6月のメールマガジン

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認定NPO法人PIECESのメールマガジン
メールマガジンを登録いただいた方へ、PIECESが厳選する情報をお届けしています。

みなさんこんにちは。認定NPO法人PIECESの藤田です。
いつもPIECESを応援くださりありがとうございます。

おかげさまで PIECESは 2020年6月に4周年を迎えます。
私たちは子どもの孤立が解消された「ひらかれたweの社会」の実現のために、歩みを強めていくことを決めました。また、新しい理事・監事の方に就任いただき、新体制となりました。6月7月の活動についてお知らせいたします。

  1. 6/21オンライン開催アニバーサリーイベント

  2. 新理事就任のお知らせ

  3. PIECESメイト100人募集寄付キャンペーン2020

  4. 活動報告_5/31Lasermice研究所ワークショップ

今回のメールマガジンも最後までご覧いただけると嬉しいです。


6/21 新しい経営体制でアニバーサリーイベントを開催

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「ひらかれた we 」へ
今回、4周年アニバーサリーを記念して、これまでお世話になった皆さまへの感謝と、これからさらにお世話になりたい皆さまへご挨拶をするため、「PIECESアニバーサリーイベント2020|子どもとの優しい間があふれる「ひらかれたweの社会」を目指して」を開催します!

■日 時:2020年6月21日(日)開始 14:00~16:00終了
■会 場:オンライン(zoomで配信いたします)
■申込み:Peatixサイトからお申し込みください
     https://anniversaryevent2020.peatix.com/

当日は
・PIECESのこれまでの歩み
・これから始まる新しい活動
・ひらかれたweの社会について
・新理事との対談セッション など
アニバーサリーにふさわしい特別な時間にするべく、たくさんのコンテンツをご用意しています。

子どもたちが孤立の中で生き続け
社会のことを信頼できなくなる明日より
人の想像力から生まれる
優しいつながりに溢れる社会をつくりたい


あらためて、マンスリーサポーターのみなさまをはじめ多くの方と一緒に、子どもの孤立という問題を起点に社会について考え、共に社会を描いていく時間にできたらと思います。ぜひ、お知り合いの方もお誘いいただき、ご参加ください。

アニバーサリーイベントに参加する


新理事・監事を迎え経営体制を刷新

認定NPO法人PIECESでは、「ひらかれたweの社会」の実現に向けた活動を拡充させるため、経営体制を刷新し、新しく4名の理事・監事をお迎えいたしました。

PIECESが子供の孤立の解消に向けて、取り組んでいる「市民性醸成」は、短期的にわかりやすい成果が出るわけではなく、幅広い視野と想像力を持ちながら、継続的に行っていくことが重要です。

そのため、理事には、幅広い知見を持ち、多くの社会起業家が紡ぐ「いまこの瞬間」に関わる小野田峻弁護士、メンタルヘルス領域で起業し、現在は幅広い領域での起業家支援を行う荻原国啓氏を迎え、市民性醸成のための広い視点をもちながら持続的な事業展開を目指します。
また、監事には、市民性の醸成において土台となる「人権」を軸にビジネス支援を行う佐藤暁子弁護士と、数多くの非営利団体の経営を会計・税務面から支えてきた長田和弘税理士を迎え、健全な経営を目指すことにいたしました。
詳しくはこちら ▶︎ https://www.pieces.tokyo/news/2020/6/8/we-npopieces

新理事・監事のご紹介は、PIECESのnoteでも配信しておりますので、ぜひご一読ください!


【新理事紹介】
メンタルヘルスを支援してきたなかで腑に落ちた「間」へのアプローチ -荻原国啓さん #ひろがれPIECES
触れた個人から変容していく 社会的事業の新たな役割 -小野田峻さん #ひろがれPIECES


PIECESメイト100人募集寄付キャンペーン2020
#ひろがれPIECES

2020/6/21〜7/31までで100名のPIECESメイト(寄付者)を増やすためにキャンペーンを行います。
今、このタイミングで一緒に全国展開を実現させていくPIECESメイトになってくれませんか?
あなたも子どもが孤立しない未来をつくる「ピース」に。

PIECESメイトになる


活動報告_5/31Lasermice研究所ワークショップ 

PIECESの新たな取り組みとして始まった「アートプロジェクト」
アーティスト・菅野創(かんのそう)さんが開発した群ロボット《Lasermice(レーザーマイス)》と、様々な世界に生きる子ども研究員たちとのコラボレーションによる遠隔ワークショップを開催しました。

5/23-24に開催した「Lasermiceの毛皮をつくろう!」で子ども研究員の手元で、様々な姿かたちになったLasermice。

本イベントで生き物の群れのように演奏し、自由にふるまうLasermiceを見ながら、どんな音を奏で、動くのかをじっくり観察し、終演後は、感じたことや気になったこと、ライブから受け取ったことを共有しました。
これからの展開をお楽しみにお待ちください。


アニバーサリーイベントに参加する

6/21開催のアニバーサリーイベントでお会いできると嬉しいです。
これからもPIECESをどうぞよろしくお願いいたします。

Citizenship for Children プログラム 水戸地域での成果報告書が完成しました!

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Citizenship for Childrenプログラムの初の地方展開が無事終了し、水戸地域での成果報告書が完成しましたので、ぜひご一読いただけましたら嬉しいです。

報告書ではCforCプログラムの評価、参加者に与えた影響をアンケートとインタビュー調査を通して考察しています。プログラム評価においては、多様性とそこから生まれる対話の中に新たな気づきが溢れていたこと、またその対話の基礎となる関係を構築することができた点にプログラムを評価する声が集まりました。改善点としてはその関係構築をより深く、早い段階で行うことに更なる改善が見込めることが示唆され、これは今後の課題といえます。

そうした学びを通じて、自己意識や市民性の獲得、及びそこから生まれたプロジェクトが具体的な成果として短期的にも見え始めた。専門的な知見がないから関わらない、といった態度ではなく、自身と他者の価値観を丁寧に理解し、様々な人と協力しながら自分なりのやり方で「優しい間」を紡いでいこうとする姿勢がこのプログラムを通じて確かに、小さいながらも生み出されたと言えます。

今年2020年には、さらに複数の地域でのプログラム実施も予定しています。現在オンラインでの開催を想定し、準備を進めているところです。
みなさまからいただいたあたたかいご支援・応援によって実現した育成プログラムの他地域展開。一つ一つの取組を大切にしながら、これからもたくさんの「優しい間」を広げていきたいと思っています。

この、水戸でのプログラムは、2019年4月・5月に実施したA-portでのクラウドファンディングのご支援を元に実施することができました。

この場を借りて再度、ご支援いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
これからもPIECES、そしてCitizenship for Childrenの全国展開に向けて共に歩みを進めていけたら嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

● Special Thanks ●

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報告書の作成を担当した、PIECESプロボノの大野友です。

CforCプログラムを企画運営した人、参加した人、支えた人それぞれの声が集まり、2019年度プログラムの報告書が完成しました。プログラムの目的、実施内容、参加者の変化と周囲への影響を分析した成果報告がまとめられています。CforCプログラムを通じて、各地に優しい間を届ける種がまかれた様子、またその種から芽が出始めている様子をぜひご覧頂けたらと思います。

最後になりますが、この報告書の作成にご協力いただいた各関係者の皆様に、深く御礼を申しあげます。ありがとうございました。

大野友
慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネジメント研究科博士課程1年

子ども支援の原点を問い直す  ~子どもの声を大切にする実践とは?~ 「Citizenship for Children in 水戸」第6回公開講座 & CforCゼミレポート

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PIECESが茨城県水戸市で行う、子どもと関わる市民育成プログラム「Citizenship for Children in 水戸」。

これまでPIECESは首都圏を中心に市民育成プログラム(旧名:コミュニティユースワーカー育成プログラム)を開催し、1〜4期で計約50名の子どもと関わる市民を育成してきました。

今回は全国展開に向けての第一歩目となる水戸市でのプログラムで、「セカンドリーグ茨城」さんとの協働で実施しています。

首都圏に限られていた活動範囲を全国に拡大し、各地にいるかもしれない「孤立した子どもたち」と優しい関係性を紡げる大人を増やしたい。

そんな想いから全国展開を目指し、まずは1拠点目、茨城県水戸市で12人、6ヶ月間の「Citizenship for Children プログラム(以下CforC)」を実施します。

これまでの5回では、子ども・若者の育ちの理解や困難を有する子どもたちへのまなざしなど、一市民として子どもに関わる上で土台となる価値観や知識について、延べ100名近い方々と一緒に学んできました。(第五回目のレポートはこちらから

今期の後半にあたる10月から12月にかけては、引き続きフィールドの異なる実務家・専門家の講師をお招きして、さらに一歩踏み込んで「市民性を大切にした子ども・若者支援」について考えていきたいと思います。


今期最後となる第6回目の公開講座では、NPO法人ビーンズふくしまの山下仁子さんを福島からお招きしました。子どもたちに関わっていく過程では、誰しも無意識に自分の願いを押し付けてしまったり、短期的な成長や変化を求めてしまったりすることがあるものです。何より、子どもたちとの関わり方には、明確なお作法や正解・不正解があるわけではありません。子どもと育む間は千差万別。日々の自分の実践や他者の経験を通じて学び、振り返り、更新して行くことが大切なのです。今回の講座では、今一度原点に返って「子どもの声を大切にする実践」について山下さんにお話いただきました。

貧困の中で生きる子供たち

2015年の厚生労働省の調査によると、日本の18歳未満の子どもの実に7人に1人が貧困状態の中にあるといいます。日本における貧困は「相対的貧困」という形で現れており、これは食事や住居など生活の基礎となる部分はある程度確保されているが、経済的など様々な要因により、教育・雇用・福祉に滞りが発生してしまっている状態のことだといいます。ただ相対的貧困がもたらす影響は物が買えない、と言った経済的なことだけではありません。例えば保護者がアルコール依存症で子どもに暴力を振るう、金銭管理ができずライフラインが停止されてしまうなど、様々な状況が挙げられます。このような過酷な家庭環境は、子どもたちの困りごとを認識する力や周りに助けを求める力、他者と交流をし学ぶ機会、自分の将来を自らの手で切り拓いて生きることなど、人が生きていく上で不可欠なものを奪ってしまっているのです。

ではどのようにすれば、子どもたちの自己肯定感を醸成できるのでしょうか。

アウトリーチ型支援(直接支援)

貧困の中で生きる子どもたちはその家族の多くは、現状に対する違和感を持つことが難しいため、支援が必要な状態であっても自ら支援を求めてくることはほとんどありません。生きる力が低下している子どもたちが「助けて!」と声をあげることは、ものすごくエネルギーが必要となります。このような実態は外側からは見えません。そのため、山下さんは支援を提供する側が出向いていくアウトリーチ型支援(訪問による直接支援)が有効と言います。

子どもと関わる中で山下さんが一番に大切にしていること。それは子どもの人権擁護、つまりエンパワメントです。エンパワメントとは、子どもの力が引き出せるような関わりをすること、つまり子どもたち自身で自分のことが決められるようになることだと話します。

直接支援の内容は以下の通りです。

  • 家庭背景・環境を考慮し、子ども本人と一緒に支援プログラムを計画立案する。

  • 子どもの変化も鑑みて、3ヶ月に1回はアセスメントを実施し、適切な関わりが行えているか評価する。

  • この段階では、時間をかけて子どもたちとの関係性を構築していく。(一緒に散歩をしたり、好きな漫画を読んだり等関わり方は様々)。子どもとの関係性が構築でき、子ども自身がどうしたいか確認できたら、間接支援(ソーシャルワーク)を開始する。

関係構築は家庭により様々。場合によっては家庭環境の整備にたどり着くまで3年かかると話します。山下さんのお話で最も印象的だったのが、「ケースが動いているように見えなくても、一緒の空間を共有する。子どもたちとの関係性を作っていく上でとても大事な時間」というお言葉です。子どもの声を大切にするということは、子どもが声を出すまでの時間を共有することなのだと学びました。

この後の質疑応答の時間では、山下さんがご自身の活動や市民の役目について更に詳しくお話してくださいました。

山下さんへのQ&A

Q: ご自身の自己肯定感はどう保っているのでしょうか?

「私は過去に医療現場など、人が命を落としていってしまう現場を数々と見てきました。その経験から「生きていればいい」と考えるようになりました。目的があるかどうかではなく、生きていれば良い、この考えに自分の自己肯定感はあるんだと思います。あともう一つ大事にしていることは「相手を嫌いにならない程度に関わる」ことです。全て自分でやろうとするのではなく。

子どもは本能のままに生きています。ある意味で子どもは大人よりも完成体なんじゃないかと思います。もっといろんな経験をして子どもの完成体に向き合いたいです。

Q: 山下さんのような活動を、自分が行えるか自信がありません...。

大切なのは時間と仲間を作っていくことです。あとは自分が必要だと思うことをやり続けること。これは一見簡単なことのようですが、実はとても難しいことです。自分自身、自分がやっていることが正しいか・間違っているかは分かりません。そもそも大人だけで考えていてもわからないことです。それは子どもたちにしかわからないので、悩んだら子どものところに行って話を聞くことが大事なんじゃないかと思います。自分は正しいことをやっているんだと、自信を持って言えるのは、子どもたちが教えてくれたからです。

Q: 子どもと保護者の意見をどうバランス良く聞いていますか?

子どもに聞いても、親が答える場合があります。親が自分の子どもを思う気持ちに間違いはない。例え攻撃的な言葉でも話をよく聞いていくと、意図が鮮明になっていきます。お母さんは本質的に子どもを愛しているのは間違いないので、それを聞き入れることは必要なんじゃないかと思います。

そして大事なことは待つことです。支援活動を行う中で、介入した方がいいのか、これは待った方がいいのか、スタッフと議論をします。例えば子どもに受験勉強をしてもらいたいと理由で、こちらで勝手に環境を整えようと片付けをしてしまうと、片付けの大変さやメンテナンスの大変さを実感しないままになってしまいます。大切なのは、時間をかけてでも家庭環境を整えることの重要性を本人が気付き、行えるようにすることです。なぜなら環境が整備されているところはちゃんと家庭の声を拾っているからです。そしていかに日常会話の中で、子どもたちの声を拾っていけるかということです。

Q: スタッフ間のコミュニケーションはどのように行っていますか?

スタッフの不安がどこなのか、しっかりと聞くようにしています。スタッフ面談も頻繁に行っています。やはり「待つ」ことも活動の大事な部分なので、待っていることはサボっていることでは無いこと、ケースが動かないのは当たり前だということを、常に毎日の振り返りの中で伝えています。

Q: 会議に子どもや親が参加することについて:子どもがしたいことと、周りのしたいことにギャップが生じたことはありますか?

子どもが出席したくなければそれで良いのです。ただ、会議のような意思決定の場に子どもを誘うことはエンパワメント、つまり自己肯定感を高めることにつながります。自己肯定感とはいかに自分の実情を受け止め自分のことを自分で決められるか、ということです。同じく、私たちもその場では、いかに内容が厳しいと思っても、ごまかさず、すべてを正直に伝えていくことを大事にしています。「子どもの声を尊重しよう」とよく言われますが、「尊重」とは具体的にどうすれば良いのでしょうか。私はちゃんと伝えて、ちゃんと支えることだと思います。時間はかかりますが、やるべきことだと信じています。

何より、子ども支援のことであれば、子どもに聞いた方が一番良いです。まずは聞くことが大事だと思います。そこに正解・不正解はありません。大切なのは、子どもが伝えてくれた言葉を頭で捉えるのではなく、気持ちで捉え、気持ちで動くことです。頭で考えて行動しようとすると、答えを探してしまいがちですが、気持ちで受け止めようとすると、自分の気持ちが動くからです。「その言葉にどんな気持ちを馳せているんだろう」「今なぜこのタイミングで言うのだろう」そう捉えることで、自然と自分の第一声が変わるし、それに伴う行動も変わってきます。放った言葉そのものより、そのタイミングで発した理由や真意が見えてくるようになります。気持ちで捉えられれば、それがたとえ正しい答えでなくても、優しい答えになるのではないかと思います。

Q: 市民に求めることはなんですか?

そのままでいて欲しいです。結局、子どもは日常で生活をしていきます。資格を持って子どもに対してこうしなきゃ、と言う人たちで溢れて欲しくないです。ただ元気で生きていてくださいと、普通にしてくださいと思っています。


初めての水戸での開催、2019年7月から始まった6ヶ月間のプログラム。ご参加いただいた皆さま、関心をお寄せいただいた皆さまありがとうございます。

九州大学集中講義「まちづくり実践論」レポート_19.12.26-28

2019.12.26~28日の3日間、九州大学教育学部で集中講義が行われ、代表の小澤いぶきが講師を務めました。「まちづくり実践論」という授業科目で、PIECESが進めてきた「孤立しやすい環境にいる子どもに新しい関係をつくる市民育成事業『Citizenship for Children 』(旧:コミュニティーユースワーカー)」を参考としながら、児童精神科の医療の現場から見えてきたこと、そして、世界の動きも踏まえて、九州、福岡という地域で私たち市民が、子どもたちの生きるまちに何ができるか?を考えるきっかけとして講義を展開していきました。講義は3日間とも公開講座でもあり九州大学の学生だけではなく、福岡県内の学生や社会人の方など様々な立場の方が参加されました。

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◆1日目

 1日目は、濃い3日間を過ごしていくために初めにチームビルディングを行いました。トランプを使用しグループを作り即興物語を作ったり、自己紹介シートを使って受講の目的等をグループで話したりを通して、緊張でいっぱいだった教室もあちこちで笑顔や笑い声が聞こえ和やかな雰囲気になっていきました。和やかな雰囲気になったところで講義を展開していき、「子どもを取り巻く現状と課題」では、小澤の医療現場での子どもとの経験を踏まえながら児童虐待の現状や子どもに及ぼす影響等、「子どもの発達の基礎」では、発達段階や愛着について講義を行いました。①言語化せずに相手に『嫌な気持ち』を伝える体験、②話しているのに全部無視される体験をペアになって実際に実践してもらい、言動の背景にどんな気持ちが潜んでいるのか、愛着を育むには何が大切なのかを考えました。

 講義を踏まえ、映画『少年と自転車』を見てもらい、児童養護施設に入所している主人公や纏わる人たちの言動の背景にはどういった気持ちがあったのかを4~5人のグループを作り考えていきワールドカフェ形式で共有していきました。次に、自分が子ども時代を振り返ってもらい、モヤモヤしたこと、こういうサポートが欲しかったなども共有していき、「30年後子どもも自分も幸せになる未来のまちとは?」を考えもらいました。地域視点では老若男女関係なくいろんな人が関われる場所が欲しい、学校教育視点ではフリースクールを多くの学校に設置したらいいのでは、などなど各グループ時間が足りないぐらい盛り上がっていました。

◆2日目

 2日目は、福岡で活動されているNPO法人まちづくりLABの代表永田充さんをゲストに呼んで、「訪問支援から見えてきた子どもの支援のあり方」をテーマに不登校・ひきこもりの現状や訪問支援について話をしていただきました。「“良い支援”をしようとすると見失うものがある」とフレーズから講義スタートし、序盤から考えさせられる内容です。なぜ訪問支援が必要なのか、支援をするうえ子どもだけはなく家族への支援の大切さなどをご自身の体験を踏まえて話していただきました。不登校になっている自分の身近な人への今までの対応はよかったのかを振り返ったり、今後、不登校の子たちと出会ったときにどう関わっていけばいいのか考えたりするきっかけになりました。

 2限目からは「社会的処方と市民性」「アセスメントとストレングス」「コミュニケーション」の3つをテーマに小澤が講義を展開していきました。子どもに限らず人は疲弊しきるとSOSを出せなくなり、孤立にもなっていく。疲弊や孤立やする前に、原因を取り除くコミュニティの存在が重要になるということで、社会的処方の存在の大切さ。そのためには、「市民性」の関わりも重要なり、市民性とは何か、人と人の「間」とは、何かを実践を踏まえ考えていきました。また、人は自分の価値観等で物事を判断しそうになりますが、判断する前に、子どもの言動にどう思いがあるのか「ああかな、こうかな」と仮説を立てていくことで、子ども理解にも繋がっていくなどを理解してきました。

◆3日目

 3日目は、福岡市こども総合相談センターの藤林武史さんをゲストに呼んで、「子どもと家庭を支えるコミュニティケア」をテーマに児童虐待の現状や福岡市での現状や取り組みなどについてお話をいただきました。法制度は整えられているがニーズに応えることができないサポート体制の現状など、ニュースでは知ることができないことに触れることができていました。児童虐待が起きたとき児童相談所は最後の砦。児童相談所だけが頑張るのではなく、地域コミュニティ、市区町村、里親など様々な立場が連携していくことで、虐待による死亡はゼロになっていく。福岡市のこどもの現状を知るだけでなく、まちづくりを考える上で必要なことを学ぶ機会になっていました。

 「福岡における課題に対しての社会的処方の可能性」では、受講者の方から自分の経験を話していただきました。『家を開放しておやつを提供している』『子ども会に行くことが楽しかったが、今は少子化で少なくなってきている』『子育てに手厚い様子はあっても情報が広まっていない』など福岡で暮らしているからこそ気づくこともあり、また、中心部を離れれば行政と家庭の間に入るNPOなどの団体がない現状などにも触れることができました。

 今までの講義内容を踏まえて、福岡における子どもたちが利用できる地域資源マップを「0~12歳」「13~18歳」「18歳以上」のグループに分かれて作成しました。受講者それぞれが発見した社会的資源を横軸『情緒的or機能的』縦軸『利用ハードルが低いor利用ハードルが高い』に沿って、マッピングしてもらいました。「○○がこの位置なら、○○はこっちじゃない」「○○も資源になるのかな」など各グループ盛り上がりながら作っていきました。また、想像力を発揮するための実践として「クリエイティブケースワークショップ」を行いました。取り扱う事例も受講者の方から気になる子どものケースを出してもらいました。情報がしっかりあるケースもあれば、情報がないに等しいケースもあり、限られた情報の中で、その子が持つストレングスや願いを探っていきました。そのあとは、その子の願いに沿う関わり方は何かを地域資源マップを参考にしつつ考えていきました。学生だからこその視点や福岡ならではの意見も出るなどして、自分たちが住んでいる福岡・九州で何ができるのか考えるきっかけにもなったと思います。

 3日間の講義を通して、「自分を振り返ることができた」「自分がしていることに自信が持て」「有意義な時間でした」など様々な感想を聞くことができました。

 今回の講義を踏まえて、受講者の方それぞれが地域で暮らしていく一人の市民として何ができるのかを考え、実践していかれることで、福岡がどう発展し盛り上がっていくのか楽しみです。

子どもにとっての「遊び」を紐解く 「Citizenship for Children in 水戸」第5回公開講座 & CforCゼミレポート

PIECESが茨城県水戸市で行う、子どもと関わる市民育成プログラム「Citizenship for Children in 水戸」

これまでPIECESは首都圏を中心に市民育成プログラム(旧名:コミュニティユースワーカー育成プログラム)を開催し、1〜4期で計約50名の子どもと関わる市民を育成してきました。

今回は全国展開に向けての第一歩目となる水戸市でのプログラムで、「セカンドリーグ茨城」さんとの協働で実施しています。

首都圏に限られていた活動範囲を全国に拡大し、各地にいるかもしれない「孤立した子どもたち」と優しい関係性を紡げる大人を増やしたい。

そんな想いから全国展開を目指し、まずは1拠点目、茨城県水戸市で12人、6ヶ月間の「Citizenship for Children プログラム(以下CforC)」を実施します。

これまでの4回では、子ども・若者の育ちの理解や困難を有する子どもたちへのまなざしなど、一市民として子どもに関わる上で土台となる価値観や知識について、延べ100名近い方々と一緒に学んできました。(第四回目のレポートはこちらから

今期の後半にあたる10月から12月にかけては、引き続きフィールドの異なる実務家・専門家の講師をお招きして、さらに一歩踏み込んで「市民性を大切にした子ども・若者支援」について考えていきたいと思います。


今回で第5回目となる今期の公開講座。晴天の中、たくさんの方々に集まっていただくことができました。

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午前の公開講座は、一般社団法人プレイワーカーズの神林俊一さんが講師を担当。被災直後から気仙沼に入り、復興までの混乱の中、プレーパークの運営を通して子どもたちやその家族に寄り添い続けた。3.11の被災直後から気仙沼に入り、復興までの混乱の中、プレーパークの運営を通して子どもたちやその家族に寄り添い続けた神林さんから、子どもにとっての遊びや、子ども・若者にとっての居場所の意味を学びました。

プレイワークと遊びの背景

プレイワークとは「子どもがいきいきと遊ぶことのできる環境をつくる」こと。子どもが自発的にいきいきと遊べるよう、時間・空間・環境づくりなど、多くの子どもと関わる専門職に共通する概念です。1980年代にヨーロッパで生まれた専門分野であり、今ではデンマークやイギリスを始め、多くの国で子どもが関わる場所で、専門知識を備えたプレイワーカーが活躍しています。

そもそも日本における子どもの「遊び」はどのようなものなのでしょうか。まず背景には「遊び」という概念自体の変化があると神林さんは話します。現在、子どもの遊びの9割を占めているのが電子ゲームとのこと。子どもの遊び方はどんどん「創造するもの」から「消費するもの」に変化してきていると言うのです。遊びにはお金がかかる・時間がかかる・場所がかかる。一方で、公園などの公共施設でも、大人が設定したルールにより子どもが思う存分遊べずにいるのが日本の遊び場の現状だと話します。

少子高齢化が加速する日本では、それこそ「少子化」(子どもが少なくなる)ならぬ「多大化」(大人が多くなる)ことが問題視されてきています。このような現象が加速すれば、今まで以上に子どものための遊びの空間が減少してしまう。神林さんはこの現象に大きな危機感を感じていると話します。

「遊び」は追体験の整理になる

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子どもの「遊び」はどれほど重要なのか。震災等によるトラウマを抱える子ども達にとって、「遊び」は追体験の整理になると神林さんは話します。例えば、1995年の阪神淡路大震災後、「地震ごっこ」「津波ごっこ」と言い遊びを行う子どもを目の当たりにしたと神林さんは言います。大人からすると不謹慎な行為も、子どもからするとそれは一種の心のケアだったのです。

2011年に起きた東日本大震災。震災1ヶ月後、被害を受けた宮城県の気仙沼に神林さんは訪れます。被害を受けた現地の子ども達と何かできないか。そこで神林さんは「気仙沼で何か一緒に作ってみないか」と子どもたちに提案をします。別に物資を提供するわけでもなく、ただ何か作ってみようと言う神林さんに、最初は警戒を示す子どもたち。しかし子どもたちとの会話の中で生まれた「すべり台を作ろう」というアイデアを機に打ち解け始めます。みんなで資材を持ち集め、すべり台を作り出したその場所は、のちに「気仙沼あそびーばー」と言う遊びの空間として運営開始したのです。

遊び場を創る上で、神林さんが大事にしていること。それは、そこに住んでいる子どもたちが自ら作りたい、と思っているものを応援することだと言います。

遊ぶことは生きること

食べ物を食べないと体が死んでしまう。睡眠をとらないと体が死んでしまう。しかし遊ぶことをやめると心が死んでしまう。子どもたちにとって遊ぶことは生きるために必要不可欠なのです。少子高齢化社会の日本だからこそ、大人の都合だけで空間の使い方を決めるのではなく、きちんと子どもたちと向き合い、目に見えない心のケアにしっかりと寄り添える大人になりたい、そう強く思った午前のひとときでした。

【ゼミ】

午後のゼミ開始前に、「キャット&チョコレート」というカードゲームでウォームアップ。日常・非日常的な問題に対して、与えられた手札の中から指定された枚数のカードを使って解決策を導き出すゲームです。アウトプットが中心の午後セッションに入る前に、創造性を刺激しました。

五回目となる今回は、「子どもたちと自分たちが楽しい関わりをデザインする」ことをテーマに行いました。支援者―被支援者という従来の枠組みから外れて創造的に考える実践をするため、「クリエイティブケースワークショップ」と題して新しいケース会議をシミュレーションしました。

実際のケースを3つ選び、「その人の持つ強み」に着目するストレングス視点からその子どもと伴走していくために何が可能かを考えました。その子の周りにある社会資源(世話好きな近所の大学生など)と参加者の持つ資源を持ち寄って、その子の願いや思いに沿った関わり方を創っていきました。

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この日のワークの成果物

その後グループリフレクションを行い、プロセスレコードと今日の学びを振り返りました。実際のケースに深くかかわる経験をしたこともあり、内側から浮かび上がってくる感情や思いと向き合う姿がとても印象的でした。「どんな時も絶対正しい答え」がない子どもとの接し方を振り返る中で内面の葛藤と向き合いながら答えを模索していく時間となり、優しい間はこういう対話の中から生まれてくるのではないか、と思わされます。

7月から続く本プログラムも、いよいよ次回で最終回となります。6回のゼミ活動と公開講座を経験して、CforC参加者はどのような学びや気づきを得て次のアクションへとつながっていくのでしょうか。最後まで、お楽しみに!

登壇報告| 19.12.26-28_九州大学「まちづくり実践論」

「まちづくり実践論」@九州大学教育学部 


子どもを取り巻く地域をどのように作っていくか?について、九大の学生とともに深めていく3日間の集中講義。九州大学の田北雅裕さんからご縁をいただき、PIECES代表の小澤いぶきが講師をつとめました。
 
今回の授業は、PIECESが進めてきた「子どものために孤立しやすい環境にいる子どもに新しい関係をつくる市民支援者育成事業「市民権」 (旧:コミュニティーユースワーカー)」を参考としながら、児童精神科の医療の現場から見えてきたこと、そして、世界の動きも踏まえて、九州、福岡という地域で私たち市民が、子どもたちの生きるまちに何ができるか?を受講生のみなさんとともに考える時間となりました。

2019.12.26-28

登壇報告|19.12.17_令和元年度磯子区児童虐待防止専門研修

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2019.12.17に開催された、令和元年度磯子区児童虐待防止専門研修に代表の小澤が登壇いたしました。

神奈川県横浜市磯子区で活動されている、多くの方にPIECESの活動を知っていただき、日々の地域での子どもの孤立を防ぐ活動の一助になる機会としてお話をさせていただきました。

<概要>
日時:令和元年12月17日(火曜日)18時から19時30分
会場:横浜市磯子区役所(磯子区磯子3-5-1)7階701会議室(定員100名)
対象:要保護児童対策地域協議会委員 民生委員・児童委員 主任児童委員
   保健活動推進員 保育園職員 幼稚園職員 小中学校教職員 青少年指導員
   医療関係者 児童の支援に関わる関係機関職員 地域関係者 等

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2019.12.17

登壇報告|19.12.13_京都大学経済学部「公共経営論」

2019.12.13_京都大学経済学部 加藤秀樹先生にお招きいただき、「公共経営論」に代表の小澤が登壇いたしました。

70名を超える学生のみなさんにご参加いただき、民の立場で公共経営を担うNPO法人としてPIECESの取り組むこれまでの活動や子どもたちを取り巻く課題、これからの活動についてお話しさせていただきました。

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◆京都大学寄付講義◆

経済はますます複雑化し、ダイナミックに変動しつつ発展しています。その複雑な動態を理解するためにも、原理についての知識だけでなく、各種産業や商業の経済活動の実態の理解やプラクティカルな知識がますます重要になってきています。 そこで経済学部では、寄附講義として学外の専門実務家の方々を招いて実践的な講義を開設しています。

荒井財団寄附講義「公共経営論」

https://ocw.kyoto-u.ac.jp/syllabuses2019/104/2/6396000

2019.12.13

イベントレポート|191121開催「子どもたちを守る仕事とそれを取り巻く社会の仕組み」

「子どもたちを守る仕事とそれを取り巻く社会の仕組み」認定NPO法人かものはしプロジェクトさんと合同イベントを開催しました!

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みなさん、こんにちは!

先日11月19日(火)、認定NPO法人かものはしプロジェクト(以下、かものはし)さんとPIECESで合同イベントを開催しました。

アジアで人身売買をなくす取り組みをするかものはしと、日本で子どもの孤立を防ぐ取り組みをするPIECES。活動するフィールドは違えど、子どもたちを守っていく、子どもたちが健やかでいられる社会をつくっていくことを仕事としている両団体には、共通点が多くあるように思いました。

今回はそんなイベントの様子をお届けします!

村田 早耶香さん 認定NPO法人かものはしプロジェクト 共同創業者。

村田 早耶香さん
認定NPO法人かものはしプロジェクト 共同創業者。

「だまされて売られる子どもを守りたい」

はじめに、「子どもが売られない社会をつくる」ことをミッションに掲げる、認定NPO法人かものはしプロジェクトの共同創業者の村田さんからお話を伺いました。

学生時代2人の友人と立ち上げたこの団体は、未成年の子どもたちが売春宿で無理やり働かされていることも多かったカンボジアで事業を始め、現在ではインドに事業を展開しています。

「売られない活動・買わせない活動」をこれまで行ってきて村田さんは、「子どもが売られない社会は作れる」と語ってくださいました。

小澤 いぶき 認定NPO法人PIECES 代表理事/Co-Founder 東京大学医学系研究科 客員研究員/児童精神科医

小澤 いぶき
認定NPO法人PIECES 代表理事/Co-Founder
東京大学医学系研究科 客員研究員/児童精神科医

「子どもたちが孤独の中で生き続け、社会のことを信頼できなくなる明日よりも、人の想像力から生まれる優しいつながりが溢れる社会をつくりたい。」

児童精神科医として、PIECES代表の小澤は医療の現場で様々な問題に苦しみ孤立する子どもたちに出会ってきました。その苦しみや孤立を解消するために、子どもたちの周りに寛容な社会を築いていこうと、このPIECESを立ち上げました。PIECESは「子どもにとって大事なのは、信頼できる他者の存在だ」と信じ、子どもと関わる市民の育成をしています。今回はこれまで育成してきた市民の皆さんとそしてそこで出会った子どもたちとの関わりついて紹介させていただきました。

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後半では、村田さんと小澤を登壇者として改めて迎え、参加者からの事前アンケートを基にクロストークを行いました。

Q『お互いの活動からの学びや刺激』

今回が初めての合同イベントの開催でしたが、改めてお互いの活動を聞き改めて思ったことや、日頃からどのようにお互いを見ているのか教えて欲しい、といったご質問をいただきました。

村田さん

いぶきさん(小澤)の精神科医時代から子どもたちにコミットし続け、子どもたちの声に耳を傾けてきたその一環した姿勢にとても刺激を受けています。

変わらない信念というか。それを持ち続けることってすごいなと思います。

小澤

私は、子どもたちに寄り添う大人たちがいれば子どもたちはきっと信頼できる人を見つけて、しんどい状況から脱却できるのではないかと希望を持って信じているんです。

決してこの問題は日本の子どもたちに限った話ではないと思っているので、かものはしさんのように子どもたちをエンパワメントし続ける活動がとても素敵だなと思っているところです。

小澤

村田さんとはかものはしさんがクラウドファンディングをしていたときに支援したことがきっかけでつながりました。どの国においても自分の人生が誰かによって決められてしまう状況をなんとかしたいという思いがずっとあって、村田さんを応援しています。先ほどのプレゼンも、何度もお聞きしたことがあるはずなのに、初めて聞いたように終始聞き入ってしまいました。

かものはしさんの活動からはいつも優しさを感じており、そして逆にその優しさからエンパワメントされていて、これからもご一緒できる機会があると嬉しいです。

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Q『日本にいてすぐにできること』

参加者の方から、「お二人の話を聞いていると、社会はすぐに変わっていくのではないかという感覚を覚えますが、活動の中から社会が変わっていったポイントはあったのでしょうか。また、そのために自分たち一人ひとりはどこからスタートすれば良いか教えてください。」という質問が挙げられました。

村田さん

カンボジアで活動を始めた当初は、周囲からは否定的な意見ばかりで、活動もうまく進まず本当に大変でした。

でも、誰に止められたとしても、自分がやりたいからやっているんだ、この気持ちを忘れないようずっと歩んできました。そうしていると、まるでオセロが黒から白に変わるように、カンボジア国内で売春から子どもたちを守る法律ができ、どんどんと売春宿が閉鎖されていった。

子どもが売られない社会はつくれると、諦め悪くずっとやってきたことで社会が変わったのだと思います。

村田さん

そして、今日この会場にも多くのマンスリーサポーターの方に来ていただいていますが、ご寄付で応援してくださる方がいて初めて私たちの活動は成り立っています。

多くの方に諦めの悪い私たちの挑戦を、背中を押してもらって活動できているのはとてもありがたいです。

小澤

私は小さい頃から人の手で作られたものは人の手できっと変えることができる、という風に思っています。戦争も人の手で始まったのだから、人の手でしか終わらせられない、と。でも、強いリーダーが全てを決めるのでは歪みができてしまいます。一人ひとりの力が集まれば、社会はきっとよくなるはず。

社会の歪みや傷つきにより生まれている痛みはまだまだたくさんあります。炭鉱のカナリアのように、この社会には社会の傷つきを教えてくれる声があるはずですが、まだまだ聴かれてない声があります。「聴かれていない声」を聴きにいくことで、その背景にある構造的課題をなんとかしようとしてきました。

そして、一緒に活動してくれる仲間との歩みの中で、日常に間が生まれ、それが救いとなってきました。一人ひとりにとっては、普段の日常に関心を向けることで、他者との間に優しい関係性をもたらしていくことが、社会に小さな変化をもたらしていくと信じています。


レポートはこちらで以上となりますが、村田さんと小澤の話から、活動地は国外と国内とで異なりつつも、目の前の子どもたちに真っ直ぐ向き合い、その声を聴くことを大切にしながら活動を続けている姿勢は同じだな、と感じました。これからもかものはしプロジェクトさん、そして私たちPIECESの活動に関心を持っていただけると幸いです。引き続き応援をよろしくお願いいたします!!

かものはし、PIECESスタッフでの季節感のある一枚

かものはし、PIECESスタッフでの季節感のある一枚

地域での子ども若者支援のこれから〜「Citizenship for Children in 水戸」第4回公開講座&ゼミレポート〜

PIECESが茨城県水戸市で行う、子どもと関わる市民育成プログラム「Citizenship for Children in 水戸」。

これまでPIECESは首都圏を中心に市民育成プログラム(旧名:コミュニティユースワーカー育成プログラム)を開催し、1〜4期で計約50名の子どもと関わる市民を育成してきました。

今回は全国展開に向けての第一歩目となる水戸市でのプログラムで、「セカンドリーグ茨城」さんとの協働で実施しています。

首都圏に限られていた活動範囲を全国に拡大し、各地にいるかもしれない「孤立した子どもたち」と優しい関係性を紡げる大人を増やしたい。

そんな想いから全国展開を目指し、まずは1拠点目、茨城県水戸市で12人、6ヶ月間の「Citizenship for Children プログラム(以下CforC)」を実施します。

これまでの3回では、子ども・若者の育ちの理解や困難を有する子どもたちへのまなざしなど、一市民として子どもに関わる上で土台となる価値観や知識について、延べ100名近い方々と一緒に学んできました。(第三回目のレポートはこちらから

今期の後半にあたる10月から12月にかけては、引き続きフィールドの異なる実務家・専門家の講師をお招きして、さらに一歩踏み込んで「市民性を大切にした子ども・若者支援」について考えていきたいと思います。


今回で第4回目となる今期の公開講座。雨模様も怪しい中、たくさんの方々に集まっていただくことができました。

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午前の公開講座は、東京都文京区にある地域連携ステーション フミコム(文京区社会福祉協議会)の社会福祉士、根本真紀さんが講師を担当。

今回のテーマは「中間支援の立場から見る“非専門職”の可能性」。社会福祉士として活動する一方、ホームレス支援など、半分を専門職、半分以上を一市民として活動している根本さん。彼女が考える、”非専門職”としての地域との関わり方を学びました。

そもそも「社会福祉協議会」とは?

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社会福祉協議会(社協)とは住民主体の理念に基づいて、地域の福祉課題の解決に取り組み、誰もが安心して暮らすことのできる、地域福祉の実現を目指す組織のことです。

根本さんが所属する文京区の社協では二つの特徴があります。まず一つ目は地域福祉コーディネーターの存在。課題を「待つ」のではなく、自ら出向き相談に応じて人を資源に繋げる。二つ目はフミコムの存在。フミコムは、文京区社協が区や地域住民・ボランティア・NPO・企業・大学等と連携して、新たなつながりを創出し、地域の活性化や地域課題の解決を図っていくための協働の拠点です。今までつながっていなかった人同士を繋げ、地域の課題解決や活性化を目標としています。この「課題の発見力」「課題の解決力」の両輪が地域との繋がりを強化すると根本さんは話します。

独自の事業を展開する文京区の社協。その背景には生活課題の複雑性・多様性が関わってきています。現在の社会変化のスピードに対応するには、従来通りのやり方ではもはや解決が難しくなってきているのです。だからこそ一人で課題解決しようとするのではなく、自分とは違う知識・スキル・価値観をもった他者と繋がり、地域課題を一つ一つ解決していく必要があるのだと根本さんは言います。

専門職と非専門職 それぞれの味

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複雑化した地域課題への取り組みは、専門職だけではなく、非専門職の関わりが大いに必要となってきます。ではどのような関わり方があるのでしょうか。

いわゆる弁護士・医師といった専門職の人は、関わりの目的が明確であるため、「支援する」立場として、与えられた枠の中で最適な解決を探そうとします。一方で、非専門職の人は明確な目的に沿ってではなく、一個人として関わりを持つため、早期に課題を発見するこし、また必要に応じて専門職へ繋げることができます。専門職のような強い繋がりではなく、あくまでもつなげて垂らすくらいのゆるい関係性が非専門職の強みだと根本さんは話します。

どちらが良い悪いのではなく、それぞれの関わり方で地域と繋がる。地域の人たちと一緒になって課題や悩みを共有し、一緒になってできることを探る関係を築いていきたいなと感じたひとときでした。

間を描く

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前回の講座を受けて、メンバーの皆さんには宿題として、間を描くために、地域に存在する地域資源(子どもに関わる人や機関、その役割)を記録していただきました。「0〜12才」「13〜18才」の二グループに別れて、それぞれが発見した資源を「情緒的・機能的」「利用ハードルが低い・利用ハードルが高い」の軸でマッピングしてもらいました。

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社会資源をマッピングを通じて、改めて自分の立ち位置を確認したり、「これも資源になるんだ」と新しい関わり方を発見したり、市民として自分が関われる得意なところを見つける良いきっかけになった、と大盛り上がりを見せました。

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社会資源マップ:0-12才

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社会資源マップ:13-18才

最後の時間は、メンバー全員でプロセスレコードのリフレクションを行いました。みんなで意見の共有や問いかけを行うことで、見方が広がり、新しい考え方や気づきが生まれる、とてもワクワクする時間でした。

新しい「気づき」や「発見」がどのようにしてCforCメンバーの実践に活かされるのでしょうか。次回もお楽しみに!

子ども期の生きづらさに心を寄せる。支援者育成プログラム 〜Citizenship for Children in 水戸 第3回公開講座&ゼミレポート〜

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PIECESの行う、子どもと関わる市民育成プログラムの全国展開第1拠点目は茨城県水戸市。「セカンドリーグ茨城」さんとの協働で実施している今回のプログラムは、7月にスタートし、9月には3回目の公開講座とゼミが行われました。

今回の公開講座のテーマは「子ども期の生きづらさに心を寄せる」

関貴教さん(児童養護施設職員/認定NPO法人いばらき子どもの虐待防止ネットワークあい理事)、小野瀬直人さん(IT企業役員)、横須賀繭子さん((み)当事者研究会主宰)の3名をゲストに、CforCメンバーと一般の方に向けた講座を開設しました。

「子どもの生きづらさとは何か」について講師のみなさんの話と対話の中で、思いを巡らせる時間となりました。

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児童養護施設職員として働く関さんは、子どもの生きづらさは「〜すべき、〜するのが普通」という価値観によって引き起こされると言います。

子どもは両親の元で育つべき、お母さんは子育てをしっかりするべき、女の子はスカートを履くべき。

そんな「べき論」の中で、心を押し殺してしまう。

べき論を極力無くした環境を関さんは施設で作ろうと尽力されています。

たくさんのルールが存在する社会の中、関さんの働く児童養護施設にあるルールはたった一つだけ。

「理由なく誰かを傷つけてはいけないよ」ということ。

愛情や安心の育まれる家庭という場所が存在しない子どもたちにとって、施設がその役割を担うこととなります。「理由なく誰かを傷つけない」このルールにさえ従えば、関さんは無理に子どもに宿題をさせることも、嫌いな食べ物を食べさせることもないのだそう。

とことん「なぜ」に寄り添って、子どもたちにとって信頼できる大人である。

日々子どもたちの生きづらさに寄り添う関さんの姿勢から沢山学ぶことがありました。

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「私の親は里親でした。私は里子です。昔私は児童養護施設というところにいたそうです。」


ご自身の幼少期の写真を投影しながら淡々とそう口にした小野瀬さん。

養子として育った小野瀬さんは、多くの子どもたちと生活を共にしてきました。

小野瀬家で養子として育てたのは小野瀬さん一人だけでしたが、常に複数人の子どもをうちで預かっていたそう。そのため、家に帰れば多くの子どもたちがいて、自分の学校の友達も、預かってきた子も、みんなごちゃまぜで遊ぶのが小野瀬さんにとっての日常でした。

「わたしは生きづらいと思ったことはありませんね」

人のためを想って、人のために泣ける。どんな子も「よその子」という認識はするな。

そんな両親の元で育った小野瀬さんは、決して自分の境遇を嘆くことなく、実の両親を恨むことなく、淡々と人生を振り返ってくださいました。

スクリーンに映し出される写真はみんな良い表情で、社会的養護の元にいる子どもたちへ向けられる勝手な「かわいそう」という視点が如何に一方的なものであるか、考えさせられました。

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自身が不登校、精神病など複数の問題の当事者だった横須賀繭子さん。

自殺を考えたり自傷行為をしたりするほどに心を病んだこともあった横須賀さんにとって、回復の足がかりとなったのは、複数のコミュニティでした。

精神の安定しない母親の元で、幼少期から目をかけてくれる大人の存在がなく、引っ越しもしていたから地域との繋がりもなかったそう。

生きづらさとは、「生きづらさに気づいてもらえないこと」だと横須賀さんは言います。

しかし、子どもの生きづらさはとても目に見えにくい。

「子どもにだってプライドがある。助けてもらったことがないから諦めている。そもそも自覚がない。」

そんなことが生きづらさを目に見えにくくしているものだと。

そんな生きづらさから抜け出すために、必要だったのは自身にとって大切な人、そして自分を大切にしてくれる人だったと語ってくださいました。


「良い子って、大人にとって都合の良い子、でしかないんだよ」

その言葉が大変胸に沁みた今回の公開講座でした。

公開講座の後には、CforCメンバーでゼミを行います。

今回は一つの事例を元に、自分だったらどう振る舞うか、背景にどんな願いや価値観があるかをみんなで確認しました。

自身の子どもと関わる際に立ち現れる自分自身の願いや価値観に気づき、自分の感情を置き去りにしないことを大切にしよう。

子どもと関わる際の「ありたい自分像」を確認し、それに対する感情を振り返りました。

負の感情が表出されたシーンも多く見受けられた今回。

その感情を「抱きしめたい?地下室に閉じ込めておきたい?誇りに思っている?」と、素直な感情を大切にしてもらいました。

多くの感情を振り返って、かなりのエネルギーを消費しながら懸命に向き合っている姿が印象的でした。

いよいよ次回は4回目、折り返しの回となります。

このプログラムを通じてどう変化し、どう深めていくのか。

参加者の顔が徐々に変わっているように思えます。

次回もお楽しみに。

アセスメントと「共に居る」を学ぶ〜「Citizenship for Children in 水戸」第2回公開講座&CforCゼミレポート〜

PIECESが茨城県水戸市で行う、子どもと関わる市民育成プログラム「Citizenship for Children in 水戸」。

これまでPIECESは首都圏を中心に市民育成プログラム(旧名:コミュニティユースワーカー育成プログラム)を開催し、1〜4期で計約50名の子どもと関わる市民を育成してきました。

今回は全国展開に向けての第一歩目となる水戸市でのプログラムで、「セカンドリーグ茨城」(http://secondleague.net/?page_id=269)さんとの協働で実施しています。

 

 

首都圏に限られていた活動範囲を全国に拡大し、各地にいるかもしれない「孤立した子どもたち」と優しい関係性を紡げる大人を増やしたい。

そんな想いから全国展開を目指し、まずは1拠点目、茨城県水戸市で12人、6ヶ月間の「Citizenship for Children プログラム(以下CforC)」を実施します。

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前回7月に引き続き、第2回目の公開講座とゼミを8月25日に行いました。

公開講座は、都内でのスクールソーシャルワーカー経験のある社会福祉士で、現在PIECES理事を務める斎典道が講師を担当。

日曜日の午前の開催にもかかわらず、一般の参加者も含めて約30名の方々に集まっていただくことができました。

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今回のテーマは、「子どもへの深い理解を促す『アセスメント』を学ぶ」。

「アセスメント」とは、対象者を支援する方法の根拠となる仮説(〇〇かもしれない)を考えることです。

専門的な概念ではありますが、アセスメントを理解し「ああかな、こうかな」と仮説が多く思い浮かぶようになると、実際に現場で困った子に出会った時、目に見える情報から子どもの背景を見立てることができるようになるのです。


子どもたちは大人の常識とは全く違う考え方・価値観で行動していることが多々あります。

だからこそ、目の前の子どもの行動・言動の意味付けを捉え直すことで、自分自身が持っている価値観や信念に自覚的であることが大切だと語り、公開講座は終了しました。

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午後のゼミでは、PIECESが考える市民性と市民が作る「間」の理論について理解した上で、実際に実践の現場で気になった場面の子どもの様子(行動や言動)を、観察し直してみるワークを行いました。


子どもと初めて「出会」い、「共にいる」段階で信頼関係を築く時、子どもの様子をしっかりと観察し、想像しながら接することはとても重要です。


午前の公開講座での学びを生かし、まずは一人で、子どもの目に見える情報から仮説をたくさん考えていきます。その後、3,4人のグループに分かれ、それぞれの事例について考えたことを共有してもらいました。

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活動中にはわからなかった子どもの様子を後から思い出し、自分の中の捉え方が変わったことを発表するメンバーや、他のメンバーから「その子、もしかしたらこう思ってたかもしれないね」と指摘し合い、その子との関わり方にまで話が発展していく場面もありました。

今回のゼミを通じて学んだことを踏まえたうえで、

市民として、子どもとの関係を「共にいる」から「探求する」という一段階先のステップへと進めるためには、一体どのような考え方が必要なのでしょうか。

それでは皆様、次回もお楽しみに。


育成プログラム「Citizenship for Children in 水戸」キックオフを行いました!〜公開講座&ゼミレポート〜

水戸の参加者の方々

水戸の参加者の方々

PIECESの行う、子どもと関わる市民育成プログラムの全国展開第1拠点目は茨城県水戸市。

先日7月28日に第1回目の公開講座とゼミが行われました。



これまでPIECESは首都圏を中心に市民育成プログラム(旧名:コミュニティユースワーカー育成プログラム)を開催し、1〜4期で計約50名の子どもと関わる市民を育成してきました。

今回は全国展開に向けての第一歩目となる水戸市でのプログラムで、「セカンドリーグ茨城」(http://secondleague.net/?page_id=269)さんとの協働で実施しています。



首都圏に限られていた活動範囲を全国に拡大し、各地にいるかもしれない「孤立した子どもたち」と優しい関係性を紡げる大人を増やしたい。

そんな想いから全国展開を目指し、まずは1拠点目、茨城県水戸市で12人、6ヶ月間の「Citizenship for Children プログラム(以下CforC)」を実施します。


公開講座の様子

公開講座の様子


PIECESの育成プログラムは
①座学
②ゼミ
③実践
の3本柱で構成されています。

座学は子どもの発達や孤立の心理メカニズム、アセスメントの方法論など、子どもと関わる際の知識を講義型で学びます。座学は公開講座として、一般の方々にも参加していただけるように開催しています。

ゼミはCforC参加者12名が日々の実践のリフレクションを核として対話型で学び合います。

日々の実践の現場でのモヤモヤなどを各自が持ち寄り、子どもとの関わりを多角的に見る、相手への想像力を働かせる訓練を行います。

座学やゼミで学んだことを活かしながら、自分にとっても子どもにとっても良い関わりを探求し続ける現場実践もこのプログラムでは欠かせないものです。

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CforC参加者のみでのゼミでは、キックオフを兼ねてチームビルディングのワークを行いました。

今期の参加者は学生から社会人、お子さんを持つママまで、幅広い人たちがいます。仕事として子どもと関わる人もいて、これまでのPIECESの育成プログラムの参加者とはまた違ったバックグラウンドを持ったメンバーが集まりました。


「専門家でも親でも先生でもない市民として自分ができること」をこの6ヶ月を通して考え、探求し続けていってほしいと思います。


12名でお互いに助け合い、学び合うコミュニティとしてCforCが参加者の中に位置づくことで、どんな学びが生まれるのか。子どもにとっても自分にとっても良い関わりを探求し続ける先にどんなことがあるのか、とてもわくわくする時間でした。


皆さんもぜひ、これからのCforC事業がどうなっていくのか、お楽しみに。

CYW育成プログラム報告会   2019年5月21日㈫

これまで1-4期まで取り組んできたコミュニティユースワーカー育成プログラム。

プログラム内容、評価方法、実際どうだったか、などの報告会を実施しました。

コミュニティユースワーカー4期生や、セカンドリーグ茨城さんも参加し、和やかな雰囲気で行われました。

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JAR 難民支援協会 コラボイベント「あなたの隣の見えない孤立」 2019年5月11日㈯

JAR (Japan Association for Refugees - )難民支援協会さんとのコラボイベントを開催しました!

会場にはasobi基地も開き、子どもたちも楽しみながら優しい空気でした。


会場とオンラインで30名近くの方にご参加いただきました。


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コラムリレー「おとなってなんだろう」#2

【よんなー1周年コラム(2)】「おとなってなんだろう」


よんなーよんなーのオープン1周年を記念して始まったコラムリレー「おとなってなんだろう」

今晩は第2弾!CYW3期生のなかじからのコラムをお届けします!


こんにちは!なかじと言います!社会人1年目で今は福岡で働いています。よんなーには最初の3〜4ヶ月だけ参加していました。

よんなーのことが大好きなので、また東京に戻ったら必ず参加したいと思っています!



「おとなってなんだろう」

僕が小学生の時に高校生の人を見たら、とても大人びて見えたことを覚えています。そして高校生の時に社会人の人を見たら、とてもカッコよく見えたことを覚えています。

彼らは悩みがなさそうで、とてもキラキラして見えました。



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今年で社会人になりました。子どもの頃と同じようにたくさん悩むし、言い訳もするし、お世辞にもあんなに憧れたカッコいい「おとな」にはなれていません。

「おとなってなんだろう」。そう改めて聞かれると悩んでしまいます。自分は「おとな」だと胸を張って答えることも、今は出来る自信がありません。

でも「子どもに戻りたいな」「子どもの頃が懐かしいな」と考えるようになったら、もう「おとな」なんだと思います。

どうせ「おとな」から逃げられないなら、「おとなでもいいや」って思える「おとな」になりたいです。

その近道が自分のやりたいことに素直になることだと思います。素直に生きていけるなら、きっといつか「おとなでもいいや」と思えるはずです。



よんなーよんなーでは、その「やりたいこと」を本気で応援してくれる人や空間があります。お節介な「おとな」があなたを待っています。

騙されたと思って遊びに来てください。そしてちょっとでも安心してくれたら嬉しいです!

次回、12月4日(火)のコラムもぜひ見てください!

よんなーよんなー!!



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子ども期の“生きづらさ”に心を寄せる~第5回PIECES公開講座&CYWゼミレポート~

こんにちは!

コミュニティユースワーカー4期生の新免です。

11月18日に、月に一度の公開講座とゼミが開催されました。
今回の公開講座のテーマは、【子ども期の“生きづらさ”に心を寄せる】
講師は、病児保育など親子問題に関わる事業を展開している、認定NPO法人フローレンス所属の菊川恵さんです。

複雑な家庭環境の中で育ち、様々な葛藤を抱きながら子供時代を生き抜いてきた菊川さん。中学・高校時代を中心に、乳幼児期から大人になるまでにご自身の身に起きたことを振り返っていただきながら、その当時感じていたこと、大人に求めていた関わり、過去を振り返っていま思うこと、についてお話しいただきました。

わたしたちコミュニティユースワーカー(CYW)はもちろんのこと、“生きづらさ”を抱える子どもとの関わり方を模索するあらゆる立場の方々にとって、「支援者」としての自分の在り方を自問自答する機会になったことと思います。

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子供時代の菊川さんが、周りに求めていた関わり、救いとなったもの。
それは、その時々の状況によって、変化していきました。

例えば、大人の発言より行動を見ていた中学時代は、近所の切手屋さんと「ただ一緒に時間を過ごす」ことに、温かくほっとする気持ちを感じていました。

母親が亡くなった後、言葉の出づらさに悩んでいた時期は、帰宅後に聴くラジオが心の支えとなっていました。パーソナリティの話を聴いて笑ったり、お悩み相談をする同世代の話を聴いたり。

この時期は、「自分が人にどう見られているかを過剰に気にしてしまうから、間接的に救われるのがちょうどよかった」「居場所支援があったとしても、元気な時しか行けなかったと思う」という菊川さんの言葉が印象に残りました。

そして高校時代。一時保護施設に身を寄せるなど、一番ハードな出来事が続いた時代でしたが、今回振り返りってみると、「スッキリした気持ち」で当時を思い出すことができたそうです。理由は、「自分自身を見てくれていた」人たちがそばにいたから。

父親の暴力で怪我をして登校した時、いつもと変わらない感じで「気になっとったんよ~」と声をかけてきた担任の先生。

保護施設で、毒舌だけれど、本当に子供たちにとって何が必要なのかを考えているのが伝わってきた職員さん。

転校後の高校で、なんにでも必死に食らいつく姿を見て、「お前おもしろいな」と興味を示し、大学進学を提案してきた担任の先生。多様な価値観を認め合えた同級生たち。

こんな風に、高校時代に、信頼できる他者がいるという実感を重ねられたことで、「信じてもらえてはじめて出せる力」を発揮できるようになり、自分の心の回復を早めることができた、とお話しされていました。

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しかし、その後も、菊川さんの苦しみは続きます。


菊川さんは、20歳当時、慢性的に生きづらさを感じていたそうです。けれど、支援者に助けてもらえるのは、問題が分かりやすく起きているときだけ。大人になって、表面上は「普通の大学生、普通の社会人」として日常を過ごすようになってからは、気軽にアクセスできる支援が見つかりませんでした。


「大人になっても戻ってこられるような支援やつながりがあればよかった」という言葉を聞いて、PIECESでの活動を通じて、子供たちにとって「いつでも戻ってこられる居場所」を少しずつ増やしていきたい、と思いました。


「支援者」として子どもたちに関われる部分は、その子の人生のごく一部に過ぎません。そして、支援者の手を離れた後も、子どもたちの人生はずっと続いていきます。


その子の人生を長い目でみて、本当に必要な関わりは何なのか?

その子に合った支援の形ではなく、「自分にとって理想的な支援の形」に囚われていないか?

自分の持っているフィルターを介して相手を眼差していることに、自覚的であるか?


今日の講演で、菊川さんから投げかけられた問いを心に留めながら、子供たちの人生に「伴走」していきたいと思います。


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午後からは、CYW4期生のみでゼミを行いました。

メディアの取材が入っていたので、少し緊張感もありつつ、各自が現場実践後に書いた「プロセスレコード」を用いながら、二人一組になって「リフレクション」の振り返りを行いました。(「プロセスレコード」について、詳細を知りたい方は第2回ゼミレポートへ)

午前中の講義で学んだことを反芻しながら、「自分自身が抱いている『相手にこうなってほしい』という願いや価値観に縛られたまま子供たちと接していないか?」「目の前の子どもを大事にできているか?」という視点で振り返りをしたのですが、1対1でお互いの「願い・価値観」を深堀りしていく中で、自分自身の認知の癖について、新しい気づきを得ることができました。


更に、今回は、自分が相手に与えている印象や態度を客観的に捉えるために、話し役(子ども)と聞き役(CYW)に分かれて会話をしている様子を動画で撮影する(!)というワークも行いました。

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自分自身の願い・価値観は、必ずしも、言動として表面化して、相手に伝わるとは限りません。このワークを通じて、自分のコミュニケーションの癖がどのようなものなのか、強みと弱みを知ることができました。


本当に、子どもにとって良いことは何なのかを考えるということ。

それを、相手にメッセージとして届けるということ。


とっても難しいことですが、これからも、子ども達、そして自分自身と向き合っていきたいと思います。


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【動画アーカイブ】「子ども虐待の背景を知り、社会全体でこの問題に取り組む」にはどうしたらいいか?

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平成29年度の児童相談所の虐待対応件数は13万件(※)と、実は、今日一日を安心して暮らせていない子どもたちが、私たちが暮らすこの街にはいます。厚生労働省では、毎年11月を「児童虐待防止推進月間」として、児童虐待防止のための広報・啓発活動などを行っています。

今年は特に、虐待に関するニュースが全国的に取り上げられたこともあり、様々な人たちから議論が巻き起こった年でもありました。そのようななか、わたしにもなにかできないだろうか?現在の制度はどうなっているのだろうか?と思われた方も多いかと思います。

私たちPIECESも、そんな思いから立ち上がった虐待防止へと取り組んでいる1つの団体です。代表の小澤は、児童精神科医として、臨床の現場で数多くの虐待を受けた子どもたち、そして養育者の方々と接してきました。

しかし、医療機関に来る前に、さまざまな人の関わりでできることもあるかもしれない、医療機関では出会えないけれど孤立している子もいるかもしれないと実感しました。そこで、小澤は、医療機関や専門家だけがこの問題に取り組むのではなく、社会全体として取り組むためにPIECESを立ち上げました。

今回は、11月の「虐待防止月間」にあわせ、「虐待予防のために、私達ができること」と題して、虐待の背景から、私達が日々できることについて考えるFacebook Liveを行いました。

Liveでは、小澤から「虐待とは?」ということから、「PIECESが生まれるまでの臨床現場で感じた虐待の背景」、そして、PIECESで活動するコミュニティユースワーカーと一緒に「実際に現在、PIECESの現場で活動に取り組んで感じたこと」について、お話させていただきました。
↓動画をぜひ御覧ください。


■プレゼンターについて
代表:小澤いぶき NPO法人PIECES代表理事/Co-Founder
東京大学先端科学技術研究センター客員研究員/児童精神科医
精神科医を経て、児童精神科医として複数の病院で勤務。トラウマ臨床、虐待臨床、発達障害臨床を専門として臨床に携わり、多数の自治体のアドバイザーを務める。さいたま市の子育てインクルーシブモデル立ち上げ・プログラム開発に参画。
2016年、ボストンのFish Family Foundationのプログラムの4名に推薦されリーダーシップ研修を受講。2017年3月、世界各国のリーダーが集まるザルツブルグカンファレンスに招待、子どものウェルビーイング達成に向けたザルツブルグステイトメント作成に参画。

■PIECES  コミュニティユースワーカー:大畑麻衣花
コミュニティユースワーカー2期生。
大学では心理学と保育学を学んでいて4年生になる代だが、NPOへの興味が高まり現在休学中。
PIECESでは、小中高校生とクタクタになるまで遊びまわっているが、最近体力の差を感じ始めている。PIECES外でも、虐待など複雑な家庭環境で育った経験のある子どもたちが過ごす施設でアルバイトをしている。


厚生労働省による平成29年度「児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」参照。


<配信内容の概要>


●虐待とは?

・身体的虐待、心理的虐待、性的虐待などがあります。
・ネグレクトとは、子どもたちの尊厳が放棄されているような状態のことを指します。

●虐待の背景

虐待の背景には、様々なレイヤーがあります。

・家庭内の状態:子どもの人数や障害の有無、養育者の精神状態など
・家庭と地域の状態:職場からの孤立、家庭の経済状況、地域からの孤立など
・社会の状態:家族の役割への社会からの重圧 

生物学的には子育ては共同体で行うものです。
1人で頑張らなければならない、しんどく感じるときに、一緒に子育てをしていけるような環境作りをしていかなければならないと考えています。

「家族だから…」やらなければならないというのではなく、核家族化、地域のかかわりがなくなっているからこそ、どのように一緒に子どもを育てるということをシェアしていくかということを考えていかなければなら無いと思います。

●虐待による子どもへの影響

①愛着形成の困難さ

アタッチメントとは、子どもと特定の母性的人物に形成される強い情緒的な結びつき。幼少期に必要不可欠な重要な関係性のことを指します。愛着形成には養育者も安心した環境作りが必要不可欠です。

愛着が育まれないと…脳の特定の部位の機能が低下し、なにかをやろうとしてもモチベーションが上がりにくくなってしまうこともあります。これはケアをすることで回復していきます。

②心理的孤立

信頼して頼るということの困難になっていきます。
たとえば、DVが会った場合。暴力があることは子どもにとって不安の要因になります。頑張っても家族の中が上手くいかないと、自分が意味がない存在ととらえるように。そうすると、自分の感情、やってみたいという気持ちが抑えられてしまい、信頼している人に頼るということが難しくなってしまうこともあります。

心理的孤立とは、頼る人がいない、頼れない状態。

困った時に相談する人がいるような「あたたかい経験」がないから頼るという選択肢自体が思い浮かばないことがあります。何に困っているかわからないほど深刻化しているとき、意欲すら奪われ、支援されることに抵抗があることがあります。頼ることは実は主体的な行為で、大切だが難しい行為でもあります。

そのため、頼りたいと思うことが出来る環境作りが重要です。

●私たちにできること

①子どもへのまなざし

迷惑をかけてはいけないという空気感を取り除く。子どもたちが頼ることができる雰囲気作りをしていくことが大切。

②養育者へのまなざし

頑張っている養育者への関わりが大切になります。養育者が頼れるということは、子どもが豊かに育つ環境が広がることでもあります。


③寛容な社会を作る

目に見える言動だけではなく、目の前にいる人の、思考、感情、願い、欲求に目を向けていくことが大切です。

たとえば、イライラ、物にあたっている人がいたとしたら。一見、行動だけを見ると単に暴力的な人にみえるかもしれません。しかし、その子の心の奥にある感情をみる必要があります。そうした寛容な関係性が、「頼ってもいいんだな」という気持ちに繋がっていきます。

※その他、質問への回答や詳細は動画をご覧ください。