活動報告

子どもの「強み」捉え直す&子どもとの関わりを振り返る〜第2回CYW講座&ゼミレポート〜

こんにちは!
コミュニティユースワーカー4期の上野、和田です。

早速ですが、皆さんは普段周りの人をどれくらい観察していますか?

コミュニティユースワーカーとして活動する上で、子どもたちを注意深くみてコミュニケーションをとっていく必要があります。
そこで今回は、『子どもの「強み」を捉え直す~関係づくりの難しい子どもへの関わり方』というテーマで講義が行われました。

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前回はマクロの要因から子どもの孤立の構造を学びました。今回は個々の子どもとの接し方というミクロの要因から子どもの孤立を学びました。

講義では、ストレングス視点というレンズを通して観察することの大切さについての話から始まりました。
ストレングス視点とは、その人の長所、力、資源とも表現できるポジティブな資質と未開発の潜在能力を探すことに焦点を当てる概念です。

子どもは自身の意見を述べる「言語化」に加えて、体調などに変化をきたす「身体化」や暴れたりなどの「行動化」といった表現をします。
そういった子どもの表現(サイン)に対して、大人は自分の中にある当たり前の思い込みや、先入観でみてしまうことがあります。そして、その思い込みや先入観を取り外していくために「子どもの行動」、「願い」、「環境」をよく観察して問いを立てることが重要だということが強調されていました。

実際の事例を踏まえたワークでは、不登校の小学生と自傷行為を行う中学生のケースで、その子の様々なサインをストレングス視点というレンズを通して強みを見つけるワークを行いました。
前者では、学校へ行かないという選択ができること、後者では他者を傷つけないなどの意見が出ました。

その子がなぜできないのかというではなく、何ができるのか発想の転換をすることで子どもとのコミュニケーションの幅が広がると感じました。

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そして後半は、コミュニティユースワーカー4期生のみで行うゼミでした。

文京区広報課のテレビ取材が来るというサプライズもあり、最初は少し緊張気味だった空気は徐々にほぐれ、いよいよ本題へ。

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今回は、前半の講義のふり返りに加えて、各自が現場実践後に書いた『プロセスレコード』を見ながらリフレクションを行いました。

『プロセスレコード』とは、主に医療現場で用いられている、自己のコミュニケーションのパターンを客観視するための方法です。

具体的には、実際に現場で起きた子どもとの会話の中で、特に印象に残っている会話を思い出し、その状況や自分の心境を細かく思い出して書き留めていく作業です。

このプロセスレコードを書けるようになると、子どもとの関わり方の、自分の傾向を知ることができるのです。

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実は前回、4期生にはこの「『プロセスレコード』を現場実践後に書く!」という宿題が出ていました。

その宿題をもとにメンターの中島巳歌さんによって、各自が書いたプロセスレコードについてリフレクションを行いました。

コミュニティユースワーカーが実際に体験した会話の中で、気になる点をひとつひとつ丁寧に話していくと、

「私はなんでこのような対応をしたんだろう」

「もしかして、この発言をしたとき私はこのような風に感じていたのかもしれない」

など新たな自分を発見できたり、

「この状況で、このような発言をされたら、私はこのような対応じゃなくて、違う方法を取っちゃうと思う」

と、コミュニティユースワーカーの中でも個性があり、実践の多様性を改めて感じました。

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次回も、実践後に書いたプロセスレコードを元により深いリフレクションをしていきます。
実践には正解がないからこそ、このようなふり返りの時間を大切にしていきたいです。

(上野・和田)
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9月の公開講座は、9月16日(日)10時~12時 に開催します。
9月のテーマは、「専門家ではないからこそできる子どもの支援 ~子どもとのかかわりを創造的に問い直す~」です。
講座の詳細やお申し込みは下記ページをご覧ください!
https://pieces-seminar1809.peatix.com/

 

 

「子どもの発達段階における孤立の構造理解」コミュニティユースワーカー4期_第1回公開講座・ゼミ

こんにちは!

コミュニティユースワーカー4期生の飯島・若林です。先日、「コミュニティユースワーカー育成プログラム」の第1回公開講座・ゼミが行われました。

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6月よりスタートしたコミュニティユースワーカー第4期の育成プログラム

初回となる今回の講師は、PIECESの代表で児童精神科医の小澤いぶきさん。

そして今期からコミュニティユースワーカー育成プログラムの実践・座学・リフレクションのうち、「座学」のパートは公開講座形式で開催されています。そのため、NPOや社協職員の方、地域で子どもに関わる活動をしてる方など、約20名の一般参加の方々と私たちコミュニティユースワーカーとが一緒に学ぶ場となりました。

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今回のテーマは「子どもの発達段階における孤立の構造理解」。

 

子どもが幼児期から青年期にかけて精神面・情緒面でどう発達していくのか、そしてその時期における貧困・虐待などが子どもを孤立させてしまうリスクになることを理論的に学びました。

子ども一人一人を取り巻く環境はそれぞれ異なっても、子どもの言動に表面化されない願いや欲求を想像して関わっていく上でこうした知識はとても大切だと思います。

 

講義には体験型のワークもあり、ペアになり保護者役・5歳児役を演じました。「5歳児役は保護者役に一日のできごとを話し、保護者役は疲れていて話を無視する」というもの。演技といえど子ども役をやってみると「無視されること」は心理的ダメージが大きかったです。無視されることで諦めたり、保護者に見てもらうために声を大きくしたり、わざと怒られるようなことをしたり。人によって様々な言動をしていたのが印象的でした。

 

このワークを通じて、我々大人でも感じるこの虚無感を言語化もままならない発達段階にある子どもたちは多様に変容させていくことを学びました。自分を責めて偽ったり、わざとおどけて見せたり、自分を隠して良い子に振舞ってみたり。

これは極端な例かもしれませんが、共働き世帯や核家族世帯が多くを占める現代において、養育者のみで子どもを育てていくのは精神的・肉体的にも負担が大きくなっていると思います。そんな時、子どもの話を聞いてくれたりサポートしてくれる第三者の存在があれば、子どもが孤立するのを防ぐことができるかもしれない、と改めてコミュニティユースワーカーの必要性を感じた場面でした。

 

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午後のコミュニティユースワーカー4期生のみで行われたゼミでは、講座の振り返りや自分のコミュニケーションの傾向を知るワークを行いました。ワークの内容は、今までに仲良くなって関係が持続している人たちをリストアップし、それぞれの人と仲良くなったきっかけや関係性という観点で細分化していくというもの。グループ・全体でシェアしたところ、自分の成長に応じて人との関係性で求めるものが変わった人、ケンカをきっかけに深い関係を築いたという人など実にさまざま。「自分がどのようなコミュニケーションを好む傾向があるのか」ということを自己分析することができたこのワークは、まずは自分自身をよく知ることで客観視できるようになり、子どもたちと関係性を構築する中でとても重要な気づきとなると感じました。

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また、コミュニティユースワーカーとして今後本格的に実践に移るメンバーは「コミュニケーションをつくる」存在になるために、コミュニティユースワーカー同士の関係性の重要性も改めて認識しました。

育成プログラムの初回を終えて4期生のメンバーは

「今後子どもたちと関わっていく中で立ち止まって考えるための基礎を学べた」
「自分だったらどう思う、という主観的な視点から、第三者という目線に立って子どものことを客観視するする姿勢を学ぶことができた」
「表面的事象に一喜一憂せずに子どもたちと関係性を築いていきたいと思った」

などと学ぶことが多い一日だったと振り返りました。

次回からは自らの実践をリフレクションする段階に入ります。実践・座学・リフレクションの3本柱で行なっているコミュニティユースワーカー育成プログラム。

現場実践を経験したメンバーが、それぞれの体験をどう感じ、どう落とし込んでいくかとても楽しみです。

やってみたい!と思ったとき、一緒に楽しんでくれる大人がいる。プログラミングや電子工作を行う「クリエイティブガレージ」を開催!

現在、毎月第2第4土曜日に豊島区に本社のある養老乃瀧株式会社のオフィスを借りて、イベントを開催しています。
今回、1月20日(土)の回では、ゲーム制作だけでなくその他のものづくりの場も誕生したので、レポートにて紹介していきます。

集まった子ども達の人数は、13人ほど。中高生がメインですが、小学生も参加しています。
コミュニティーユースワーカーや、子どもたちと一緒にゲーム作りや電子工作などが得意な大人を含めると、総勢で25人が集まりました。


クリエイティブガレージは、中高生が「やってみたいこと」や「好きなこと」に取り組む場です。
ここに集まっている大人たちは、ゲーム会社で働いている人、アーティスト、デザイナーなどなど活躍されている分野はさまざま。「子ども達のために何かをしたい!」というよりかは、「自分の好きなことを好きな人たちと一緒にやりたい」といった思いのもとで参加しています。
大人も中高生も関係なく「好きなことをやっている人」同士が集まり、各々好きなことに取り組む、そんな場を作れたらと思っています。また、自分のやりたいことが明確な子ばかりではないので、好きなものが何かを話したり、少しサポートしたりすることももちろんあります。

1人1人の「やってみたい」から始まったいくつかの取り組みを紹介していきます。
今回は、大きく「ゲーム制作」「電子工作」「アート」の3つ切り口でコーナーができています。

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こちらは、「ゲーム製作」コーナー。
今回から某ゲーム会社の社員の方が数名新しく参加してくださっています!実は、クリエイティブガレージができたばかりの頃から参加しているゲーム会社の方が、社内で参加者を募り、相性が良さそうな人を探して連れてきてくれているのです。
家でいつもやっている大好きなゲームをまさか自分が作るなんて!と言っている子や、ゲーム作りにおいて、様々な役割を果たし始める子も出てきています。

最初はキャラクターのデザインを描き、途中からかなりのアイデアマンだということがわかり、ゲームのストーリーなどを考える役をになったり、そして最近では、プログラミングをやってみたい!と言ってこの場でコードを少しずつ書き始めるようになりました。

 

こちらは、「電子工作」のコーナー!
LEDライトを立体的に組み立てて、プログラミングで点滅させています。
楽しそうにやっている男の子を中心に、他の子どもたちも徐々に興味を示しています。

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こちらは今回初登場の「ハンコ作り」のコーナーです。
今回は、美術作家の山根 英治さんにきていただき、紐を使ったハンコ作りをみんなでやりました。

山根さんは、1本1本染色した紐で絵を描くなど、紐を使った作品作りをしている方で、Tokyo Midtown Award 2017のアートコンペで優秀賞を受賞し、ミッドタウンにも作品が展示されていたこともあるそうです。

http://www.tokyo-midtown.com/jp/award/result/2017/art.html

紐を使ってハンコの絵柄を作っていきます。
「私不器用だから、こういうの苦手なんだけど...」と苦戦するコミュニティユースワーカーや、
「俺、これ得意かもしれない。楽しい。」と黙々と進める高校生。
子どもも大人も作業に夢中です。

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鮮やかな朱色に彩られた、個性溢れる手作りハンコが10個ほどできました。
「違うバージョンも作りたい!」とワークショプのリクエストがきたほどです。

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こちらは「特撮動画の撮影」のコーナー!
ダンボールを積み重ねて、街を再現しています。

 

 

ウルトラマンが大好きな彼が監督となり、怪獣が街を破壊する場面を、試行錯誤しながら撮影しています。今回は、ゲーム制作、電子工作、プログラミング、手作りハンコ、特撮の動画制作など、各々が自分の好きなことに取り組んでいました。どのコーナーでも、大人と子どもが笑顔で作業を協力している姿が絶えなかったのが印象的です。

 

 

 

 

 

 

興味があるものをやりたいと思ったとき、一緒に取り組んでくれる大人がいる。
「やりたいことをやりたい!と言える」「やりたかったことが形になっている!」

クリエイティブガレージがそんな場になりつつあるのではないかなと思いました。


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writer

PIECES コミュニティユースワーカー:糸賀 貴優

法学部の3年生。心理学、社会的養護、家族の多様性に関心があり、PIECESでは、コミュニティユースワーカー2期生として活動している。足立区と豊島区を活動拠点としており、小・中学生とは一緒に遊びまわり、高校生にはいじり倒されている。また、ウェブメディアsoarの編集部としても活動している。笑い上戸。

地域の中高生を〝斜め下〟から支える「中高生センター ジャンプ 東池袋」

東池袋にある「中高生センター ジャンプ」は、豊島区内在住・通学者が利用出来る児童館です。
約一年前からPIECESのコミニティユースワーカー(CYW)が関わり、中高生と共に様々な活動をしています。

中高生児童館ジャンプには、中高生の「やりたい」が実現出来るよう様々なものが揃っています。
自分のペースで過ごせる居場所空間はもちろん、
パソコンやボードゲーム、
バスケが出来る屋上、
ギターやドラムなど本格的な楽器が揃うスタジオもあり、バンドを結成した中高生がライブで演奏もしました。
映画作りに挑戦した中学生もいます。

いつもは一日50人以上利用しますが、この日はテスト前という事もあり20人ほどでした。
CYWはこの日、受験を控えている高校生に勉強を教えたり、
お喋りしながら一緒に折り紙を折ったりして和やかな時間を過ごしていました。

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こうした何気ない会話を通して、悩み事ややりたい事などを話してくる中高生もいます。
それらをキャッチしたら、ジャンプの職員と共有するだけでなく、PIECESが持っている資源に繋げ、中高生の可能性の実現を図っています。

CYW1期生の中村さんは、「この一年間で中高生と関係が築けたので、今後は個別の相談にももっと応じれるようにしたい」と、LINE相談の準備も始めています。

館長の篠田さんはジャンプを「中高生を斜め下から支える関係。家庭でも学校でもない身近な地域の居場所として、中高生にお節介をするのが役目です。」と話していました。

児童館と民間団体が連携する事で、中高生の多様なニーズに対応可能な選択肢を広げています。
ジャンプとPIECESの取り組みがモデルケースとして示していけるようにしたい、と篠田館長と中村さんが語っていました。

中高生とジャンプ、
中高生とPIECES、
ジャンプとPIECES、
それぞれの関係の良さが伝わってくるような、温かな空間でした。

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◾︎今回のイベントのように、NPO法人PIECESは、子ども達の興味・関心に寄り添い、共に楽しみを共有しあえる活動をしていきたいと思っています。みなさまのご協力があってこそこのような活動ができていますので、今後とも、どうぞ宜しくお願いいたします。


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広報ボランティア  小澤 麻紀
若者向け就労支援機関の相談員として勤務。コミニティーユースワーカーの活動に興味を持ち、昨年よりPIECES広報ボランティアとして各現場を訪問・取材をしている。趣味は、神宮球場でビールを飲みながら野球観戦をする事。

 

自分の思いを伝えて人を動かすちからワークショップ【自主ゼミ】

こんにちは、春から大学一年生になるCYW3期の森 那智です。

今回は、コミュニティユースワーカーの中で行った自主ゼミについて報告させていだきます。

PIECESに参加したのは、去年、受験期で進路などがわからない中、漠然と「人のためになりたい」と思い、軽い気持ちでボランティア探して見つけたのがきっかけでした。それから、コミュニティ・ユース・ワーカー(CYW)として携わっていて、「人のためになる」ことがどれほど奥深いものかPIECESでの活動を通して実感しています。

そんな僕ですが、先日同じくPIECES・CYWの大畑さん主催の「自分の思いを伝えて人を動かす力」というワークショップに参加しました(こうゆう自主ゼミなどは、先生・生徒関係の授業ではあまりない、お互いから学び合う機会としていつも刺激的です)。

今回の自主ゼミは、大畑さんが参加した内閣府主催の青年リーダー研修会にて受けた、COJ(コミュニティー・オーガナイジング・ジャパン)のワークショップでの体験をもとに開催したそうです。

 

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いきなり「Xをしてください」や「Yをしろ」と言うだけでは、自分の思いは伝わらない、他人。
簡単には動かせない、他人。
何かしら実現するために必要となるその他人の協力やアクションですが、それをどう促すか。

この問に対して、”Public Narrative”というアプローチをとる実践型ワークショップでした。「なぜ私はXを実現しようとしてるのか?」、「なぜあなた(達)はXを実現するべきなのか?」、「なぜ今、Xのために動くべきなのか?」という三つに焦点をあてることで、相手に協力を得たいという思いだけでなく、相手の協力を促すように話、Narrativeを組み立てる。しかし、自己理解、他者(相手に対する)理解、そして自分のプロジェクト・取り組みに対する深い理解がなければ、この三つの問への答えは相手に響かない。

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 話の組み立て方によって、いろんな人を行動に巻き込むことができる大きな可能性とともに、前述の「人のためになる」ことの深さのように、このような基本的なことこそ突き詰めるのが難しいと思いました。

  今回のワークショップのように、PIECESでの活動は毎回考えさせられ、刺激にもなり、とてもやりがいがあります。

森 那智
PIECES CYW3期