CforCとは

Citizenship for Children(以下 CforC)は「わたしらしく子どもに関わりたい」と願う市民向けに行なうプログラムです。一人ひとりが自分なりの市民性を醸成し、行動できるようになることで、子どもと自分、地域のウェルビーイングをつくることを目指しています。オンラインを活用した本プログラムでは、全国各地から集まる参加者が互いに学びあい、繋がりを深めます。

 
 

CforC 2023

2023年度は、「基礎」「探求」「実践」の3コースを実施しました。講義や講師との質疑応答だけではなく、参加者がそれぞれの視点で話す言葉に学びあい、励ましあう場面がたくさんありました。また修了時には「何かしなくてはという力みが抜けて、自分の心地よい在り方が見えた」という声が多かったのも今年の特徴です。回を重ねるにつれ、学生時代からの友人のように打ち解けていく参加者のみなさん。オンラインの出会いから始まるCforCコミュニティは、参加者・スタッフの垣根を越えて、今も各地で広がり続けています。


どんな人が参加したの?

 
 

今年度の参加者は、探求ースが29人、基礎コースが48人(通期:36人、前期:10人、後期:2人)となりました。探求コースのうち5人が実践コースに進んでいます。


参加してみてどうでしたか?

●漠然とした大きな目標以外にも、より身近でハードルの低い何かが出来るのではないかと考えられるようになった。(45-54歳、社団法人・財団法人勤務)

●まず、行動を起こしてみようという考えにかわった。以前は、イチから団体や活動を作ることばかり考えていたけど、いま目の前にいる子どもや人々を自分にできる範囲で手助けすればいいと考えるようになった。(35-44歳、会社員)

●子どもにかかわろうとする際に、子どもの願いに目をむけるようになった。特に、自分がかかわるときの姿勢が子どもにはどのように受け取られるか?という視点をより強く意識するようになった。(25-34歳、大学生)

●専門性を身につけないといけないと思っていたが、市民性を使って関わる大切さを改めて知ったので、専門性にこだわらなくなった。(45-54歳、NPO職員)

●特にリフレクションを通して、こういうことがあるのではないかと視座をもらう中で、自分に自信をもったり、逆にこうではないか?という不安にかられて思考しがちだと改めて気づけた。(25-34歳、NPO職員)

●先人の講師の皆さんが行動してきた道のりを聞いて、悩んだり、自信を無くしたりすることは誰にでもあるんだと感じた。参加しているメンバーの皆さんからの感想も様々でこうしなければならないという考えはなく、自由な発想もよいんだと思わせてくれた。(45-54歳、フリーランス)


参加者の変化

プログラム開始前後の参加者アンケートでは、今年度は以下の項目で「当てはまる」「とても当てはまる」の回答割合に大きな変化が見られました。子どもの願いを大切にするとともに、自分の願いも大切にするという視点は、私たちのプログラムの大きな特徴です。


 

2022年度の修了生の中から実践者を募った「アクションサポートコース」。実践者ごとに伴走者がつき、一人ひとりのオリジナルな実践をサポートしていきました。そして2023年5月5日、全国各地で4つのアクションがスタートしました。それはきっと実践者自身が、子どもにとっての「ちょっと困ったときに顔が浮かぶような、信頼できる他者」となっていく営みです。自分も、子どもも、地域も、「わたしたち」がウェルビーイングであれる優しい間が、今もなおじんわりと広がっていっています。


Hana-Co

“対話を通して愛着が愛着を育む優しい間”

活動地域:神奈川県横浜市青葉区
実践者名:めいちゃん

CforCでは普段はあまり言語化されることのない心の中を表現し、聴いてもらったり聴いたりする機会がたくさんあり、回を重ねる毎に(画面越しであるにも関わらず)ひとりひとりを愛おしく思う体験をしました。自分を表現し、誰かに受け止めてもらう心地よさを大人にも味わってもらいたくて手紙を書く場をお届けしました。

市民性のひろがり

「共にはなす場」(「はなす」は、話す・放す)をコンセプトに、小さな人から大きな人までいつもの役割や場から放れ、対話を通して心の奥に持つ自分が大事にしたい気持ち・ねがいを解放し、そして共に味わうそんな居場所として定期開催。2023年度は月に2回、2024年4月からは月に1回、公園内にある施設を借りて場を開いています。


インプロタイム チルタイム

15歳くらいから20歳くらいの君たちへ、シアターゲームやってみない?

活動地域:東京都豊島区
実践者名:詩麻

「カラダとココロが反応している」ことを実践したかった当日は、わたしの一部が溶け出しているような満ちている時間でした。しばらくして、ボタンのかけ違いを感じるようになりました。そもそもボタンは外れているのかもしれない、外したいのかもしれない。そんな違和感を抱きながら、またやりたいなーと思っています。


はらのまちぱれっと

アートや遊びを自分なりの表現でその場にいる人たちと楽しめる場所。絵の具遊びなど、屋外でのびのび過ごそう。

活動地域:宮城県仙台市宮城野区 清水沼公園
実践者名:小野澤さゆり、たいすけ、こと

アクションサポートコースに進んで、自分自身とより向き合うことができ、CforC修了後も続く関係性が新たに生まれました。自分と相手の想いを大切にする時間を過ごして得られた自分なりの探り方や物事のみかたは今でも大切にしています。そしてCforCは私自身の温かい居場所でもありました。

市民性のひろがり

公園でのアートワークショップの他、社会的な孤立を解消するための図書館を開き、子ども食堂を開設するなど、活動はさらに広がっています。2023年には学生団体であった母体を法人化し一般社団法人を立ち上げました。


まなびsotto

手紙を書く会。家族、友人、恋人、故人、自分へ..どの時代の、誰に宛てて書くかは自由です。

活動地域:一番落ち着ける場所(オンライン開催)
実践者名:林実香

これまで詳細までしっかり考えなければ、という思いがありなかなか実践できずにいました。しかし研修や対話・伴走を重ねる中で「サービスを提供するのではなく、一緒にみんなで創っていく。どこにでも居場所は創れるし、いるだけで居場所」そんな風に思えるようになりました。アクションサポート後は肩肘張らずに気軽に誰かを呼んだり、ちょっとした場を創ったり様々な場面でできるようになりました。

市民性のひろがり

多様な大人からの手紙が毎月子どもの自宅ポストに届くサービスとしてリリース。2023年12月末までの間、1日100円で暮らすことが出来る環境を作る人、江戸の研究をする人、宇宙飛行士に挑戦した人、週末マジシャン・・毎月違う大人が書いた手紙をランダムにお届けしました。


PIECESでは「市民性の醸成」を掲げて、子どもの日常を支える市民や非専門職の支援者向けの学習プログラム「Citizenship for Children(CforC)」を運営しています。CforCコンソーシアムは、CforCで大切にしている想いに共感いただく全国各地の団体や機関、自治体、企業の方々と協働し、各地域で市民性を育む活動を広げていくことを目的に立ち上げたプロジェクトです。


2023年の動き

2023年1月に開催された本コンソーシアムのキックオフイベントを皮切りに、コンソーシアムとしての取り組みの方向性や具体的な企画を丁寧に対話と理解を重ね、ゆっくりではありますが着実に一歩ずつ歩み出しています。


市民性を拡げていく
団体同士との
まなび合い

コンソーシアム1年目となる今年度は、PIECESと関わりの深い6団体に賛同・参画いただき、団体同士の交流や対話、まなび合いの場として「まなびの会」をスタートしました。これまでに4回開催し、参画団体同士の活動紹介や市民性との関わりや想いについて共有・探求し合う場となりました。徐々にではありますが、コンソーシアムを通じてつながった団体同士が、活動拠点を訪問し合うなど、横のつながりも育まれています。


さらにCforCを
各地へ拡げるために

CforCプログラムで大切にしているエッセンスをPIECESの手元から拡げていく為に、プログラムの「パッケージ化」に着手し、各地域や団体の方々にとって利活用しやすいモデルづくりを推進しています。また、これまで言語化や定量評価を困難としていた「CforCが与える影響(評価)」の可視化に向けて、プロジェクトチームを立ち上げて事業評価のデザイン・設計をおこなっています。今年度中の検証方法の確立までには至っていませんが、既存手法からユニークなアイディアまでを取り入れながら、「市民性を育む」ことの意義について解き明かしていきます。


今後もご縁やつながりを大切にしたコンソーシアムとして、ゆるやかに参画団体を増やしながら各地での協働やCforCプログラムのエッセンスを届けていけるよう実現に向けて取り組んでいきます。


コンソーシアム参画団体
(50音順)

参画団体からの声

ただ集まるのは得意ではないけれど、「問い」の下に人が集まるのは素敵。問うだけでなく行動をしていくことも大切。「市民性」につながる様々な問いの下に集まった私たちで、集まったからこそできることをやっていきたい。(一般社団法人We are Buddies)


コンソーシアムから
生まれた協働事例

 

ボランティア向け研修の
企画・開発、運営
(一般社団法人We are Buddies)

一般社団法人We are Buddiesでは「バディプログラム」を実施しています。バディプログラムでは、子どもと大人ボランティアが2人組のバディとなり、月に2回程度、一緒に遊んだり話したりしながら、フラットな信頼関係を築いていく取り組みです。そこで、CforCで使用している講座やリフレクションの教材・ツールを活用し、大人ボランティア向けに、子どもと健やかな関係性を築くための基本姿勢を学ぶ研修を通年で実施しました。現在は、CforCプログラムの参加者が大人ボランティアとして活動する、あるいは大人ボランティアがCforCプログラムへ参加するといった相互の交流が生まれ始めています。

 

CforCプログラム
(エッセンシャル版)の開催
(さきちゃんち運営委員会)

東京都文京区で活動する「さきちゃんち運営委員会」と協働し、多世代型の居場所「ワークスペースさきちゃんち」で2023年6月から12月までの約半年間、計4回にわたる連続講座を企画・開催しました。各回の内容は、CforCで大切にしているエッセンスを元に、子ども・若者と関わる人に限らず、いろんな世代の方にもあてはまるものとして、(専門職、非専門職問わず、市民として)地域の居場所等に関わる方向けの内容へ再構成しています。参加者からは、「市⺠の⽴場で寄り添うための勉強会だったのに、事例を読んだとたん、“正解”を探そうとする⾃分がいて、それに気がついたのがかなり後になってからでした。すごく反省しましたが、いい気づきでした」、「様々な支援の中に、在り方を問われる支援が増えてきているように感じます。市⺠性の学びを深めていきたいと感じます」といった感想が寄せられていました。