりするプログラムです。
「孤立」という問題を抱える子ども達にどのよう寄り添い、どのようなプログラムを届けているのか。
どのように様々な地域、機関、人と連携しながら活動を広げているのか。
なかなか文章ではお伝えしきれない、一つ一つのストーリーを紐解きながらPIECESが大切にしている想いをお話し、改めて「いま、私たちにできること」を見つけ、深めていきました。
プログラムに参加したきっかけを教えてください
ヤチさん
PIECESは1年くらい前から知っていました。今まで私が知っていたNPOなどは、子どもを直接支援しているような活動をしていたのですが、その周りにいる大人や場づくりをメインに取り組んでいる団体に会うのが初めてでした。
活動報告会に参加したときに、実際話を聞いている間もきちんとお話をしてくれたり、一人一人に「お名前を教えてください」と代表のいぶきさんが言ってくださったりして、人間的に好きだなという印象がありました。そう思っていた頃に、このプログラムの募集があり、一歩踏み出そうと思い申し込みました。
めぐさん
PIECESは2,3年前からSNSなどで拝見していて。当時勤めていた会社に、18才の男の子でもうすぐ卒業になるけど、この後どう支援しようということでいき詰まっていました。彼がつながる居場所があったらいいんじゃないかなと思ったときに、優しい「間」という場づくりをしているPIECESさんがすごく素敵だなと思って。
講座を受けていく中で、もっと願いを叶えてあげたかったけど、叶えられなかったと私が思っている子達が、居場所を作って待っていたら、もしかしたら会えるかもしれないと。関わることで、何か彼らのお手伝いをしたいというのが私の願いで、だからCforCに参加したんだろうなと思っています。
やまちゃん
知り合いから、CforCという講座があるよと教えてもらったのですが、僕が関わっている分野というのは、高齢者の分野で。そこを中心に「どうやったらより健康的になっていけるか」とかを考えて活動している中で、子どもへの関わりというのは自分の子どもしかなくて。
地域福祉という分野に関わる中で、孤立した子どもと関わりを持ったり、(そのような子どもたちに出会った時に)どのような対応をしたらいいのか、地域全体の課題として捉えたいなと思って参加しました。
受講した4ヶ月で変化したことはありますか?
ヤチさん
印象に残っていることでいうと、リフレクションからお伝えできれば。自分の行動を振り返るリフレクションをしていくとき、1人でまず(ワークシートに記入)して、その後いろんな人からフィードバックや質問をもらって進めていくんです。
その中で考え方が一人一人違うこともわかるし、自分自身でも気づかなかったことを気づけたのはとっても印象的でした。例えば、今の自分の価値観ではなく、昔の価値観に基づいて「私はこういうふうに考えていたんだ」と気づく時があり、結構衝撃的でした。
具体的には、今は自分を大切にしてくれない人や苦手な人とは距離をおくという価値観に基づいていますが、リフレクションをしてみると、子どもと関わっているときにはその考えが飛んでしまっていることに気づくとか。昔の価値観に基づいていたんだということに気づいて、それがすごく印象的でした。
やまちゃん
僕の場合、リフレクションをするときに、普段は同じ専門職ですることが多いのですが、CforCは年代や仕事が異なっている人とリフレクションをするのが新鮮というか。専門職ではない視点に気づけるというのは印象に残っています。
あと、直接の対話の方が深みというのはありますが、今回はCforCでzoomを使って対話をしていてもあまり違和感がなかったというか。すぐに馴染めるという不思議な感覚というのもありました。
周りにいる子どもや地域の人とのかかりや「間」で気づきはありますか?
めぐさん
今までの価値観として、子どもを傷つけたくないから、危険な行動をしていたら止めたり、守らなきゃという気持ちが先行していました。でも、「守らなきゃ」というのは私の願いで、こどもは本当は何がしたかったんだろうと。
見て欲しかったのかな、体を動かしたかったのかなとか、間を置いて考えることができるようになりました。危険な遊びをしていて、体を動かしたい子だったら、「じゃあこれ飛んでごらんよ」と関わり方も変容してきました。
具体的には、机から飛び降りる子がいたときに、「バランスボールの上で飛んだらどうかな?」と提案して、私が必死にバランスボールを抑えながら、その子がぴょんぴょんはねるみたいな。そしたら、体を動かせて楽しそうだし、その後も落ち着いて授業を受けていて、(優しい「間」というのは)そういうことなのかなと関わっています。
やまちゃん
このプログラムに関わりを持ち始めてから、どうやったら関われるかなという視点で見ているからか、障害を抱えた子の親のから、子どもの将来の不安とか相談も受けるようにもなって。
実際にその方も看護師なんですけど、将来の就労支援とか、離職しないような働き方とかを話すようになったりとか。子どもを担当してる、行政の保健師さんとか福祉担当の方とかとも、やっぱり僕らの村の現状みたいなことを話しようにもなりました。子どもとの間を作るみたいな心の変化というのは感じています
講座で印象的だったことを教えてください
やちさん
「待つ」という姿勢については、プレーパークを運営しているかんぺーさんから学んだことです。私が(かんぺーさんと)同じような立場だったら、絶対先回りして行動しちゃう。例えば、「これこのままやったら、ちょっと二者間の間が悪くなるんじゃないか」というときでも、かんぺーさんは子どもたちの能力とかを信じて待ってらっしゃると思うんですよね。そういった姿とかお話を聞いて、そこがすごい学びになりました。
あとは最近だと田北さんの講座で「人ばかり見ているんじゃないか」っていう言葉があって。人ばかりにフォーカスを当てるのではなく、場というものにフォーカスを当てたら(いいかもしれない)、と思った。
例えばでいうと、自分の家に柿の木があって、秋になるごとに柿を100個くらいおじいちゃんおばあちゃんがもいでいるのですが、その姿もまちに溶け込んでいると思うんですよね。もいだ柿をご近所に配るのですが、これもまちづくりの1つだし、優しい間の一つでもあるのかなあなんて思って。自分的には新しい見方だなと思ってかなり衝撃的でした。
めぐ
一番印象に残っているのが山下さんの講座。講座の最後の方で、「心で応えた答えは、たとえ間違っていても優しい答えになるよ」っていう言葉をくださって。それに対して、「優しい答えってどういうことですか」と私が聞いて。
半年間不登校だった子が「学校行きたい」と伝えてくれた時に、山下さんが「本当は半年間も、もしかしたら言いたかったのかもしれないのに、私が余計な事言っちゃって、本当の気持ちを聞けなくてごめんね、とまず思う」ということだったり、「これを言うまできっと、心配だったり、緊張したよね」と答えているという言葉を聞いて。「心で答えていいんだ」って気づきになりました。
子どもが何か SOS とか助けてって言った時に、私はすぐに支援をしようとか、どうすればいいんだろうと思考していたんです。でも、まずは気持ちで応えて「言ってくれたんだね、きっと緊張したよね」という関わり、あり方でいいんだなというのが気づきだったし、それが今の子ども達の関わりに生きてる気がしてます。
CforCでいろんな価値観やバックグランドを持った人と関わることで、面白さや価値観が広がる感じはありますか
ヤチさん
違う意見を聞いても否定されたように感じなくなった。CforCで、本当にいろんな人の意見を聞くんです。私も自分の意見を言うんですけど、基本的に否定されないんですよね。その考え方いいね、と一旦受け止めてくれる、みんなそういう心づもりができている方なんですよね。
初回にzoomを通して皆さんと会った時も、「自分の居場所だ」って思っちゃって。講座とかゼミとかリフレクションに参加するのが、生きがいみたいな感じなんですけど。それぐらい多様性があるけれど、みんなその多様性を受け入れることができる土盤がある人たちなんだなと思います。
山ちゃん
僕の場合、CforCに関われない時もあったんですけど。同じ目的を持った集まりというか、将来的なビジョン的も共通する点がある。そういった点で参加できない時でも、自然とフォローアップしてくれたりとか。それが参加できないことに対する罪悪感が解消するような感じもあり、すごく助かってます。
CforCでの学びや経験を、どんなふうに生かしていきたいですか
めぐ
二つあって。気持ちの面で言うと、自分のことも大事にして、目の前の人も大事にしたい。子どもに対しても、他の人に対しても、「なんとかしなきゃ」、「質問してくれたんだから期待に応えなきゃ」とか。子どもに対しても、「SOSを出してくれたんだから頑張って応えなきゃ」みたいなところがあって。
自分の願いと相手の願いがごちゃごちゃになってしまうのが今までだったんですけど、CforCを通して、その両方の観点を大事にして、結局どうしたいのか、と。子どもに対しても、周りの大人に対しても、誠実にどっちも大切にしたい。
もう一つは私自身がどうしたいのかという時に、誰かをつなぐような仕事ができたらいいなということに気付けて。社会資源に繋ぐというお話を聞いて、勉強したいと思い、大学にもう1回行きなおす決断ができたので、それも頑張っていきたいです。
山ちゃん
僕は村という人間関係の強い地域で活動しているので、孤立に当たるような、虐待とかいじめとかいうのは、あまり聞かなくて。ただちょっと気になるのが、障害があるかもしれない方っていうのは目につくのですが、例えば保護者にとってもやっぱりなかなかの表に出してこない。
弱った姿を他人に見せたくない、みたいなことが多かったりするので、それってやっぱり生きづらいというか。「もっと他の人に頼ればいいのにな」とか思っちゃうので。これからどうやっていくかみたいなところも含めて考えていきたい。
ヤチさん
親子とか兄弟とか親戚とかそういった血の繋がりとか関係なく、子どもの居場所を作りたいと昔から思っていたんですね。どのようにやるかはまだ模索中なんですが、CforCで学んだことだと、自分のウェルビーイングと目の前の相手のウェルビーイングどっちも大切に生きていきたいなっていうのもあります。
もう一点は、自分の考えとか行動を俯瞰的に見るというか、それもウェルビーイングに繋がると思ってるので。そういったことを振り返りながら、過去これやったなって事を相対的に俯瞰的に見ることに繋げて、また将来やりたいことに繋がってきたらいいなと思ってます。
12月20日までに100人の新たなPIECESメイト(マンスリーサポーター)を募る寄付キャンペーンを実施中
来年以降も子どもたちの周りに信頼できる他者を増やす取り組みを継続・発展させていくために、ぜひPIECESメイトになって共に歩みを進めてくださいませんか?
目標:100名
12/19 現在:34名(単発でのご寄付33名)
Facebookライブレポート~子どもが孤立しない地域をつくる「市民性」を紐解く~
PIECESが考える「市民性」。
それは、子どもが孤立しない地域をつくる、誰も孤立させない社会をつくる一つのキーだと考えています。
11月30日(月)夜にFacebookライブを開催しました。テーマは「子どもが孤立しない地域をつくる「市民性」を紐解く」。夜遅い時間ではありましたが、多くの方に視聴していただきました。
「Citizenship for Children」プログラム2020の企画運営を担う、PIECESスタッフによる「市民性」をテーマにしたトーク。その配信の様子をレポートにしましたので、ぜひご覧ください。
登壇者紹介
●青木翔子/PIECES理事・リサーチャー、ファシリテーター
●若林碧子/広報ファンドレイズ・旧コニュニティユースワーカー(現CforC)4期生
●佐藤麻衣/CforC運営スタッフ(探究コース、基礎知識コース)
●栗野紗也華/CforC運営スタッフ(探究コース、プロジェクトコース)
~子どもが孤立しない地域をつくる「市民性」を紐解く~
▶︎ PIECESが考える「市民性」とは
まずトークセッションに入る前にPIECESが考える市民性について青木より説明しました。
何のためにPIECESは市民性を醸成するか
PIECESでは、わたしたち人と人との間に、「優しい間」を生むことを大切に、頼り頼られることを大切にしています。相手への思いやり、想像力、相手を尊重しあうコミュニケーションをしていった先に、優しい間が人と人との間に生まれて、頼り頼られることができて心が孤立しにくくなるのではと思っています。
心の孤立という問題が起きている社会は、誰かに頼ることができないということがあると、自分を大切にする経験ができず、自分のことを大切にされたことがないと、自分のことも大切にできず、相手のことも大切に想うことができなかったりします。
そうすると心の孤立も負のループのようなものが出来ますが、優しい間を経験することによって何かあった時に誰かに頼ったり、お互いに助け合える経験をすると自分を大切にしていいんだ、自分を大切にするってこういうことなんだ、という経験をすると、自分も相手も大事に出来ていく、そんな優しい間が溢れていく良い循環が生まれていくのではと思っています。
孤立した子どもたちの周りに優しい間があふれていくと、子どもたちが育つ社会、未来が変わっていく、孤立しなくてもすむ社会になるんじゃないかな。と思っています。
「子どもと関わる市民」の専門性とは、目の前の子どものプロになること
そこで優しい間が紡ぐのが市民性ですが、いろんな角度から説明してみます。
例えば専門性と対比してみると、どうか。市民が出来ることって専門家ではないけれども、ある種の市民としてのスキル、専門性というプロフェッショナルみたいなものはある。また、専門家ができないところを担っていくっていうところがあるのではないか。
市民の専門性ってなんだろう。
PIECESでは、「子どもと関わる市民」の専門性とは、目の前の子どものプロになることで、専門家は専門家としての役割の中で子どもと関わったりすることがあります。
私たち市民は、自分の名前で自分として関わっていくことがある、だからこそ専門家は役割の範囲も決まっている、市民は役割の範囲が不明確。専門家は子どもたちの抱えている困りごとや課題、リスク、そしてそれが起きている背景というものに目を向けて解決していくプロフェッショナル。市民はそういった専門性はないけれどもその子を見つめていく、その子のキャパシティやストレングスに目を向けていくプロになっていくことができる。市民としての関わり方は、楽しさ・遊びを大事にできるのではないかと思います。
子どもと関わる市民の役割
地域の中で見ていったときに、「余白」が地域の中に生まれている、足りない部分を柔軟に埋めていく役割、資源と資源を繋げたりする役割だったり、余白を作っていく、というようなことが出来るんじゃないか。そういった市民に求められるものは何かというと、人と人との関わりなので、もちろんスキルみたいなものもありますが、わたしたちが持っている価値観やまなざしというところがそのまま活動に出ていく、出ていっていい、本当に色んな人がいて、正しい市民性があるわけではない。私自身でいることが市民性で、私自身の価値観、まなざし自体が大事なんじゃないか。と思っています。
PIECESが子どもと関わるときに大事にしたい市民性というのは、子ども自身にとって市民というものがどういう役割を果たしていくのか、子ども視点のものと、自分視点で自分として何がしたいか、何が出来るか、何が楽しいと思うか、両方を大事にする。自分のやりたいことを子どもに押し付けても良くないですし、課題を解決しなきゃとそこにフォーカスしすぎて自分をないがしろにするというわけでもない。その間をちゃんと作っていける、それはすごく難しいこととは思うので、そこを市民性醸成プログラムの中で考えていくことをしています。
優しい間のための市民性とは
優しい間のための市民性について3つの大事なステップをお伝えします。
みつめる・・・自分自身の感情や、目の前にいる相手の言葉や表情、自分の暮らす地域、社会が起きている事件や紛争、気候変動だったり、そういったところにもみつめていく、自分として生きていくことが市民性でもあると思うので、そういうところを見つめていきます。
うけとる・・・みつめて、見過ごすのではなく、その現実の中に今までは見過ごしていたメッセージがあるかもしれないので、そういうところをきちんと受け取っていく。例えば子どもの話で言うと、目の前にいる子どものふとしたときに見せる表情や行動、些細な部分も受け取っていきます。
はたらきかける・・・新しいメッセージを受け取った一人ひとり私たちがどうしていこうか、社会の中でどうしていくのか、どうしたいのか、社会がどうなっていったらいいのか、一人ひとり考えて、身近な人とのコミュニケーションも、地域コミュニティに参加していくこと、職業、消費活動、政治参加など、いろいろなレイヤーで活動していく。
▶市民性について4人でトークセッションtime
ここからは4名のトークセッションに入っていきます。
・PIECESにジョインした理由やPIECEに共感した点を教えてください
栗野:2020年7月からジョインしました。今までPIECESへの接点が何かしたらあったわけではないので今、市民性醸成プログラムを運営しながら自分も考えながらやっているところです。市民性という言葉を最初に見た時に、すごいな、って単純に思った。今までNPOに関わってきたけど、PIECESのやっていることは直接子どもに関わる支援ではない。直接関わる支援は時にはしんどさにも繋がるな、と実体験や実施に見てきて感じていて、ボランティアの人が疲弊していく姿も見てきた。そこだけだと持続可能ではないな、といつも思っていた。自分が他のNPOとかでもインターン生、ボランティアが来た時はどうやったら持続可能になるかを考えていた。PIECESの市民性という言葉に惹かれた理由として「優しい間」も含めて、私とあなたの関係性というのがあるんだろうな、と思っています。その支援をする、されるではない、私とあなたどちらも心地良い空間でいましょうというこは、支援してあげる、支援してあげようという専門職らしい関わり方もあるけれど、それではたぶん持続可能じゃないなと思ったときに、自分も楽しい、楽しさでつながることを大事にする、相手と一緒にそこの空間を作っていくことにすごくひかれたし、そこが市民性だったり、PIECESらしさの間なのではないかとここ数か月で思うようになった。
佐藤:私も同じく2020年7月からジョインしました。PIECESを知ったきっかけとしては数年前からFacebookをフォローしていて記事を見ていたけれど、活動に参加したことはなかった。タイミング良く説明会を聞いたのをきっかけにジョインし、現在市民性醸成プログラムのスタッフをしています。自分として生きていくこと、私自身として生きていくことの大切さをプログラムから感じているところです。プログラム参加者も私自身でいられるように、自分と目の前に子どもとどう向き合っていくかという話もたくさん聞いていて、このプログラムを体感しないとわからないこともあるなと思っています。運営側ではあるけれども日々学びながら私自身もどうしたいんだろうと考えています。
・理事の青木自身が思う「市民性」はありますか。
青木:PIECESと自分が混ざっているので、難しい。私自身と問われると、まだまだ発揮できてないところもたくさんあるな、と悩むところです。やれることいっぱいあるけど、だからこそ何していいんだろう、どこまで忙しい日々の中でどこやっていこう、なにをしていこうというのは私自身も考えます。
市民性醸成プログラムの卒業生の立場から現在PIECESスタッフをしていますが、なにか日々実践していることなど具体的にありますか。
若林:先ほど青木から話があった「みつめる、うけとる、はたらきかける」のはたらきかけるにはたくさんのレイヤーがあって、自分ができないことへのしんどさも感じるし、自分ができないことが目についていたけど、見過ごしてしまったこと、アクションできなかったことが日々起きた時にすごくモヤっとすることがあります。その先を考える視点というのはPIECESで得られたなと思っています。
・市民性醸成プログラムを通じて見えた市民性の発揮とは
青木:市民性醸成はいくつかのレイヤーがあるという話が出ていて、4象限で整理してみました(図を参照)。縦が継続的か断続的か、横が組織(仕事)または個人(プライベート/地域)で活動に分けた時に組織で継続的にすることは仕事や、社会に対して働きかけるなどの色んな仕事が含まれています。組織で断続的に行うことは、単発のプロジェクトのようなものや、さらには組織での人間関係の向上、これは優しい間を表している。個人で継続的に行うことは子ども食堂などをライフワークとして活動することやボランティアとして参加することが入るが、この部分を市民性やボランティアということが多いが、実は個人で断続的に行うことが大切だと思っていて、これは勇気がいる市民性の発揮になると思っています。
・個人で断続的に行うこととは
青木:例えば公園で子どもに叩いている保護者をみたときに「どうしたんですか」、「一緒に遊びましょう」と声をかけてみる、ということはなかなか出来なかったりする。子どもが万引きしているところを見たり、動物をいじめているところを見つけたら、危ない子として子どもを怒るのではなく、その子の背景にはなにか逆境体験があったりするかもしれないと考え「どうしたの?」と声をかけて、その子の安全を確保することを考える。そのような突発的に起こった時の市民性発揮やその場で生まれた何かに対してアクションするということはそのメッセージをうけとめてはたらきかけることを行う。とても難しいことだけど、大事で、それを一人ひとりにゆだねるのもゆだねるですごく難しいからこそ、PIECESというフィルターを通して知り合った皆さんと共有し合ったりして、「こういう行動してみたよ」、「こんなことあったんだ、どう思う?」ということをみんなでシェアしていく。そのような市民性を発揮していくようなことができたらいいなと思っています。
栗野:市民性の発揮の仕方は人それぞれだけど、なにかすごく大きいことに見えてしまう人もいるんだろうなと思っていて、みこりんが書いたnoteがすごく好きで、市民性っぽいなと思っている。
若林:補足をすると、見過ごしてしまうとか、見て見ぬふりしてしまうとかあるけれど、見て見ぬふりが出来なかったことの話をnoteに書きました。
- みこりんのnote 山手線で500円玉を手渡したあの日のこと
青木:PIECESの市民性醸成プログラムでは、すごく感情やその場で感じたことをすごく大事にする、今どう感じているか何をしたいと思うか、みたいなことを大事にする。今のみこりんの話って通ずると思っていて、最近「後ろめたさの人類学」という本を読んだのですが、途上国の物乞いの人たちにお金を渡す場面って、私たちは何を渡すに対して、物乞いの人に対して後ろめたさを感じることがあるかもしれないけど、資本主義経済においてはお金を渡すことは違うので見なかったことにする、論理でその感情を見ないフリをすることが起こっているんじゃないかと書かれていた。それはそうだなと思っていて、活動したり、日々生きている感情に素直になってみるということがみつめて、うけとっていくになるのではないか、と個人的に思っている。ただそれに行動できるかというのはまた別なので、みんなでエンパワメントしながらやっていけたらいいんじゃないかと思いますね。
・市民性が広がった世界とは
青木:市民性って誰かの話じゃない、子どもや虐待などそういう子に関わることっていうのは私自身、私が関わっていいんだろうか、難しいなとか、上手い下手があるんじゃないかとか思っていた。今のPIECESのメンバーとか、色んな人と話していくなかで子どものことを考える、トラウマなど心をケアする部分は専門性が必要だし、大事で、専門家の方々と一緒にやっていきたいし、その部分も大事だけど、私もやりたいと思った想いや考えたことは無駄じゃないし、そう思ったことを共有してじゃあ何かやれることをやってみようと言って重ねていった先に、私自身の幸せもあるし、社会と私が分断しているわけではなくて、きっと同じものだから、私が良いと思う社会を私が実行していくことできっとその社会も良くなっていくんじゃないかと思ってこのプログラムをはじめてみると、色んな方が賛同してくれて、集まってくれて、こんな心強いことはないと本当に思っていて、毎年キャパの問題で市民性醸成プログラムの参加人数を少なくしていて、本来はたくさんの人とシェアしたいし、個人的にはこのプログラム以外にも、先ほど話していた日常で市民性を突発的に断続的に発揮していくというのをシェアし合う、増やしていく何かしらの仕掛けをPIECESでできたらなと思っています。
みなさん、PIECESメイトになるということはその第一歩な気がしていて、PIECESメイトになってシェア会みたいなもので最近感じていることとか、お互いにシェアしたり、話したりするんですけど、その時に普段話せなかったのにPIECESメイトの会だと話せたという話があって、そういうことを良いと思っている、こういうことをしたいと思っている人たちが集まって話したら、心地が良いしゃべりも出来るなと思ってまずそういうところに参加して、考えて何かやってみる、そういう小さな積み重ねにきっと意味があると思っています。もしよければキャンペーンの機会にPIECESメイトになっていただけたら嬉しいです。
12月20日までに100人の新たなPIECESメイト(マンスリーサポーター)を募る寄付キャンペーンを実施中
来年以降も子どもたちの周りに信頼できる他者を増やす取り組みを継続・発展させていくために、ぜひPIECESメイトになって共に歩みを進めてくださいませんか?
目標:100名
12/7 現在:11名(単発でのご寄付16名)