活動説明会

【イベントレポート】PIECES活動説明会~読み終えた本が想いをつなぐー古本チャリティのお話ーを開催しました!

2022年12月10日にPIECES活動説明会を開催しました。今回はゲストスピーカーとして株式会社ブキ代表取締役の菅原大司さんにお越し頂き、「読み終えた本が想いをつなぐー古本チャリティのお話ー」をメインにお話を伺いました。

■ゲストスピーカー:菅原大司(すがわらだいじ)さん

株式会社ブギ 代表取締役

東京都文京区でネット古本店「本棚お助け隊」と中古絵本店「OSAGARI絵本」を運営しています。
会社名の「ブギ」は、「ギブ(与える)」をさかさまにした言葉です。「与える」ことは、実は自分たちが「与えられている」んだという思いをいつも忘れないようにという、企業精神からきているそうです。


古本チャリティ募金をはじめたきっかけ

創業当初(18年前)から本棚お助け隊を始めました。本の買い取りをしていると宣伝していたなか、あるときお客さんから「査定額は、どこか頑張っている団体に寄付してください」と言われました。最初は日本赤十字社に寄付しました。古本チャリティは一人のお客様の声から始まり、形を変化させながら今では30団体が寄付先として登録されています。


寄付先団体はどんな団体が参加していますか?

地域や規模は特に関係ありません。国際協力、子ども、環境、医療、女性・LGBT支援などをしている団体と繋がっています。<本棚お助け隊の古本チャリティ募金団体一覧はこちら>https://hondana.biz/charity/

例えば、東京都文京区で活動しているこども宅食では、お子さんのいるご家庭に食材を定期的に配布しています。ブギさんから「何かできることないですか?」とこども宅食に声かけをして、食材と一緒に絵本を子どもたちに届ける活動を始めたそうです。毎年クリスマスの時期に、食材と一緒にラッピングした絵本をご家庭に配布。子どもたちは10冊くらいの中から好きな絵本を選べるように工夫されているそうです。

また、年末年始のオフィス大掃除シーズンに合わせて、株式会社サイバーエージェントが各社に古本回収BOXを設置。集まった古本をブギさんに寄付してくださり、その古本買取額を公益社団法人アニマル・ドネーションを通じて11の動物保護団体に寄付された事例も紹介してくださいました。

古本チャリティの取り組みを通してどんな変化がありましたか

古本の買い取りに関心がなかった方でも、古本がチャリティになるのであればと送っていただく方もいらっしゃるそうです。送料無料で古本を送れると選別せずに何でも送る方が多いようですが、「誰かのためになる」と思えば、キレイな良い本(査定額が高くなりやすい本)を選んで送ろうかなと意識されるのかもしれません。


OSAGARI絵本の取り組みについて

古本の買い取りだけでなく、絵本のリサイクル「OSAGARI絵本」の取り組みを行っています。菅原さんのお子さんのための絵本を探していたことがきっかけで、菅原さんの奥さまがOSAGARI絵本を始めました。店舗では絵本を購入できるだけでなく、店頭で好きな本が読めるように椅子が置かれています。

埼玉県新座市の小学校や神奈川県相模原市の子どもクラブなど、今まで繋がりのあるところに絵本の寄付をしたこともあります。近所の方は「OSAGARI絵本」を知っていて、小さなお子さんとお母さんが絵本を読みに来たり、近所の子どもたちが学校の帰り道に声をかけてきてくれることもあるそうです。

菅原さんからメッセージ

古本チャリティやOSAGARI絵本をやっているのは、「情けは人のためならず」ではないけれど、我々が喜びたいがためにやっている感覚が強い。こども宅食さんとクリスマスの時期に食材と一緒に絵本を配布したご家庭にアンケートを取るのですが、喜びの言葉をもらい「毎年やってよかったな」と自分たちが嬉しくなる。みなさんのためになるのであればそんな良い仕事はないなと思い、仕事しています。

宅配便に入るサイズのものは何でも受け付けています。本だけでなく様々なものを受け付けているので、「これはどうかな」と思ったらまずは入れてください。絵本だけでなく、ビジネス書、参考書などもお待ちしております!


今回、菅原さんから直接お話を伺い、「古本チャリティ」という仕組みをより多くの方に知ってもらいたいと改めて感じました。活動説明会にご参加頂いたみなさま、ありがとうございました。

PIECESでは、株式会社ブギさんご協力のもと、チャリティ募金を随時受け付けております!読み終えた本などを集めておりますので、ぜひご協力ください。

【PIECES活動報告会レポート】子どもが子どもでいられる社会のつくり方

 2022年7月22日にPIECESの活動説明会を開催しました。スピーカーはPIECES理事の斎が行いました。
子どもを取り巻く「孤立」の現状やPIECESが考える「市民性」など、活動説明会の内容をご紹介します。

斎とPIECES  

 児童養護施設にて施設で生活する子どもたちの息苦しさに直面したときたとき、子どもたちのケアと同時に、地域に信頼できる大人を増やすことが必要ではないかと考えました。そのようなことを考えていた時期に、現PIECES代表である児童精神科医の小澤いぶきと出会ったことがPIECESを始めるきっかけとなりました。

 最前線で子どもと関わっていた二人が、「子どもたちが安心できる社会をつくる」という大きな目的を持っていたことがPIECESの始まりです。私自身も子どもと関わる現場で働く中で、地域の大人の力が必要であると感じる場面がいくつもありました。そのような経験を通して私自身も、子どもと大人が優しい関係性を持つ重要性に共感しています。

  

子どもを取り巻く「孤立」の現状

 ユニセフの調査によると、日本では29.8%、10人に約3人の子どもが孤独を感じています。この数字はOECD諸国で最も高く、我が国において子どもの「孤立」は大変懸念すべき問題です。そもそも子どもの孤立とは具体的にどのような状態なのでしょうか。PIECESは、困ったことやしんどいことがあったときに、頼ったり助けてもらえる環境が子どもの周りにないことを、子どもの孤立と考えています。適切なケアを受けられなかった子どもは、人への信頼感がなくなる・自分を大切にできなくなるなどの悪循環に陥ってしまい、心の孤立が深まってしまいます。そして人に頼ることができずに、苦しみを自分一人で抱え込んでしまいます。

PIECESの取り組み

 PIECESは、自分を大事にしながら相手を尊重する「優しい”間”」を大事にしています。専門職でなくても「子どものために何かしたい人」が多くいること、そして彼らが悩みながらも子どもの心に寄り添いながら自分自身と対話することで、PIECESにて優しい間が生まれました。親でも先生でもない「市民」による関わり、そして各々の「市民性」を醸成することが、自分を大切にし相手を尊重できる優しい間を増やすとともに、少しづつ社会を良くするパワーに変わっていくと考えます。

 私も苦しい時に気兼ねなく相談できる人がいたおかげで、安心できるとともに前向きな気持ちになった経験があります。そして、相談できるという安心感は、子どもたちにとっても同じものであると思いました。私も地域に生きる市民として、優しい間作りに参加していきたいと思っています。

市民性を醸成するプログラム「Citizenship for Children」

  PIECESでは、子どもに何かできることをしたいと考えている人、地域・社会との関わりを探している人に向けたプログラム「Citizenship for Children」(以下「CforC」)を提供しています。CforCは、子どもの心に寄り添うだけでなく、自分たちの心地よい関わりを探求し、自分にできるアクションを考えることを経て、市民性の醸成を達成することを目指しています。言い換えれば自分も社会もwell-beingになるためのプログラムです。

 CforCでは、専門家の講座で知識を得る、仲間と思考を深める、そしてアイデアを形にするなど多様な学びのプロセスを体験する中で、自分にできることを探求していきます。子どもとのかかわりには正解がないからこそ、様々な人の声に耳を傾けながら、学び続け、問い続けることが重要であると考えます。また修了生は各地で独自のプロジェクトに取り組むことで、地域での暮らしを豊かにし、子どもたちと共に優しい間を作り上げています。

 CforC参加者の中には、同じ志をもった仲間と出会えたことで自分にも子どものために何かできると思えるようになったという声がありました。優しい間から生まれる市民性は、子どもの孤立を防ぐだけでなく、大人にとっても人との繋がりを感じることができる機会となるのではないでしょうか。

 そして参加者は累計で166名、2021年は64名と過去最大規模となりました。
これからはCforCのノウハウを広げていくことで、市民性の醸成をさらに進めていき、全国各地に子どもが孤立しにくいコミュニティが生まれるように働きかけていきます。

PIECESの組織について

 PIECESへの関わり方はCforCだけではありません。運営活動にコミットしていただいている方や寄付という形で応援していただいている方、多様な関わりがこの団体を支えています。

 またPIECESでは以下の4つのことを大切にしています。

①自己と他者を尊重するコミュニケーションを心がける
②多様な価値観に耳を傾ける
③心から動く
④ひらかれたweのマインドを持つ

私たち自身が日々価値観をアップデートしていき、自分たちの市民性を育んでいく。そうして作られる優しい間を社会に還元していくことを目指す団体です。

最後に

ここ数年の社会情勢の変化で、私がなんとなく思っていた当たり前は、当たり前じゃないのかもしれないと思うようになりました。「子どもはどう考えているのか」「自分には何ができるのか」たくさん考えて問い続けながらPIECESの活動に参加しています。
こんな時だからこそ、色々な背景を持つ人々と触れ合い、多様な価値観に目を向けることが、子どもたちのためにも、社会のためにも、そして自分のためにも必要なのではないかと思っています。

最後となりますが、活動説明会に参加していただいた方々、誠にありがとうございました。

執筆:広報ファンドレイジング インターン 大久保勇吾

3月イベントレポート 子どもの孤立を予防する仕組みづくりとは〜PIECES活動説明会〜

初めまして。PIECES活動報告会運営スタッフの澤です。

去る3月19日、PIECES代表小澤とコミュニティユースワーカーの糸賀をプレゼンターに招き、「子どもの孤立を予防する仕組みとは-pieces活動説明会-」を開催しました。参加していただいた皆さま、月曜の夜に足を運んでいただきありがとうございました。簡単にイベントをレポートいたします!

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会の始めは自己紹介から!話が緩やかに弾んでいるご様子。「幼児教育に興味があります。」「社会問題を解決したい!」「こども食堂をしていたので。」などなど、多様な思いを持って参加してくださっていました。


その後は代表の小澤からPIECESを始めた経緯に関するお話、小澤が出会って来た子どもたちの話。胸がグッと締め付けられるようなお話もありました。そして、どの事例でも共通していたことは「子どもが孤立していることに誰も気がつけていないときがあった」ということ。こうした事例について、参加者のみなさまにも感想や孤立の背景について考えてもらい、シェアしてもらいました。「家庭が悪いのではないか。」「学校がもっとしっかりしていれば」そうした意見が飛び交いました。

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そうした意見を踏まえて、小澤からPIECESが考える子どもが孤立してしまう課題の構造に関するお話をしました。「頼るということは主体的な行為」このキーワードが私は印象深かったです。私たちの当たり前が、その子にとっての当たり前とは限らない。
話を聞いていく中で、ハッとした表情を見せる参加者が多くいらっしゃいました。

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続いて、現場で実際に活動を行っているコミュニティユースワーカーの一人、糸賀からコミュニティユースワーカーに参加した経緯と、参加してみて感じたことに関する発表。彼女の子どもたちへのメッセージ「一緒にいるこの瞬間は目の前にいるあなたのことを考えているよ」は心に強く響きました。
また、現在PIECESの活動を通して、「あの子にとっての幸せな瞬間はなんだろうと語り合える仲間がいること」が心強いという話をしていました。それがPIECESの良さなんだなぁとしみじみと思いました。

最後は参加者からの質問の時間。ここでは、印象に残ったやりとりを書こうと思います。

まずは「Q,頼る力を育めば、孤立は解消されるのか?」という質問から。
「頼るという行為は相手との相互作用、頼るスキルを育むだけではなく、頼れる文化を作っていく必要があります。スキルと文化、両輪揃って初めて頼るという行為ができるのではないか」と小澤は話していました。

続いて「Q,活動の中で自身のトラウマと重なってしまうことがあるのではないか?」という質問に対しては、「コミュニティユースワーカーのゼミのおかげで、冷静に見ていくことができました。お互いのWHYを話せることで、自分の過去の感情の整理をつけることができました。そうすることができたことで、目の前の子は目の前の子、そうやって自分と分けて考えることができました。」と糸賀は話していました。専門家の適切なアドバイスとお互いの思いを共有し、共感し合える環境。それがPIECESが持つ強みなのだと感じました。

PIECES活動説明会は今後も月一回のペースで実施予定です!皆様のご参加お待ちしております!