イベントレポート

イベントレポート|8/9開催 未来をつくるPIECESメイト★Welcome Party!メイトと語る #わたしとPIECES

\未来をつくる PIECESメイト/

7月に実施した寄付キャンペーンでご登録いただいた方々に「ようこそ、PIECESへ」。そして以前からPIECESを応援してくださっているPIECESメイトの方々に「いつもありがとう」の気持ちを込めて、オンラインでWelcome & Thanks Party!を開催しました。

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今回のキャンペーン期間中に、新たにPIECESメイト(継続寄付)にご登録いただいた方は128名、単発の寄付の方が73名となり、改めてPIECESを応援くださる方がたくさんいらっしゃることを実感することができました。

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おひとりお一人の願い、託してくださる想いが本当に嬉しく、共に同じ未来を願って歩んでいけること本当に心強く思います。


会の後半では、それぞれの #わたしとPIECES をことばにしていただくワークを実施。
お一人お一人から聞かせてもらった想いには、本当に温かく、優しく、強いものがありました。
 
生活の中で、過去の経験の中で、想いを馳せるようにPIECESに願いを託し、共に歩むことを決めてくださった皆さんに改めて感謝の思いでいっぱいです。
 
直接お会いすることは叶いませんでしたが、皆さんと共にこれから歩んでいけること本当に心強く思います
 
「またね」「これからよろしくお願いします」で終われるイベント。これからともに未来をつくるPIECESメイトのみなさんとの一歩に感謝とわくわくの気持ちが溢れました。
 
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました!

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PIECESメイトのみなさまからのご寄付は、様々な背景によって子どもたちが社会的に孤立することを防ぐ活動や、PIECESが行っている市民性醸成プログラムにかかる費用に活用させていただきます。いただいたご寄付とお気持ちが、私たちの活動を通して、子どもたちにきちんと届いていくように努めてまいります。

#ひろがれPIECES

イベントレポート|6/21開催4th Anniversary 子どもとの優しい間にあふれるひらかれたweの社会にむけて

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4th Anniversary Event 「子どもとの優しい間にあふれるひらかれたWeの社会にむけて」を開催しました

6月22日で4周年を迎えたPIECES。代表の小澤、理事の斎・青木のほか新たに就任した理事・監事の4名も加え総勢7名でANB TOKYO_東京アートアクセラレーションにてトークセッションを行いました。

昨今の社会情勢を受けて、オンラインでの開催。登壇者は一箇所から、ご参加の皆さんにはオンラインで配信に参加していただきました。※トーク中はマスクを着用し、細心の注意を払い実施いたしました。

理事・監事メンバー(左から、青木・小野田・荻原・小澤・長田・佐藤・斎)

理事・監事メンバー(左から、青木・小野田・荻原・小澤・長田・佐藤・斎)

当日のタイムライン 

①about PIECES
②新理事・監事のご紹介
③トークセッション「ひらかれたweの社会に向けて」

(イベントレポートをぎゅっとまとめたスケッチノートが最下部にあります)

多くの人と歩んできたPIECESの4年間

6月22日に法人設立4周年を迎えたPIECES。2018年には東京都から認定を受け、認定NPO法人になりました。「about PIECES」のコーナーでは、代表の小澤、理事の斎と青木がこの4年間を振り返りました。

まずは事務局長の斎より孤立の現状の話から。

人が孤立してしまう背景にあるのは、人に頼ることはとても難しく、それは自分の現状を認識し、具体的に相談する相手の顔が浮かぶ、そういったハードルを乗り越えて初めて人に頼ることができるからです。

PIECESは設立以来、孤立の解消も含め取り組むべき課題に対し複数の拠点で活動を行ってきました。古民家や体育館、シェアオフィスなどさまざまな場所で子どもたち、社会人いろんな人たちと活動してきました。それは子どもにとって親でも先生でもない大人たち=市民との関わりというのを意識してきたからです。PIECESの活動から生まれた育成プログラムを終えたメンバーが地域の中で活動するようになったりもしました。

Citizenship for Childrenプログラム(旧:コミュニティユースワーカー育成プログラム)では4年間で60名のプログラム修了者が出ました。昨年より水戸地域で実施し、今後は全国に展開していく計画です。

この4年間、多くの寄付者の存在に支えられてきました。今では毎月の寄付者が約180名。企業・法人からの寄付が25社といった状況まで来ることができました。引き続きご支援のほどよろしくお願いします。


続いて代表の小澤より、これまでの活動を通じて思いいたった「間(ま)」、市民性の醸成について。

それぞれが良い関係で共存できる状態、例えばしんどくなっても誰かと支え合える、よい循環が生まれていく関係。それこそがわたしたちの描くひらかれたweの社会と言えるものです。

ひらかれたweの社会が生まれるために、すでに私たちは相互に影響しあい、働きかけあっている事を見つめ、受け取って、自分の手元から社会を生み出していくプロセスが必要だと思っています。わたしはわたしだけで存在しているのではありません。ひらかれたweの感覚を大事にできる社会にしていきたいのです。

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この社会で起きていること、例えば貧困や虐待、いじめなど様々な問題はわたしたちと無関係ではありません。問題の要因は、特定の何か一つに起因するものではありません。だから、社会が育まれていくためには、わたしたち一人一人が手元から社会に関わっていくことが大切です。

今回新しく理事・監事をお迎えしたのは、思い描いている未来を実現するため、これからのPIECESをつくるためです。

ひらかれたweの社会をつくる私たちに必要な視点が3つあります。

・みつめる    ― 私たちが生きる世界をありのままに見ること。

・うけとる    ― わたしたちの周りでおこっていることをありのままに受け取ること。

・はたらきかける ― 自分たちの手で社会に対して働きかけていくこと。

このような考え方を持つことが、やさしい間の生む世界をつくることや市民性の醸成に繋がっていきます。それぞれが自分の手元から社会に働きかけることができるのです。

PIECESが願っている世界観をつくってくれる人たちを”まきば”と総称しています。生態系のようにいろんな人たちそれぞれが大事にするものを起点に、ひらかれたweの社会をつくるために取組んでいる。そんなイメージを持っています。


次は、そんなひらかれたweの社会を目指しPIECESが行う事業について、理事の青木からご説明しました。

学びと実践とリフレクションのコースについて今年はオンラインで実施するものを新たに設けました。また、地域の中で新しいことを始めたいという方のために、プロジェクトを立ち上げるコースもつくりました。さらに今年は茨城県の水戸や、奈良の大和高田の各地域のNPOと協働して展開することが決定しています。

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その他にも、5月にクラウドファンディングを実施した、頼れる先のない妊婦さんのための project HOMEや、地域の子どもたちと関わる市民性醸成プログラムCitizenship for Children をより発展させたプロジェクトを都内で実施する取組みも行うことが決まっています。この2つはどちらも他の団体と協働して展開していきます。

さらに子ども研究員、一般社団法人Whole Universe 、Refram Labメンバーとともに代表の小澤が取り組むアートプロジェクト「イマーシブプロジェクト」も始動しています。これは時間も空間も超えた様々なものと共にあるひらかれたweの社会とは何かを考え、体験していくものです。今年は「ミエナイモノとあそぶ」をテーマに、アーティスト菅野創さんの開発したLasermice(レーザーマイス)という群ロボットを通して新しい生命を体験するなどの取り組みをはじめています。そしてPEACE for PIECE、寄付者と共に始める取組みの準備を進めています。


後半は、新しく理事・監事に就任された4名の方の自己紹介とお話がありました。

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まずは監事の長田さんから(長田さんの紹介noteはこちら)

長田:本業を通じて中小企業の支援をする中で、過剰な利益追求の姿勢に疑問を抱くことが何度もありました。GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)の存在が特徴的なように企業セクターが過度に富や情報を占有する事態に対しては、ソーシャル領域の発展が大事だとも考えるようになりました。ですから、その領域のプレイヤーが育つことが大事だと思っていますし、そういう気持ちで支援をしています。

 

続いては、新理事に就任された荻原さんから(荻原さんの紹介noteはこちら

荻原:以前お話しした際に聞いた “やさしい間” というキーワードが腑に落ちたことをよく覚えています。子どもの支援をする団体は多くありますが、PIECESはその課題に”間”というキーワードでアプローチしているのがとてもいいなと。また“すばらしいわかりづらさ”があるのもPIECESの特色と言えるでしょう。社会は複雑であり、わかりづらい。そこを敢えて単純化してしまうと、こぼれ落ちてしまうこともたくさんあります。単純化することで影響力を及ぼそうとする例も見られるのですが、それは好ましくないんじゃないかと。ですから、わたしはPIECESの“すばらしいわかりづらさ“を高く評価しています。

 

3番目は、新監事 佐藤暁子さん(佐藤さんの紹介noteはこちら

 佐藤:何でも問題があるとわかりやすくしなければならない風潮に違和感を持っています。社会は複雑で簡単にできない部分があるので、それをありのままに見ることが大切ですね。わたしの専門であるビジネスと人権の文脈で感じた違和感についてお話しすると、企業の担当者も一市民であり、一消費者である。けれども、ビジネスの場で話をするときは、なぜかその側面がなくなって ”企業の人” になってしまい、「自分と社会とのつながりがなくなってしまう。このつながりを取り戻すために」、ひらかれたweの考え方が生きてくるんです。ひらかれたweの考え方が自然に広がると良い社会になっていくんじゃないかという期待があり、そのアプローチにワクワクしています。

  

最後は理事に就任された小野田さんから(小野田さんの紹介noteはこちら

小野田:今日を迎えるにあたって、全てが互いの内外で影響し合い、変化し続けているというPIECESの世界観を、皆さんにわかりやすく伝えられる言葉はないかなと考えていて、そこで思い浮かんだのが、“包みつつ、包まれている” という言葉。

年輪気候学という学問領域があるんですが、樹は外の環境を年輪という形で自分の内に閉じ込めながら大きくなっていく。樹にとって環境は外のものであり、同時に内のものでもある。そこには、包みつつ、包まれているという一見矛盾しているようで実は一体の関係があって、同じように、いわゆる支援者と被支援者と言われるような関係性においても、実はお互いに包み包まれという関係にある。

社会的事業の役割について、課題解決なのか、価値創造なのかといった二項対立の世界観だけで語ることは必ずしも適切ではなくて、「私」と「社会」は密接不可分、「私」の意識、手元から今この瞬間「社会」が生まれている、同時に、「社会」からの影響が「私」に内在化されていく、年輪のように。そこにわたしたちが気が付くことで、少しずつ一人ひとりの所作が変わり、誰かにやさしくするといった変化が社会の可能性をひらくことにつながっていくのではないか。そう思っています。

各人とも駆け足でのトークでしたが、この4年間の取組み、そしてこれからの取組みについてのここまでの話で、すでに予定時間を使い切ってしまいました。まだまだ話し足りない理事や監事の様子を見て、これからのPIECESはますます目が離せない、そんな思いを抱きました。

参加者のみなさんで、PIECESの「P」をつくった集合写真

参加者のみなさんで、PIECESの「P」をつくった集合写真

オンラインではありましたが、共に4周年という節目の時間をつくってくださりありがとうございました。
日本各地、世界中から参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました!

みなさまからいただいたPIECESへの応援メッセージ

みなさまからいただいたPIECESへの応援メッセージ

スケッチノート by 坂本紫織 (PIECESプロボノメンバー)

スケッチノート by 坂本紫織 (PIECESプロボノメンバー)


7/31まで!
あなたも子どもが孤立しない未来をつくるピースに
PIECESメイト100人募集寄付キャンペーン2020|#ひろがれPIECES

このアニバーサリーイベントをキックオフに月額寄付者(PIECESメイト)+100人を目指すキャンペーンを行なっています。
▶︎ https://www.pieces.tokyo/campaign2020

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この機会に共に優しい間を紡ぐ仲間「PIECESメイト」になっていただけると嬉しく思います。

5年目を迎えたPIECES。これからも引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

セミナーレポート「子どものあそびや行動から紐解く、こころのケア ~傷や痛みが深まる前に、わたしたちにできること~」

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去る6月7日、公開セミナー「子どものあそびや行動から紐解く、こころのケア~痛みや傷が深まる前に、わたしたちにできること~」がオンライン開催され、代表の小澤いぶきが講師を務めました。

今年に入って初めての開催となった本セミナーは、「日常のさまざまな場面で子どもたちが発するサイン」を入り口として、子どもたちが不安定な環境の中でこころの傷や痛みを深めてしまう前に、私たち大人ができることについて考えることを目的として行われました。

-公開講座中のスクリーンショット-

-公開講座中のスクリーンショット-

本セミナーは「子どもが孤立する社会的背景」、「子どもが発するサインを紐解く」(ストレス下における「遊び」)、「子どもたちと関わるうえで大切にしたいこと」の3つのパートから構成されています。オンラインでの開催ということもあり、それぞれのパートが終了後、スケッチノートを用いて内容の振り返りを行いながら進行していきました。(スケッチノートは記事の最後に掲載しています、ぜひご覧ください!)

簡単ではありますが、本セミナーの内容を紹介していきたいと思います。

子どもが孤立する社会的背景

日本の子どもを取り巻く環境について、約7人に1人が相対的貧困、虐待相談対応件数は約16万件にのぼるといった報告がなされています(※1)。米国疾病予防センターとカリフォルニア州の民間健康組合の共同研究(ACEs Study: 子ども期の逆境的体験についての研究)によると、こうした子ども期の逆境体験は、身近な人達によってケアされるか否かによって成人後の状態に変化が現れるといいます(※2)。

逆境体験のひとつである虐待。その発生リスクとなり得る要因としては、子どもの人数や発達特性、養育者自身の精神的健康状態や年齢、家庭環境、地域での孤立や職場からのサポートのなさといった家庭の周囲環境、社会環境などが挙げられています(※3)。

現在日本で行われている虐待の防止支援策には、予防段階・早期発見段階共に構造的な課題が見られるといいます。具体的には、”自ら援助を求めに行く”ことのハードルの高さ、情報へのアクセシビリティ、行政や専門機関の逼迫によるきめ細やかな対応の難しさなどがあります。

子どもが発するサインを紐解く

まず、逆境体験の中で育つ子どもについての例として、DVや親同士の喧嘩が絶えない環境、保護者による干渉が過度に強い環境、貧困やネグレクトの環境といった特徴ごとに説明がありました。

そのような環境の下で「自分は意味のない存在だ」 「気持ちを伝えたところで誰も助けてくれない」といったような、自己否定や自分の感情や欲求に気づけない、人に頼れない状態が生じてしまうといいます。

逆境体験を通してこころがケガをすると、子どもは自分を守るために身体や行動、こころのサインを発することがあります。具体的には、不眠、身体のどこかに痛みを感じる、なぜだかわからないけれどいらいらする、そわそわしてじっとしていられない、などです。

また、逆境体験の中で育つ子どもがその中で生き抜いていくために担っている特徴的な役割についても子どもの発するサインのひとつとして併せて紹介されました。

・ヒーロー:いい子でいよう、と頑張る
・スケープゴート:自らがトラブルを起こすことによって、問題から目をそらしてもらおうとする
・ピエロ:わざとおどけて場を和ませようとする
・お世話役:家の中の問題をなんとかしようとして、調整役を担う
・人形:周りの人の思うとおりにしなければいけない、と思う

困難な状況の中で懸命に頑張っていても、周りの目がなくケアがされないと「頑張ったところで意味がない、どうせこれからもこの状態が続いていくんだ」と思うようになる学習性無力感という状態についても解説がありました。一見やる気がないように見える子どもの中には、この学習性無力感を持っている場合があるといいます。

〜ストレス下における「遊び」〜

子どもの発するサインに関連して、負荷がかかった時に見られる子どもの遊びについても触れられました。

遊びは子どもの表現方法のひとつであり、危機を乗り越えていくための対処法でもあります。周りにいる大人は、遊びを通して子どもが表現していることをしっかり受け止めることが大切であるといいます。

遊びの結末があまりにも破壊的・悲劇的であったり、子どもが遊びながら険しい表情をしている場合は、その遊びに関わりつつ違う結末を一緒に考えていくなどの対処について紹介がありました。


子どもたちと関わるうえで大切にしたいこと

子どもたちと関わるにあたり持っておくべき3つの視点についての説明がありました。

<ストレス・コーピング>
子どもの気になる行動はなんらかのストレスに対する本人なりの対処法であるという視点を持つ。そこに価値判断を入れないように心がける。

<トラウマインフォームドケア>
子どもの言動や行動の背景に、こころのケガの影響や、こころのケガを受けた時の恐怖・不安があるかもしれないという前提をもって接する。

  1. 不器用な対処―言動や行動の背景を考える

  2. 困った行動や言動の捉え直し

  3. 子どもの持つ興味関心を次の一手につなげる

<ストレングス>
その子どもが自分なりに担ってきた役割に対して敬意を持ちながら、その子が安全に生きられるようにサポートしていく。

参加者の方々の感想

  • 子どもの(一見)好ましくない行動に対して頭ごなしに怒らず立ち止まって考えることができそう。

  • 学術的なエビデンスのあるお話で概要を話してくださり、ご経験に基づく具体例も教えていただけて、理解が深まった。

  • こどものケアに関することの全体感を知ることができた。さらに興味が湧いて、もっと深く知りたくなった。

内容盛りだくさんの90分間でしたが、本セミナーで扱った内容をより深く、より詳しく学びたいと思われた方は、今期の市民性醸成プログラム “Citizenship for Children” の募集告知が6月16日からスタートしましたので、是非こちらをご覧になってみてください。 

※1:相対的貧困については、厚生労働省「平成28年度 国民生活基礎調査」、虐待相談対応件数については、厚生労働省「平成30年度 児童相談所での児童虐待対応件数等(速報値)」より
※2:Felitti, Anda, Nordenberg, Williamson, Spitz, Edwards, Koss & Marks, 1998
※3:福丸由佳(2012)「家庭におけるハイリスクの親への支援」日本発達心理学会(シリーズ編)武藤隆・長崎勤(編)『発達科学ハンドブック第6巻 発達と支援』新曜社


スケッチノート by 坂本紫織 (PIECESプロボノメンバー)

スケッチノート by 坂本紫織 (PIECESプロボノメンバー)

イベントレポート|191121開催「子どもたちを守る仕事とそれを取り巻く社会の仕組み」

「子どもたちを守る仕事とそれを取り巻く社会の仕組み」認定NPO法人かものはしプロジェクトさんと合同イベントを開催しました!

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みなさん、こんにちは!

先日11月19日(火)、認定NPO法人かものはしプロジェクト(以下、かものはし)さんとPIECESで合同イベントを開催しました。

アジアで人身売買をなくす取り組みをするかものはしと、日本で子どもの孤立を防ぐ取り組みをするPIECES。活動するフィールドは違えど、子どもたちを守っていく、子どもたちが健やかでいられる社会をつくっていくことを仕事としている両団体には、共通点が多くあるように思いました。

今回はそんなイベントの様子をお届けします!

村田 早耶香さん 認定NPO法人かものはしプロジェクト 共同創業者。

村田 早耶香さん
認定NPO法人かものはしプロジェクト 共同創業者。

「だまされて売られる子どもを守りたい」

はじめに、「子どもが売られない社会をつくる」ことをミッションに掲げる、認定NPO法人かものはしプロジェクトの共同創業者の村田さんからお話を伺いました。

学生時代2人の友人と立ち上げたこの団体は、未成年の子どもたちが売春宿で無理やり働かされていることも多かったカンボジアで事業を始め、現在ではインドに事業を展開しています。

「売られない活動・買わせない活動」をこれまで行ってきて村田さんは、「子どもが売られない社会は作れる」と語ってくださいました。

小澤 いぶき 認定NPO法人PIECES 代表理事/Co-Founder 東京大学医学系研究科 客員研究員/児童精神科医

小澤 いぶき
認定NPO法人PIECES 代表理事/Co-Founder
東京大学医学系研究科 客員研究員/児童精神科医

「子どもたちが孤独の中で生き続け、社会のことを信頼できなくなる明日よりも、人の想像力から生まれる優しいつながりが溢れる社会をつくりたい。」

児童精神科医として、PIECES代表の小澤は医療の現場で様々な問題に苦しみ孤立する子どもたちに出会ってきました。その苦しみや孤立を解消するために、子どもたちの周りに寛容な社会を築いていこうと、このPIECESを立ち上げました。PIECESは「子どもにとって大事なのは、信頼できる他者の存在だ」と信じ、子どもと関わる市民の育成をしています。今回はこれまで育成してきた市民の皆さんとそしてそこで出会った子どもたちとの関わりついて紹介させていただきました。

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後半では、村田さんと小澤を登壇者として改めて迎え、参加者からの事前アンケートを基にクロストークを行いました。

Q『お互いの活動からの学びや刺激』

今回が初めての合同イベントの開催でしたが、改めてお互いの活動を聞き改めて思ったことや、日頃からどのようにお互いを見ているのか教えて欲しい、といったご質問をいただきました。

村田さん

いぶきさん(小澤)の精神科医時代から子どもたちにコミットし続け、子どもたちの声に耳を傾けてきたその一環した姿勢にとても刺激を受けています。

変わらない信念というか。それを持ち続けることってすごいなと思います。

小澤

私は、子どもたちに寄り添う大人たちがいれば子どもたちはきっと信頼できる人を見つけて、しんどい状況から脱却できるのではないかと希望を持って信じているんです。

決してこの問題は日本の子どもたちに限った話ではないと思っているので、かものはしさんのように子どもたちをエンパワメントし続ける活動がとても素敵だなと思っているところです。

小澤

村田さんとはかものはしさんがクラウドファンディングをしていたときに支援したことがきっかけでつながりました。どの国においても自分の人生が誰かによって決められてしまう状況をなんとかしたいという思いがずっとあって、村田さんを応援しています。先ほどのプレゼンも、何度もお聞きしたことがあるはずなのに、初めて聞いたように終始聞き入ってしまいました。

かものはしさんの活動からはいつも優しさを感じており、そして逆にその優しさからエンパワメントされていて、これからもご一緒できる機会があると嬉しいです。

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Q『日本にいてすぐにできること』

参加者の方から、「お二人の話を聞いていると、社会はすぐに変わっていくのではないかという感覚を覚えますが、活動の中から社会が変わっていったポイントはあったのでしょうか。また、そのために自分たち一人ひとりはどこからスタートすれば良いか教えてください。」という質問が挙げられました。

村田さん

カンボジアで活動を始めた当初は、周囲からは否定的な意見ばかりで、活動もうまく進まず本当に大変でした。

でも、誰に止められたとしても、自分がやりたいからやっているんだ、この気持ちを忘れないようずっと歩んできました。そうしていると、まるでオセロが黒から白に変わるように、カンボジア国内で売春から子どもたちを守る法律ができ、どんどんと売春宿が閉鎖されていった。

子どもが売られない社会はつくれると、諦め悪くずっとやってきたことで社会が変わったのだと思います。

村田さん

そして、今日この会場にも多くのマンスリーサポーターの方に来ていただいていますが、ご寄付で応援してくださる方がいて初めて私たちの活動は成り立っています。

多くの方に諦めの悪い私たちの挑戦を、背中を押してもらって活動できているのはとてもありがたいです。

小澤

私は小さい頃から人の手で作られたものは人の手できっと変えることができる、という風に思っています。戦争も人の手で始まったのだから、人の手でしか終わらせられない、と。でも、強いリーダーが全てを決めるのでは歪みができてしまいます。一人ひとりの力が集まれば、社会はきっとよくなるはず。

社会の歪みや傷つきにより生まれている痛みはまだまだたくさんあります。炭鉱のカナリアのように、この社会には社会の傷つきを教えてくれる声があるはずですが、まだまだ聴かれてない声があります。「聴かれていない声」を聴きにいくことで、その背景にある構造的課題をなんとかしようとしてきました。

そして、一緒に活動してくれる仲間との歩みの中で、日常に間が生まれ、それが救いとなってきました。一人ひとりにとっては、普段の日常に関心を向けることで、他者との間に優しい関係性をもたらしていくことが、社会に小さな変化をもたらしていくと信じています。


レポートはこちらで以上となりますが、村田さんと小澤の話から、活動地は国外と国内とで異なりつつも、目の前の子どもたちに真っ直ぐ向き合い、その声を聴くことを大切にしながら活動を続けている姿勢は同じだな、と感じました。これからもかものはしプロジェクトさん、そして私たちPIECESの活動に関心を持っていただけると幸いです。引き続き応援をよろしくお願いいたします!!

かものはし、PIECESスタッフでの季節感のある一枚

かものはし、PIECESスタッフでの季節感のある一枚

【動画アーカイブ】「子ども虐待の背景を知り、社会全体でこの問題に取り組む」にはどうしたらいいか?

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平成29年度の児童相談所の虐待対応件数は13万件(※)と、実は、今日一日を安心して暮らせていない子どもたちが、私たちが暮らすこの街にはいます。厚生労働省では、毎年11月を「児童虐待防止推進月間」として、児童虐待防止のための広報・啓発活動などを行っています。

今年は特に、虐待に関するニュースが全国的に取り上げられたこともあり、様々な人たちから議論が巻き起こった年でもありました。そのようななか、わたしにもなにかできないだろうか?現在の制度はどうなっているのだろうか?と思われた方も多いかと思います。

私たちPIECESも、そんな思いから立ち上がった虐待防止へと取り組んでいる1つの団体です。代表の小澤は、児童精神科医として、臨床の現場で数多くの虐待を受けた子どもたち、そして養育者の方々と接してきました。

しかし、医療機関に来る前に、さまざまな人の関わりでできることもあるかもしれない、医療機関では出会えないけれど孤立している子もいるかもしれないと実感しました。そこで、小澤は、医療機関や専門家だけがこの問題に取り組むのではなく、社会全体として取り組むためにPIECESを立ち上げました。

今回は、11月の「虐待防止月間」にあわせ、「虐待予防のために、私達ができること」と題して、虐待の背景から、私達が日々できることについて考えるFacebook Liveを行いました。

Liveでは、小澤から「虐待とは?」ということから、「PIECESが生まれるまでの臨床現場で感じた虐待の背景」、そして、PIECESで活動するコミュニティユースワーカーと一緒に「実際に現在、PIECESの現場で活動に取り組んで感じたこと」について、お話させていただきました。
↓動画をぜひ御覧ください。


■プレゼンターについて
代表:小澤いぶき NPO法人PIECES代表理事/Co-Founder
東京大学先端科学技術研究センター客員研究員/児童精神科医
精神科医を経て、児童精神科医として複数の病院で勤務。トラウマ臨床、虐待臨床、発達障害臨床を専門として臨床に携わり、多数の自治体のアドバイザーを務める。さいたま市の子育てインクルーシブモデル立ち上げ・プログラム開発に参画。
2016年、ボストンのFish Family Foundationのプログラムの4名に推薦されリーダーシップ研修を受講。2017年3月、世界各国のリーダーが集まるザルツブルグカンファレンスに招待、子どものウェルビーイング達成に向けたザルツブルグステイトメント作成に参画。

■PIECES  コミュニティユースワーカー:大畑麻衣花
コミュニティユースワーカー2期生。
大学では心理学と保育学を学んでいて4年生になる代だが、NPOへの興味が高まり現在休学中。
PIECESでは、小中高校生とクタクタになるまで遊びまわっているが、最近体力の差を感じ始めている。PIECES外でも、虐待など複雑な家庭環境で育った経験のある子どもたちが過ごす施設でアルバイトをしている。


厚生労働省による平成29年度「児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」参照。


<配信内容の概要>


●虐待とは?

・身体的虐待、心理的虐待、性的虐待などがあります。
・ネグレクトとは、子どもたちの尊厳が放棄されているような状態のことを指します。

●虐待の背景

虐待の背景には、様々なレイヤーがあります。

・家庭内の状態:子どもの人数や障害の有無、養育者の精神状態など
・家庭と地域の状態:職場からの孤立、家庭の経済状況、地域からの孤立など
・社会の状態:家族の役割への社会からの重圧 

生物学的には子育ては共同体で行うものです。
1人で頑張らなければならない、しんどく感じるときに、一緒に子育てをしていけるような環境作りをしていかなければならないと考えています。

「家族だから…」やらなければならないというのではなく、核家族化、地域のかかわりがなくなっているからこそ、どのように一緒に子どもを育てるということをシェアしていくかということを考えていかなければなら無いと思います。

●虐待による子どもへの影響

①愛着形成の困難さ

アタッチメントとは、子どもと特定の母性的人物に形成される強い情緒的な結びつき。幼少期に必要不可欠な重要な関係性のことを指します。愛着形成には養育者も安心した環境作りが必要不可欠です。

愛着が育まれないと…脳の特定の部位の機能が低下し、なにかをやろうとしてもモチベーションが上がりにくくなってしまうこともあります。これはケアをすることで回復していきます。

②心理的孤立

信頼して頼るということの困難になっていきます。
たとえば、DVが会った場合。暴力があることは子どもにとって不安の要因になります。頑張っても家族の中が上手くいかないと、自分が意味がない存在ととらえるように。そうすると、自分の感情、やってみたいという気持ちが抑えられてしまい、信頼している人に頼るということが難しくなってしまうこともあります。

心理的孤立とは、頼る人がいない、頼れない状態。

困った時に相談する人がいるような「あたたかい経験」がないから頼るという選択肢自体が思い浮かばないことがあります。何に困っているかわからないほど深刻化しているとき、意欲すら奪われ、支援されることに抵抗があることがあります。頼ることは実は主体的な行為で、大切だが難しい行為でもあります。

そのため、頼りたいと思うことが出来る環境作りが重要です。

●私たちにできること

①子どもへのまなざし

迷惑をかけてはいけないという空気感を取り除く。子どもたちが頼ることができる雰囲気作りをしていくことが大切。

②養育者へのまなざし

頑張っている養育者への関わりが大切になります。養育者が頼れるということは、子どもが豊かに育つ環境が広がることでもあります。


③寛容な社会を作る

目に見える言動だけではなく、目の前にいる人の、思考、感情、願い、欲求に目を向けていくことが大切です。

たとえば、イライラ、物にあたっている人がいたとしたら。一見、行動だけを見ると単に暴力的な人にみえるかもしれません。しかし、その子の心の奥にある感情をみる必要があります。そうした寛容な関係性が、「頼ってもいいんだな」という気持ちに繋がっていきます。

※その他、質問への回答や詳細は動画をご覧ください。

多様な人が共存できる「余白」をつくり、誰も排除しない地域福祉へ- 第6回 One P’s Night イベントレポート

こんにちは。PIECESインターンライターのエミリーです!

11月16日、地域福祉の立場から「多様なあり方を面白がる場のデザイン」を考える、One P’s Night(ワンピースナイト)が半蔵門のLIFULL HUBで開催されました。

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One P’s Night(ワンピースナイト):株式会社LIFULLの社会貢献活動支援委員会が主催するイベント。社会問題の解決にとりくむNPOや団体、人を招き、一緒になって問題解決を考える場。今回で第6回目を迎えた。

今回は、京都府京丹後市で「ごちゃまぜの福祉」をめざして複合型福祉施設のコーディネーターをされている川渕 一清(かわぶち かずきよ)さんと、兵庫県尼崎市でまちづくりのさまざまなプロジェクトをおこないながら今年11月「ミーツ・ザ・福祉」というイベントを作りあげた藤本 遼(ふじもと りょう)さん、そして認定NPO法人PIECES理事の斎 典道(さい よしみち)さんをゲストに迎え、さらにモデレーターとしてPIECES理事の青木 翔子(あおき しょうこ)さんが加わって4人でトークをおこないました。

定員40名の参加枠に対して、50名以上のお申し込みをいただき、大盛況となった今回のOne P’s Night(ワンピースナイト)。「多様なあり方を面白がる場のデザイン」というテーマから、多様なあり方を面白がるとは?という問いからお話が始まりました。排除せず多様な人と共存する新しい福祉、それを取りまく場のデザインについてのお話をレポートします。

登壇者紹介

まずは、今日お越しくださった3人に、それぞれの取り組みについて聞きました。

◆ 斎 典道(さい よしみち)さん - NPO法人PIECES理事

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さい:こんばんは。NPO法人PIECES理事のさいです。PIECESは、誰もが尊厳を持って生きられる豊かな社会をめざして「こどもの孤立」という課題に取り組んでいます。今年10月に認定NPO法人になりました。わたしたちは、虐待やネグレクト、貧困などの子どもを取り巻くさまざまな問題の背景には「子どもの孤立」があると考えています。子どもたちが孤立していく理由は、そもそも人から大事にされる経験に欠けていて、人を信用できず自分を大事にすることもできなくなってしまうからです。子どもの孤立のループを止めるために、わたしたちはコミュニティユースワーカー(以下:CYW)を育成し、CYWによる子どものサポートをおこなっています。
PIECES 公式HP



川渕 一清(かわぶち かずきよ)さん - みねやま福祉会

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川渕:京都府の京丹後市からきました。地元が京丹後市というご縁で、3年前から社会福祉法人みねやま福祉会で仕事をしています。それまでは東京で普通のサラリーマンをやっていました。みねやま福祉会は、2020年で70周年を迎える社会福祉法人で、戦災孤児の受け入れから始まった歴史ある法人です。現在わたしはそんなみねやま福祉会の複合型施設「Ma・Roots(マ・ルート)」でコーディネーターをしています。

「Ma・Roots(マ・ルート)」は、特別養護老人ホーム、障害者支援施設、保育園を全部ひとくくりにした複合型施設です。それぞれ「○○支援施設」など福祉っぽい名前をつけず、「エルダータウン」「ワンダーハーバー」「キッズランド」といった名称にしています。福祉っぽい名前にしちゃうと、支援する側とされる側の分断がおこるような気がして、地域の方やご利用者のご家族も馴染みやすくなるようにと検討を重ねました。日々、「ごちゃまぜの福祉」を目指して実践している中で、施設を日常的に利用する人以外にも門戸を開いています。「居心地がいいな」と思って、気づいたら福祉施設だったという場所になったらいいなと思っています。
みねやま福祉会 Ma・Roots(マ・ルート)公式HP



藤本 遼(ふじもと りょう)さん - 「ミーツ・ザ・福祉」仕掛け人

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藤本:兵庫県の尼崎市から来ました。尼崎を中心にまちづくりの仕事をやっています。いろんな人とプロジェクトをやるなかで、おもに企画やファシリテーションをしながら、街を面白くする活動をしています。そのひとつが「ミーツ・ザ・福祉」です。そもそも「ミーツ・ザ・福祉」は36年間続く、障害のある方とそうでない方がお互いに理解を深めようというイベントです。いろんな人と一緒に楽しめたらいんじゃないかということで、昨年から尼崎のNPOとぼくが入って一緒にやっています。

一番大事にしたのは、実行委員会をオープンにすることです。開催の半年前からワークショップを開いて、どんなイベントにしたいかみんなで話しあいました。10年以上イベントに関わっていた人も、初めての人も、福祉に関わっている人も全然関わっていない人も、あわせて80人くらいがボランティアで関わって、当日4000人が来てくれました。あるアパレル関係で働く方が「だれかのものさしを気にして、今まで生きてきたような気がする。でもこの場は、多様なあり方が肯定されるような場だと感じる」と話してくれたんです。いろんなあり方があって面白いと、新たに気づかされる場っていうのが面白いと思うんですよね。
ミーツ・ザ・福祉 公式HP

 

「目的がたくさんある場づくり」で、多様な人に場を開く

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これからの場づくりには、多様なあり方をおもしろがる場づくりが大事だと思うのですが、「多様なあり方を面白がる」って具体的にどういうことだと思いますか?


川渕:どんな人でもとりあえず受けとめてみて、どんな場が作れるか考えてみることでしょうか。場づくりでは、関わる人とのコミュニケーションがすごく大事だと思うんです。たとえば、Ma・Roots(マ・ルート)で働いていると、認知症のおばあさんが毎日事務所に入ってきて、いつも隣に座るんですよね。毎日ぼくの隣で同じ話をしてくれるんですけど、それでいいと思うんです。「こうでなければならない」なんてことはなくて、そこにいる人たちとどう場を作っていくのか、ポジティブに考える姿勢がとても大事な気がします。

藤本:「ミーツ・ザ・福祉」でも50人くらい集まって、グループごとにミーティングをするんですが、会議に疲れちゃう人がいるんですよ。最近までうつ病にだったけど、面白そうな場だから頑張って出てきたという人。でも、やっぱりちょっとしんどくなっちゃって、という話があって。なので「喋らないでもいいエリア」を作りました。ただそこにいてOKというエリアなんです。我々が思うような「貢献」をしなくていいような場の作り方って非常に大事なことなんじゃないかと思います。

さい:利用者にとって、その場に多様な選択肢があることはとても大事なことですよね。PIECESが場を設定する時、「ゲームを作る」とか「スポーツ」とか「学習」とかある程度目的を絞ります。とはいえ目的がひとつだとこどもは飽きるし、なんか違うなと思ったときに逃げ場がなくなるんです。そうなったときに、他のことに興味をもつ余白があるのは大事ですよね。福祉って、ニーズを縦割りの構造で捉えがちなんですけど、多目的的な場になっていることはそういう意味でも大事だなと子供たちの姿を見ていて思います。

 

「余白」はつくるのではなく、自然と生まれるもの

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他者が関わる余白を、具体的にどう作っていけばいんでしょうか?

さい:遼さん、余白づくり名人な気がしますが...

藤本:抜けてるだけなんですけどね~(笑)なんか…なんなんでしょうね。ダメでもいいよねっていう感じを僕が出してるんですね。一応リーダーだけど、指示も出さないしビジョンも語らない。ビジョンを語ると、みんながそこに合わせて自分自身を変えてしまうんですよ。それって大事なことかもしれないけど、多様なあり方を肯定することにはならないと思うんです。だから、コンセプトやストーリーはよく語ります。関わる人が多ければ多いほど、僕の語るコンセプトに対しての考えも違ってくる。その中でそれぞれのスタイルが生まれてきて、それが場を面白くすると思います。

さい:そういうの気持ち悪がる人もいませんか?

藤本:います。方向性を示してほしい人もいらっしゃるけど、そんなときは、みんなで喋りながら考えていこうかっていう話をします。

川渕:「ごちゃまぜ」な場では、我々が何かを提供するわけじゃなくて、気づかないうちに余白の中から関係性が生まれているケースがあります。選択肢はつくるけど、それを選んでも選ばなくてもいいよというスタンスでいますね。たとえば、Ma・Roots(マ・ルート)のカフェスペースにはけん玉が置いてあるんですが、障害者の就労支援に通っているけん玉名人がコツを教えてくれるんです。「足を斜めにこう動かせばできるよ」って。それが「入ったー!」ってなると、もう関係性が生まれちゃってるんですよね。

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藤本:非常に思うのは、恣意性みたいなものが見えたときに、途端にやる気なくなることが結構あるんですよ。全般的に、ワークショップをやって地域のプロジェクトを立ち上げて進めていくときに、「いくつ立ち上げなきゃいけない」みたいなことが意図せずとも伝わってしまうと、途端にやる気を失ってしまうんです。何が起こってもいいし何も起こらなくてもいいってスタンスを貫くのは、めちゃくちゃ大事な気がしますね。

 

共感できない他者を排除せず、関わり続けることで変化が生まれる

多目的な場づくりや場を開いていくことは、今までの福祉や場作りのあり方を変えることですよね。これまの福祉との対立はありますか?

藤本:価値観がぶつかることがあります。「ミーツ・ザ・福祉」は、35年間地域の方がやっているイベントで、そこに去年から僕らが入って、変えたという経緯があるんです。去年は今までずっと継続的に関わっていた方に「障害者のことをわかってない」と言われたりして、お互いに理解や共感をしあえなかったんですよね。でも今年は、そのコミュニケーションが少し変わって「晴れてよかったね」とか声をかけてくれたんですよ。

共感できなくても一緒にいた結果、お互い気づかぬうちにちょっとずつ変わっていたんです。障害者健常者に関わらず、理解や共感ができない他者とどう共存していくのかということは、これからの時代を生きる僕らにとって非常に大事なことだと思ってます。排除すると関係性は途絶えてしまうので、ずっと関係性をホールドし続ける強さやたくましさが、地域福祉には大事だと思うんです。

川渕:そういう意味でいうと、Ma・Roots(マ・ルート)は、これまで縦割りだった特別養護老人ホームや障害者支援施設、保育園を複合したという側面があり、これまでの分断された福祉のスタイルを大胆に変えていると思います。Ma・Roots(マ・ルート)は福祉施設なんですけど、門がなくて、24時間誰でも入れるんです。そこには認知症のおばあちゃんの鼻を拭いてるこどもがいたり、小さなこどもと一緒に動画をみている自閉症の男の子がいたりします。縦割りではないこの感じが心地いいと僕は思っていて。居心地がよくて、気づいたら福祉施設だったというのを目指してチャレンジしていきたいと思います。

さい:僕はPIECESの理事をしながら、週2日は区役所でソーシャルワーカーとして働いているのですが、区役所の人が市民と関わる時間は、穏やかな時間ばかりじゃないんですよね。怒鳴りに来たりする方もいて。そういう状況から、地域の人と関わってエンパワーされることはあまりないし、お互いエンパワーしあう場にもなっていないと思います。お互いの立場を尊重しながら排除することなく関係性を持ち続けるために、行政でできること、一般市民ができることをきちんと明確にしていくことが重要ですよね。

ありがとうございました。




まとめ

新しい地域福祉の現場で、健常者と障害者を分断したり、保育園や老人ホームを個別に作ったりするのではなく、多様な人がお互いの差異を受け入れ共存していくという新しいスタイルが生まれつつあります。多様な人たちが共存するためには、理解できなくても、共感できなくても、お互いの存在を否定せず、相手に変わることを期待せずに関係を持ち続けていくことが、とても大事なんですね。誰も排除しない多様な場が、今後どんどん周りに増えていったり、作る人が増えたりするのがとても楽しみです。

 

グラフィックレコーディング (レコーダー: あるがゆう)

登壇者のお話のエッセンスや、感情や場の温度の高まったポイントを中心に描き起こしました。よろしかったら上記の内容と照らし合わせながらご覧いただければうれしいです。

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小幡 絵美梨(おばた えみり)


法政大学経営学部の4年生。長野県塩尻市出身で寒いところが好き。
PIECESがテーマとする「子どもの孤立」が自分の問題意識とぴったり合致してPIECESにインターンとして参画。記事を書くのも好きですが、グラレコをするのも好きです。

『アシスとしま』キックオフフォーラムに参加しました

豊島区が、7月2日から開設する子ども若者総合相談窓口『アシスとしま』。
その開設を記念したキックオフフォーラムに今日は参加しています。

庁舎内に常設する子ども若者に関する相談窓口としては23区初とのこと。行政各課とのスムーズな連携を促すことに加え、担当ワーカーが地域の民間団体や各機関に積極的に出向くことで、相談窓口に来れない人へのサポートに取組んでいくことが強調されていました。

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フォーラム会場では、PIECESもパネル展示をさせていただき、またコミュニティユースワーカーメンバーは会場内の誘導係として運営にも協力させていただきました。

先月には豊島区内に新たな活動拠点が生まれたこともあり、PIECESとしても行政や地域の方々と一緒により一層サポートシステムづくりに励んでいきたいと思います。

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3月イベントレポート 子どもの孤立を予防する仕組みづくりとは〜PIECES活動説明会〜

初めまして。PIECES活動報告会運営スタッフの澤です。

去る3月19日、PIECES代表小澤とコミュニティユースワーカーの糸賀をプレゼンターに招き、「子どもの孤立を予防する仕組みとは-pieces活動説明会-」を開催しました。参加していただいた皆さま、月曜の夜に足を運んでいただきありがとうございました。簡単にイベントをレポートいたします!

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会の始めは自己紹介から!話が緩やかに弾んでいるご様子。「幼児教育に興味があります。」「社会問題を解決したい!」「こども食堂をしていたので。」などなど、多様な思いを持って参加してくださっていました。


その後は代表の小澤からPIECESを始めた経緯に関するお話、小澤が出会って来た子どもたちの話。胸がグッと締め付けられるようなお話もありました。そして、どの事例でも共通していたことは「子どもが孤立していることに誰も気がつけていないときがあった」ということ。こうした事例について、参加者のみなさまにも感想や孤立の背景について考えてもらい、シェアしてもらいました。「家庭が悪いのではないか。」「学校がもっとしっかりしていれば」そうした意見が飛び交いました。

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そうした意見を踏まえて、小澤からPIECESが考える子どもが孤立してしまう課題の構造に関するお話をしました。「頼るということは主体的な行為」このキーワードが私は印象深かったです。私たちの当たり前が、その子にとっての当たり前とは限らない。
話を聞いていく中で、ハッとした表情を見せる参加者が多くいらっしゃいました。

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続いて、現場で実際に活動を行っているコミュニティユースワーカーの一人、糸賀からコミュニティユースワーカーに参加した経緯と、参加してみて感じたことに関する発表。彼女の子どもたちへのメッセージ「一緒にいるこの瞬間は目の前にいるあなたのことを考えているよ」は心に強く響きました。
また、現在PIECESの活動を通して、「あの子にとっての幸せな瞬間はなんだろうと語り合える仲間がいること」が心強いという話をしていました。それがPIECESの良さなんだなぁとしみじみと思いました。

最後は参加者からの質問の時間。ここでは、印象に残ったやりとりを書こうと思います。

まずは「Q,頼る力を育めば、孤立は解消されるのか?」という質問から。
「頼るという行為は相手との相互作用、頼るスキルを育むだけではなく、頼れる文化を作っていく必要があります。スキルと文化、両輪揃って初めて頼るという行為ができるのではないか」と小澤は話していました。

続いて「Q,活動の中で自身のトラウマと重なってしまうことがあるのではないか?」という質問に対しては、「コミュニティユースワーカーのゼミのおかげで、冷静に見ていくことができました。お互いのWHYを話せることで、自分の過去の感情の整理をつけることができました。そうすることができたことで、目の前の子は目の前の子、そうやって自分と分けて考えることができました。」と糸賀は話していました。専門家の適切なアドバイスとお互いの思いを共有し、共感し合える環境。それがPIECESが持つ強みなのだと感じました。

PIECES活動説明会は今後も月一回のペースで実施予定です!皆様のご参加お待ちしております!