活動報告

子どもの孤立を防ぐ、コミュニティのつくり方|CforCレポート

子どもの孤立を防ぐ、コミュニティのつくり方 ~なぜそこには「つながり」が生まれるのか?~

子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するオンラインプログラムCitizenship for Children2023。第5回を2023年12月16日に開催しました。
第5回は、NPO法人ハンズオン埼玉理事の西川正さんを講師にお招きしました。
CforC2023基礎コース・探求コースの参加者は、下記4つのパートについて講師がお話した講座動画を事前視聴したうえで、プログラムに臨みました。

子どもの孤立を防ぐ、コミュニティのつくり方〜なぜそこには「つながり」が生まれるのか?~
Part.1 遊ぶと学ぶの場づくり
Part.2 対談① ~つながりが生まれる場のデザイン~
Part.3 対談② ~"with 子ども"のコミュニティ~

講座では、西川さんがこれまで取り組んできた場づくりを紹介していただきました。そのなかで、西川さんはあらゆることが専門化、サービス化されていくことで、人と人として出会う関係性の大切さをお話いただきました。お話を聞くことで、孤立や分断を生まないためには、子どものために(for)ではなく、子どもとともに(with)、不要不急の「あそび」を大切にしていく西川さんの場づくりのスタンスを感じられました。


講師への質疑応答・対話

午前中の質疑応答・対話のパートは、基礎コース・探求コースの参加者全員がリアルタイムに集い、自己紹介や講師への質問、参加者同士の対話を行いました。
参加者から講師に投げかけられた疑問や葛藤を一部をご紹介します。

  • 西川さんがwithな関係を広げる上で意識されていることはありますか?あそびを生むために"遊び"をまず設計するのでしょうか

  • 子どもを「見守る」のと「傍観しているだけ」のバランスについてどう考えていますか?

  • 地域活動を持続可能にするためにNPO法人化することがあるけれど、ボランティアだからこそできるかかわりもある。そのあたりのバランスってどうすればよいのでしょう?

参加者のみなさんが思いをもって活動しているからこそ生まれる葛藤に、西川さんもご自身の経験を重ね合わせながら、一緒になって考えていただきました。
子どもとの関わりや場づくりは、正解がひとつではないからこそ難しいこともありますが、自分なりの楽しいことや面白いことをとことん追求していくという西川さんの軽やかな姿勢に、参加者のみなさんは少し肩の力が抜け、楽に構えながら自分の活動を捉え直すことができたように思います。



ゼミ活動

午後は、探求コースの参加者がワークを通してさらに学びを深めるゼミ活動を行いました。

今回は、参加者が身の周りで子どもとかかわったときの事例を持ち寄りました。ワークでは、事例ごとに4名ずつグループとなって子どもの願いや強みに目を向けたり、自分自身の資源性を活かしたりして、次のアクションのアイデアを自由に広げていくことを行いました。

子どもの願いや強みとメンバー同士の資源性を掛け合わせることで、斬新なアイデアがいくつも生み出されてきて、参加者のみんなが純粋に楽しそう、面白そう、と心が動かされるようなかかわりや在り方を体得していくような時間となりました。



参加者の感想 

大人側が課題だと思っていても、子どもからしたら課題だと思っていないのかなと思いました。
好ましくない状況ではあるものの、大人の接し方次第で子どもが必要以上に、自分が課題の中心人物であることを意識しないで済む形で=子どもが必要以上に傷つかない形で、うまく解決できるんだなと気づきました。

そういう意味では、西川さんの大真面目にはしゃぐ大人の姿勢が大事だなと思いました。

探求コース・あきお

CforC2023では今後も、様々なフィールドで子どもと関わる実践者や専門家の方を講師に招き、学びを深めていきます。

執筆:西角綾夏


CforCプログラムでも大切にしている「市民性」について伝えるページをつくりました。市民性やその世界観を、より身近に感じていただけたら嬉しいです。

子どもの権利月間2023終了のご報告

今こそ、子どもの権利条約を広く普及したい

すべての子どもは生まれながらにして「子どもの権利」を持っています。
しかしその権利が実現されない日常もあり、子どもたちの尊厳が大切にされているとは言い難い状況があります。

こども基本法が施行された今、改めて子どもの権利の重要性をとらえなおし、より広く発信していく必要性があるという想いから、今年もPIECESでは11月に子どもの権利月間キャンペーンを実施しました。

特設サイトやSNSを通じて、子どもの権利条約の4つの原則、4つの権利、そしてこども基本法について紹介したほか、専門家へのインタビューや私たちの暮らしと子どもの権利を紐解く事例紹介を発信しました。
期間中、情報を受け取ったり拡散してくださった方、イベントに参加してくださった方など、本当にありがとうございました。

すべての子どもたちが持つ「権利」が守られ、こどもがこどもでいられる社会をつくるためには、子どもに関わるすべての人が、子どもたちに起きている現状について知り、関心を寄せ、権利が実現されるように行動することが大切です。 
私たちPIECESは、今後もより多くの人が日常の中で「子どもの権利」について知り、考える機会をつくっていきたいと思っています。

子どもの権利月間の広がり

「子どもの権利」に関する情報に対するアクション(いいねやリポスト、コメントなど)の数で、子どもの権利への関心の広がりを測りました。

子どもの権利月間に寄せて


子どもの権利と私たちのくらしを紐解く

子どもの権利を尊重する日常には、どんな子どもとの関わりが生まれているのか-
子どもとの関わりを「#かもしれない」の視点で見つめ、子どもの権利を尊重するとはどういうことか深めましす。

 

リレートーク:私たちのすぐそばにある「子どもの権利」

代表の小澤いぶきがゲストの方々とともに、子どもに関わる日々のニュースなどから、子どもの権利と私たちの暮らしについて深めました。たくさんの方にご視聴いただき、ありがとうございました。以下よりアーカイブをご覧いただけます。


Special Thanks:織戸ゆみこ/ 児玉悠

じしんやいつもとちがうニュースなどにふれる子どものみなさんへ

このページをみてくださってありがとうございます。
じしんなど、さいがいがおこると、からだやこころが「いつもとちがう」とかんじることがあるかもしれません。
それはだれにでもおこるしぜんなことで、だんだんよくなることがおおいと言われています。

ここには3つのことがかかれています。
◯こんかいのじしんについて
◯さいがいのときにおこるこころやからだのへんか
◯ちょっとためしてみるとほっとするかもしれないこと

どこからよんでも、ぜんぶよまなくても、だいじょうぶ。
じぶんのペースとタイミングを大切にして、まずはじぶんのほっとするじかんや、すきなことをたいじにしてくださいね。

どんなことがおこっているの?

●1月1日ににほんのにほんかいにちかいところで、じしんがありました。
●いのちをまもるために、安全なばしょににげることがあります。
●とても広いはんいでじしんがあったので、テレビではいつものばんぐみをへんこうして、 じしんのことをつたえています。
●ふだんとちがうことが多いと、ふあんになることもあるかもしれません。 いろんな気持ちになるのはとてもしぜんなことです。
●そんな時はまわりの大人や、そうだんできるばしょ(このページのさいごにのっています)にはなしてみてもいいかもしれません。
●大人もまだわからないことがあるけれど、少しでもはやくにちじょうがもどるようにいろんな人がどりょくしています。
●もし気になること、ききたいことがあったら、まわりのおとなにきいてくださいね。
みなさんといっしょにかんがえたりしらべたりします。

じしんやしんさいがあった時、こころやからだはどうなるの?

しんさいがあったとき、からだがいつもよりかたくなったり、 こころがざわざわしたり、ねむれなくなったり、何もしたくなくなったり、 からだやこころがいつもとちがうと感じることがあるかもしれません。
それは、とてもしぜんなことで、大切なサインです。

<からだのこと>
どこかがいたくなる、からだがかたく感じる、 ごはんがおいしくないと感じる、ねむれなくなる・すごくねむたくなる、 なんとなくうごきたくない、
などが起こることがあります。

<こころのこと>
なんだかおちつかない、イライラする、しゅうちゅうできない、 たのしくない、じぶんのせいだと思う、
などの気持ちになることがあります。

ここに書いてあるのは一つのれいです。
おこるへんかは、ひとりひとりちがいます。

そのようなときにどうしたらいいの?

●わからないことやしんぱいなこと、知りたいことは、口に出してみたり まわりの大人にきいたりして、だいじょうぶ
●いつものあそびやすきなことを大切にしてみる
●ちょっとからだをうごかしてみる
●じぶんできめたいことをきめたり、 じぶんが大切にしていることをつたえてもだいじょうぶ
●ニュースからちょっとはなれるじかんを作ってみる

よんでくれてありがとうございます。
ここに書いていないことや、すでにくふうしていることもあるかもしれません。
ぜひ、じぶんがかんじていることを大切にしてくださいね。

「そうだんしようかな」「どうしようかな」と、まよったときに、いろんなことを話すことができる場所はこちらです。
https://www.notalone-cas.go.jp/under18/

みなさんの大切な毎日が、少しでもはやく、あんしんできるものになりますように。
わたしたちも、いっしょにできることをかんがえていきたいと思っています。

このぶんしょうをつくったひと:
おざわいぶき やまぐちありさ にしざきめぐみ さわだなおみ はせがわますみ
きょうきょくしてくれただんたい:「いっぱんあおいふくしAI(エイアイ)けんきゅうじょ」


一般向けはこちらをご覧ください。
https://www.pieces.tokyo/blog/2024/01/04

地震やいつもと違うニュースなどにふれる全ての皆さまへ

地震や羽田空港のニュースなど、いつもと違う状況が続き、緊張が途切れない時間を過ごしていらっしゃるかもしれません。
ご自身の心身の状況や、まわりの方や大切にしているものなどを含めて、みなさまのご無事を心からお祈りいたします。

今後、さまざまな情報が流れると思います。何よりまず信頼できる情報をもとに安全を第一になさってください。

このようなとき、大人にも子どもにも、さまざまな変化が起こることがあります。
これはとても自然なことです。ゆっくりと落ち着いていくことが多いですが、いまできる工夫もあるといわれています。

元旦以降の地震や社会のさまざまな状況を受け、PIECES代表理事の小澤いぶきが、こどもに関わる専門家の方々と一緒に企画制作している「子どもとそのまわりの人」と一緒に大切にしたいことを共有します。

ご自身にとってちょうどいいところから読んでいただき、もし役立つ部分があれば無理のない範囲で試してみていただけたら嬉しいです。

また、これとは別に子ども向けの文章も掲載しています。
https://www.pieces.tokyo/blog/2024/01/04/forc

※具体的なことが書かれたもの、イラストなどが入った見やすい資料を現在作成中です。企画制作のメンバーは最後に記載してあります。

【からだのこと】
●足を動かす
じっとしていると血液の流れがとどこおってしまうことがあります。
せまい場所でも、少しでも足を動かすことが大切といわれています。

●水分をとる
水分が足りないと血液がとどこおったり、脱水になったりすることがあります。
もしできればこまめに水分をとることをおすすめします。

●からだの変化があることを知っておく 
子どもはとくに、不安や心配な気持ちが、からだの変化として 現れやすいといわれています。
これまでやっていたことができなくなるようにみえることもあるかもしれません。 これらは自然な反応で、落ち着いて過ごせる時間が少しずつ増えていくと、 徐々によくなっていくとされています。

【こころのこと】

●こころの変化があることを知っておく
例えば、気持ちが落ち着かない、イライラする、集中できない、 眠れない・すごく眠くなる、疲れやすい、楽しめない、自分を責める などは、いつもと違うことが起こったり、危機だと感じたりしたときに 自然に生じる大切なこころのサインでもあります。

●子どもは遊びで表現することがある
子どもの場合は、言葉以外にも、ごっこ遊び(地震ごっこなど)など さまざまな方法を通してその子なりの方法で表現したり、 対処の工夫をしたりしていることがあります。

【子どもとのかかわり】

●子どもにわかる方法で、子どもの理解や想いを確認しながら、 わからないことも含めて、いま起きていることについて共有します
●疑問や不安を感じたら、いつでも伝えていいことを共有します
●いつもと違う感覚になるのは自然であること、 違う感覚になったときに一緒にできることがあることを伝えます
●できるだけ普段通りの日課や慣れていることを大切にします
● 軽い運動や遊びの時間を大切にします
●普段よりも少し多めに、子どもとのふれあいの時間や 子どもの話をただ聴く時間をつくります
●日常の中で、子どもが自分で選べる機会をつくります
●ニュースなどから離れる時間を定期的につくります

子どもを育てたりサポートしたりする人も、同じように震災の影響を 受けています。
どうかご自身のための時間や空間もぜひ作っていただけたらと思います。

【影響が大きい場合】

ここまで書いたようなからだやこころの状態は、 誰にでも起こりうることですが、 程度が強くて日常生活への影響が大きかったり、 何ヶ月も長く続いたりすることもあるかもしれません。

例えば、
一週間以上眠れない、自分を傷つけたくなる、誰かを傷つけたくなる、 涙が止まらない、死にたい気持ちがずっと続く、なども含め、 いつでも専門家に相談することもできます。

地域の精神健康相談センターや、下記のような窓口もあります。
https://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303886.htm

地域のまわりの人たちと比べて、相談していいか 迷うこともあるかもあるかもしれませんが、 自分のつらいな・しんどいなと感じる気持ちを大切にしていただけたらと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございます。
こちらに書かれたもの以外にも、それぞれがやっている工夫や地域にある大切な知恵などもあると思います。
ぜひそれぞれのペースや方法を大切にしていただけたらと思います。

※もう少し詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。

① https://www.savechildren.or.jp/lp/pfa/
② 
https://www.ncchd.go.jp/news/2020/6faff78c4550746f93e6425d8b4d572773f4bb77.pdf
③ 
https://www.ncchd.go.jp/news/2020/0acf48f6afa2b9af77e971502f2091248666607b.pdf
④ 
https://kidsinfost.net/wp-content/uploads/2020/05/aluha_workbook_2.pdf

(②〜④は、コロナウイルスの影響によるストレスを想定したものですが、役に立つヒントが含まれていると思い載せています)

少しでも早く、皆様の大切な日常が戻るよう祈りながら、私たちも一緒にできることを考えさせていただけたらと思っております。

制作チーム:小澤いぶき 山口有紗 西崎萌 澤田なおみ 長谷川真澄
※こちらの資料及び、現在作成中の見やすい資料は「一般社団法人あおい福祉AI研究所」の支援を受けて作成しています。

必要な方はQRコードをご活用ください。

子ども向けはこちらをご覧ください。
https://www.pieces.tokyo/blog/2024/01/04/forc


PIECESの活動は、個人・法人の方々からの寄付を主たる財源に活動しています。
みなさまの応援が大変励みになります。

PIECESメイトトークを開催しました|PforPレポート

「PIECESの他の寄付者のことを知りたい」というPIECESメイト(継続寄付者)の声から始まった「PIECESメイトトーク」。「人」にフォーカスして、自身の仕事や取り組み、人生についてゲストの10分間のフリートークを通じて、新たな出会いと繋がりを楽しむ場になっています!
2023年9月から12月までに5回開催したので、その様子をお伝えします。

2023年9月からスタートしたPIECESメイトトーク。12月までに都内で4回、京都で1回開催しました。毎回20名前後の方にご参加頂き、新たな交流が生まれています!

PIECESメイトトークでは、2名のPIECESメイト(継続寄付者)に登壇いただき、ご自身の活動や取り組んでいることなどを10分程度お話してもらっています。
ゲストスピーカーを囲んでの対話・交流タイムでは、ゲストから更にじっくり話を聞いたり、参加者一人ひとりがその場で感じていることを共有する時間を過ごしています。

イベントの企画・運営はPIECESメイトを中心に行っています!

最初のチェックインでは、ゲームを取り入れたり、初めて参加する参加者同士が交流できるような工夫をしています。

参加者の声

  • メイトのお二人のお話も興味深かったですし、他の参加者の皆さんとのお話も楽しかったです。人と人をつないでくれる場は貴重だなと思います。ぜひ続けてください。

  • 個性豊かな方々に出会えすぎて、すごく充実した時間に恵まれた

  • ”何をしているかわからないと言われる人たち”とたくさん知り合えました。皆さんの活動が素敵だなと。皆さんのお話を伺えてよかったです。もっと聞きたい知りたいというお話がたくさんありました!

  • 人にはわかりにくい、のかもしれないけど、足を一歩踏み込めば、逆に、何が分かりにくいのか、分からなくなる、PIECESを常識にしていきたいですね

  • 絶対に素敵な気持ちになれるからおすすめしたい

PIECESメイトトークはPIECESメイト(継続寄付者)でなくてもご参加頂けます。
様々な方と交流する機会となっていますので、PIECESに関わる方と知り合ってみたい!いろいろな活動をする方々と話したい!という方はぜひご参加ください!



寄付者限定のオンラインスペースPiece for Peace(PforP)のご案内

PforPは、PIECESにご寄付頂いているみなさまが、社会も自分もwell-beingになることを目指して、イベント参加や寄付者同士で交流できるオンラインコミュニティです(詳細はこちら)。まだ入っていない!という方は、お気軽にお問い合わせください。

また、これから寄付してくださる方には、寄付後にPforP加入の案内をお送りいたしますので、この機会にぜひご検討ください(※単発寄付者の方も、期間限定でPforPに参加いただけます)。

みなさんと市民性醸成の道を一緒に歩んでいくことを楽しみにしています!


1月のPIECESメイトトークのご案内

日時:2024年1月26日(金)19:30-21:30
会場:株式会社STYZ オフィス
住所:〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-59-4 クエストコート原宿102
アクセス:JR山手線 原宿駅 徒歩6分、東京メトロ千代田線・副都心線 明治神宮前駅 徒歩8分
参加費:大人1,500円、学生 500円
対象:寄付者(単発・メイト)の方、PIECESの活動に興味を持っている方
定員:20人

イベントレポート|私たちのすぐそばにある「子どもの権利」 #1

子どもの権利月間特別企画として、子どもに関わる日々のニュースなどから、子どもの権利と私たちの暮らしについて深めるリレートークを開催しました。
一回目のゲストは弁護士の佐藤暁子さん。ガイドに株式会社spectrum共同代表の岡田拓也を迎え、PIECES代表理事小澤いぶきとともに子どもの権利について深めました。レポートでは、配信の内容を簡単に紹介します。

人権、そして子どもの権利とは

最初に人権、そして子どもの権利について、佐藤さんと小澤から簡単に説明がありました。佐藤さんは、子どもの権利は人権の考え方に基づいており、人権とは人として当然に与えられるもの、保証されるべきものだと話されました。人権や子どもの権利は義務が発生するものではなく、誰もが生まれながらにして持っていうこと、それを保証するのは国であること、世界人権宣言や子どもの権利条約といったものを通して実現してきた権利であるからこそ、メンテナンも必要であるということなどが話されました。

権利はトレードオフではない

権利は誰しもが持っているものであり、誰かの権利が保障されるからといって、別の人の権利が減るものではありません。小澤は「あなただけずるい」と思わず、お互いを大事にすることが大切だと話し、佐藤さんは優しくするという話と権利は別のものとして考えなくてはならないと続けました。
導くというより、子どもたちが権利の主体であることを伝えることが大切です。子どもの頃から権利の主体であることが身についていないと、大人になって急には受け入れられません。権利とは条件付きでも気持ちの問題でもないということ、そしてその土台の上で相手の尊厳を守るということをが必要だと話されました。

子どもに関わる日々のニュース

子どもの権利、または私たちの権利は無自覚なうちに奪われてしまっていることがあります。
今回は、授業中にトイレに行って厳しい指導を受けた子どものニュース、いじめのニュースを切り口に、子どもの権利の視点からみつめるとどんなことが考えられるか深めました。先生と生徒というパワーバランスが出やすい学校という空間では特に、子どもの当たり前の権利という視点を問い直すことが必要です。オランダやイギリスなど海外の学校の取り組みについてもご紹介いただきました。
日本国内においても、若者たちの声からスケートボードパークができるなど、子どもの意見が尊重され、権利が守られるニュースについても取り上げました。

一人ひとりにできること

佐藤さんからは国際的にも注目されている気候変動の問題を例に挙げ、将来を担う子どもたちが発している声を大切に聴くこと、そしてその子どもたちの将来を今生きる私たちがどのように守っていけるのか、という視点を持つことが大切ではないかと話されました。

また小澤からは、悲しい事件などのニュースなどが報道された時、その子どもやその周りの家族だけの問題にするのではく、権利が保障されない状況を生み出している社会の構造やそこに関わっている自分の課題として受け取り、何ができるかを考えることの必要性について話されました

リレートークの配信はアーカイブでyoutubeに残っています。配信に興味を持ってくださった方はぜひ見てみてください。

最後になりますが、佐藤さん、岡田さんそして配信を見てくださった皆さま、本当にありがとうございました。

執筆:広報ファンドレイズ インターン 坂本朱弥音

イベントレポート|PIECES公開セミナー「子どものサインに目を向ける」を開催しました。

子どもとの関わりの中で「困ったな…」と感じる行動に遭遇したことはないでしょうか。

そんなとき、子どもの気持ちを受け取りながら、「今目の前にいるこの子に何が起こっているのだろう」と子どもの声を聴きながら、その行動の背景をみつめる視点が大切です。

子どものサインをみつめるとはどういうことか。児童精神科医として10年以上に渡って、子どもたちの声に耳を傾けてきたPIECES代表理事の小澤いぶきが、「トラウマ」の視点からお伝えしました。

子どもの心と健康とウェルビーイング

心の健康の状態は連続したものであり「病気」と「病気ではない」ではなく、グラデーションになっていること、それは誰もが同じであることがまず最初に話されました。
その上で、子どもの心の健康は、周りの影響を大きく受けます。家族や保護者、友だちそしてその周りの人同士の関係性をはじめ、学校や地域社会の文化、制度なども影響しています。

子どもの心の健康やウェルビーイングで大切なこと<3つの要素>
・楽観性
・ここにいて大丈夫だと思える感覚
・主体的に社会に関わっている、働きかけられる感覚

子どもの健康とウェルビーイングには誰もが関わっていて、誰もが一緒に育んでいけるということ、さらに子ども時代の体験の影響の大きさについても説明がありました

心も怪我をする

ここでは、トラウマについての説明やトラウマ体験に対する私たちの反応やその影響について話されました。実際にトラウマ体験をした子どもが回復した事例も交えながら、周りにいる私たちが子どもたちのサインを通して、その影響を知り、受けとることの大切さを学びました。それが子どもにとって安全な体験の積み重ねになります。

トラウマインフォームドケア

心の怪我とはどんなことか、どんな影響を及ぼすのかを知り、適切な対応をすることで更なる傷つきを防ぐことができます。心に負った傷に対する手当は専門家だけではなく、誰もができることであること、その実践に当たって周りの人ができることや意識するべきことについての説明がありました。

大切な2つのポイント

・目の前で起こっていることを「問題行動」として捉えるのではなく、危機時における正常な「反応」や「対処」として捉える
・風邪に関する知識を持つのと同じように、トラウマの影響を理解しながら関わる

参加者の感想

安全性は日々の繰り返しから作られるというところが印象的でした。自分も大切にしながら安全な日々を一緒に作っていきます。

普段の自分の子どもとの関わり方と重ねて考えることができ、子どもの気持ちに寄り添いながら話を聞くことは、「なぜ?どうして?」と気持ちを問うばかりではなくて、「解像度」をあげることで、子どもに安心感を与えることが何より大切なんだと気づきました。

「なぜ機嫌が悪いのか子どもたち自身も分からない」というお話が印象に残りました。 私は思わず「どうして機嫌が悪いのか」「どうして嫌だったのか」を聞いてしまっており、そのような視点が無かったので、今度からもう少し子どもたちの視点に立って考えようと思いました。

平日夜という時間にもかかわらず、たくさんの方にご参加いただきありがとうございました。

執筆:広報ファンドレイズ インターン 坂本朱弥音

市民性と専門性|CforCレポート

市民性と専門性 ~公的支援の立場から見る“非専門職”の可能性~

子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するオンラインプログラムCitizenship for Children2023。第4回を2023年11月18日に開催しました。

第4回は、弁護士とソーシャルワーカーの協働を考える会/ちば子ども若者ネットワークの安井飛鳥さんを講師にお招きしました。
講座では、安井さん自身のキャリアとその時々に出会った子どもたちの事例やそこで感じた葛藤などをお話いただきました。安井さんは、弁護士とソーシャルワーカーの2つの専門資格をとったものの、専門職としての限界を感じ、現在はひとりの市民としてちば子ども若者ネットワークで活動をされているようです。専門職とひとりの市民という、両方の立場から子どもたちにかかわる安井さん自身の経験から、市民性と専門性とは何かを考える時間となりました。

「市民性と専門性 ~公的支援の立場から見る“非専門職”の可能性~」

Part.1 これまでの活動紹介
Part.2 “支援”の枠組みに乗らない・乗れない子どもたち
Part.3 対談① ~専門職として関わることの可能性と限界~
Part.4 対談② ~子ども・若者にとっての市民性と専門性~

講師への質疑応答・対話

午前中の質疑応答・対話のパートは、基礎コース・探求コースの参加者全員がリアルタイムに集い、自己紹介や講師への質問、参加者同士の対話を行いました。
参加者から講師に投げかけられた疑問や葛藤を一部をご紹介します。

安井さんから見て、支援の立場でない一般的な市民ができることとして、こんなことをする人がもっと増えればなという具体的なことはありますか?

専門家のアドバイスをもらいたいときに、誰に頼っていいか…お金がネックになったりする中で、動かない、動けないことって多いように感じます。

市民がやっている場に、専門家に一市民として参加してもらうにはどうしたらいいでしょうか?

弁護士とソーシャルワーカーというふたつの資格をもち、専門性を極めた安井さんが、専門性が増えるほどできないと感じることが増えた、と言葉を漏らしながら、市民としてのかかわりを模索している姿に、たくさんの視点をもらった参加者が多かったように感じます。

質疑応答でも、安井さんと参加者が一緒になって、迷い・葛藤しあう様子が見られました。専門性と市民性、どちらが大事なのかと二項対立で比べられるものでもなく、どちらも大事であり、専門家の方も一人の市民であるということが実感できました。

ゼミ活動

午後は、探求コースの参加者がワークを通してさらに学びを深めるゼミ活動を行いました。

今回のワークは、自身の資源について見つめるワークを行いました。自分の資源・資源性とは何か、個人ワーク、グループワーク、ペアワークを通して、仲間のことや自分自身のことについて、より深く見つめ直す時間となりました。
仲間や自分の新たな一面に気付き、ゼミ後の任意参加のお喋りタイムの参加者はこれまでで一番多く、1日プログラムを終えてからも、参加者同士の語らいが続きました。

参加者の感想 

専門性=直線的な解決を求められる

   =意思をコントロールしてしまっている?

    「うん」としか言えない状況を作ってしまうことがある

というお話にとても共感しました。

「支援の場」ではなく、「社会」で地域の人びとから声をかけられて初めて

「あ、私たち、無視されていない。私たち、居ないことになっていない。私たち、ちゃんと社会で生きてる」って思えるもんだよな、と思います。

市民性って「私には、ちゃんとあなたが見えているよ!」っていうメッセージなんかな?とも思いました。

(基礎コース・yoshimura)

CforC2023では今後も、様々なフィールドで子どもと関わる実践者や専門家の方を講師に招き、学びを深めていきます。

執筆:西角綾夏


【参加者募集中】PIECES公開セミナー第3弾|子どものサインに目を向ける

子どもとの関わりの中で「困ったな」と感じる行動に遭遇したことはないでしょうか。
子どものサインをみつめるとはどういうことか。PIECES代表理事の小澤いぶきが、「トラウマ」の視点からお伝えします。  
■日時:2023年11月30日(木)20:00-21:30
■会場:zoomを使用
■参加費:1,000円

CforCコンソーシアムが始動!「まなびの会」を開催しました。

2023年1月のキックオフイベントより、半年以上に渡りコンソーシアムの在り方について検討を重ね、11月16日に第1回目となる参画団体同士の知見共有の場「まなびの会」を開催しました。
記念すべき初回は、PIECESとすでに接点のある6団体の方々にご参加いただきました。

すでにCforCの取組みなどを通じてお互いが顔見知りの方々もいれば、初対面の方もいたり…。
今回はコンソーシアムの趣旨や概要を紹介すると共に、参加者同士の自己紹介や活動紹介にスポットを当てて実施しました。

参画いただいた団体の活動は多岐にわたります。日々子どもたちと関わりを持つ団体もいれば、地域のワークスペースとして様々なイベントやサロンなどの場づくりをする団体、また地域のコーディネーターとして活躍する中間支援団体に、福祉を通じたまちづくりを推進する団体、全国組織として幅広いネットワークを持つ団体など、それぞれの特徴や有する知見が混ざり合い、そして豊かになることこそが、コンソーシアムの大切な幹を育んでいきます。

必ずしも全ての団体が「市民性を育む」ことを目的に活動している訳ではありません。ですが、根っこのところでじんわりとある社会や子どもたちへのまなざしや想いは、今回参加いただいた方に共通するものだと感じています。まずはもっとお互いのことを深く知るところから。

当面のまなびの会はお互いの活動紹介を軸にしながら、関わる方々にとってのまなび合いの場となっていきそうな予感です。

ぜひこれからのまなびの会、そしてCforCコンソーシアムの発展に関心を寄せていただけたら嬉しいです。

◆参画団体の皆さま(6団体※あいうえお順)

一般社団法人We are Buddies(東京都)
合同会社ライフイズ(東京都)
さきちゃんち運営委員会(東京都)
社会福祉法人高島市社会福祉協議会(滋賀県)
特定非営利活動法人セカンドリーグ茨城(茨城県)
日本生活協同組合連合会(東京都)

◆CforCコンソーシアムとは

PIECESでは「市民性の醸成」を掲げて、子どもの日常を支える市民や非専門職の支援者向けの学習プログラム「Citizenship for Children(CforC)」を運営しています。CforCコンソーシアムは、CforCで大切にしている想いに共感いただく全国各地の団体や機関、自治体、企業の方々と協働し、各地域で市民性を育む活動を広げていくことを目的に立ち上げたコンソーシアムです。
本コンソーシアム事業では、公益財団法人トヨタ財団より3年間で約1,800万円の資金助成をいただいてます。

今後も「まなびの会」は、定期的に開催を予定しています。ご関心のある方はぜひお問い合わせください。

執筆:CforCコンソーシアム推進担当 村山 裕紀

講演・研修報告レポート|『子どもの声を聴く』講演・研修を開催しました

君津市で行った講座で代表理事小澤が参加者と対話する様子

子どもが一人の人として大切にされる社会にー
私たちPIECESでは、子どもたちの周りに信頼できる大人を増やしたいという想いから活動を行っています。
子どもたちの声を聴くとは、どういうことか。 子どもの言動や行動の背景にどのように目を向けていけば良いのか、子どもに接するための大切なマインドを研修・講演にてお伝えしています。

「私たちの地域でも、研修・講演を開催してみたい!」
そんなご要望がございましたらhttps://www.pieces.tokyo/seminar までお問い合わせください。

今回は最近実施した講演・研修の様子をご紹介いたします。

【千葉県君津市】子どもの小さなサイン、どう受け止めていますか?

子どもを取り巻く現状や子どもたちの声を紹介し、子どもの権利条約、心の健康とウェルビーイングな状態について具体的な事例を交えながら説明しました。
子どものサインに気付くためには、大人はどんな声かけをしたら良いかを考えてもらうために、子ども役、大人役に分かれてもらい、それぞれの立場から考えるロールプレイングをして頂きました。

<参加者の声>

・一人の教員としてまた1人の親として今回の講座は大変勉強になりました。自分はちゃんと避難場所になれているだろうか?安心基地になれているだろうか?と考えました。
感情を受け止めること、体験を共有することを大切にしていきたいと思いました。「話してくれてありがとう」、「教えてくれてありがとう」の言葉をたくさんつかえるように聞く力をもっと鍛えていきたいです。

・親として、教師として、市民として、立場により、子どものサインに気付くのは様々だと感じた。サインに気付いた時の働きかけがどうするべきか、ケースバイケースだと思うので、自分磨きをし、アンテナを高くしていきたい。焦らず、子どもの心の奥にある声を聞くことのできる人間(大人)となりたいと痛く感じました。
小澤先生の子どもを見守る温かいお話に心動かされました。ありがとうございました。

・教員として(仕事として)子どもたちと関わってきたものの、市民として子どもと関わることがいままでなかったと痛感させられました。
地域の子どもとあいさつでもしっかりして、見守られているという安心感を作り上げていく大切さを学ぶことができました。また、子どもたちに聞き取りをする際にはどうしても理由をすぐに聞かなければならないという意識から子どもたちにストレートに聞いてしまうなと感じました。よりよい言葉を引き出すには、子どものタイミングも大切にしてあげたいと思います。

【人権問題学習講座】
テーマ:子どもの小さなサイン、どう受け止めていますか?~やさしい ’つながり’ があふれる社会をめざして
日時:2023年9月27日(水)14:00-16:00
主催:君津中央公民館生涯学習文化課・学校人権研究協議会共催
場所:君津中央公民館(千葉県君津市)
参加者:小中学校人権担当教員および市民の方 約30名

【日本財団様】子どもの権利とウェルビーイング~子どもの心の健康を支える~

公益財団法人日本財団様では、「すべての子どもたちが未来への希望を持ち、安心して過ごすことができる「子ども第三の居場所」を設け、全国へと拡げています。今回は「子ども第三の居場所」を運営する事業団体に向けた研修にて、小澤いぶきがお話しました。

子どもを取り巻く現状や子どもたちの声を紹介したのち、子どもの心の健康、ウェルビーイングな状態について説明しました。子どもの発達の段階、子どものレジリエンス・力を大切にした関わりをお伝えし、テーマごとに少人数のグループ対話を実施しました。

グループ対話では「子どもたちの権利やウェルビーイングに対して、今すでにやっていることや、これからできることはなんでしょうか?」、「自分たちが日常で行なっている子どもにとっての肯定的な体験には、どのようなものがあるでしょうか?」、「自分たちが工夫をしている子どもへの姿勢やコミュニケーションにはどのようなものがありますか?」など、小澤から参加者の方に問いをいくつかお渡しし、グループで意見を出し合いました。

<参加者の声>

・日々の、些細な声掛け等が、子どもの安心感や居場所としての安心に繋がる。
事実を丁寧に聞く、傾聴する。出来ない事より、出来る事に着目する。言葉だけでは無い子供の声を聞く。とても、大切な事をたくさん学びました。ありがとうございました。

・子どもの言葉と願いは一致してるとは限らないって、本当にそうだなと思いました。
もっと本当の心の中を知れるように、一緒に過ごす時間を大切にしたいと思います!

・支援者よがりの支援ではなく、子どもの意見を傾聴し、そのお子さんが本当に必要としている支援を考えていく事が必要であり、それ自体が子どもの権利を守ることにつながっているように感じました。

・子ども権利について今まで意識したことが無かったな。と思いました。子どもの意見を聞いたり気持ちを大切にしたり、大人の思うレールに添わせない事は、当たり前だと思って関わっていても、その子にとっては実際どうなのか…。と思った時に、子ども達にも、子どもの権利を知らせておく必要があるなー。と感じました。
拠点自体はまだ始動していないですが、子ども達と関わっていく中で、「自分の意見や気持ちを言っていいんだよ。」「大切にされる。守られる。は当たり前なんだよ。」等、日々の生活や気づきの中で伝えていけたら良いな。と思いました。大人との関わりの中で自然と身についたり、気づいたりできる環境ならいいが、そういう環境ばかりではないかもしれないので、知っておくって大切だと思いました。

【日本財団子ども第三の居場所研修】
テーマ:子どもの権利とウェルビーイング~子どもの心の健康を支える~
日時:2023年10月4日(水)10:00-12:00
主催:公益財団法人 日本財団
場所:オンライン
参加者:「子ども第三の居場所」を運営する団体スタッフ 約40名

PIECESでは、日本の子どもを取り巻く環境やPIECESの取り組み、一市民・一企業という立場でできることなどを知っていただくため、講演や研修などのご依頼をお受けしています。お気軽にお問い合わせください。

執筆:佐藤麻衣

わたしたちの中にある「市民性」|CforCレポート

子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するオンラインプログラムCitizenship for Children2023。
2023年11月4日にCforCの核となる市民性をテーマとした特別講座を開催しました。当日はPIECES事務局長の斎が講師を務めました。

わたしたちの中にある「市民性」をみつめる 

①なぜいま、「市民性」なのか?
②市民性の発揮と「優しい間」の創出

斎さんのこれまでの歩みも交えてお話を聞きながら、「市民性」が求められている背景や、「市民性」がどのように発揮されているのか、CforC修了生の活動などを例に挙げながら、私たちにどんなアクションができるのかについて深めていきました。

参加者それぞれが「市民性とはなにか?」「市民性を発揮するとはどういうことか?」といった問いに向き合い、対話の時間に入る前からチャットでのやりとりがとても盛り上がっていた様子が印象的でした。

参加者一人ひとりの大事にしたい思いやこれまでの経験が、「市民性」というキーワードと結び付いていったようで、対話の時間ではそれぞれが問いを深めたり、気付きを得たり、みんなの話が尽きませんでした。

「市民性」と、ひとことで言っても、思い浮かべることは様々であり、自分が大切にしたいことはなにかを改めて立ち返るような時間になりました。

参加者の感想 

「市民性とは」と考え始めるとわからなくなるのですが、皆さんのお話を聞きながら、市民性は他者への関心から生まれるのかなーなんて思いました。
その関心は、ここのコミュニティのように、なんてことない会話(対話?)の交換から生まれるのかな、とも。

TVや新聞、SNSなどのメディアを通した情報で〝わかったつもり〟になるのではなく、一対一で話し、想像を膨らませることで段々に分かっていくことの心地よさを、これまでの講座で味わっています。
「ただそこにいる」「ともに在る」のも、ただ同じ空間にいることを指すのではなく、同じ場を共有しながら相手の存在に関心を払う、みたいなのが市民性につながっていくのかな、と思いました。

「相手の存在に関心を払う」ということは、相手を人として見る、モノのように扱わない、ということで、言葉を置き換えると結局は「他者の尊厳を守る」ことにつながり「自分の尊厳も守る」ということなのかなーと思いました。

(探求コース・ちえさん)

講座修了後も、みなさんで感想を伝え合いそれぞれの日常に持ち帰っていく様子が素敵だなと感じています。

CforC2023では今後も、様々なフィールドで子どもと関わる実践者や専門家の方を講師に招き、学びを深めていきます。

執筆:西角綾夏


【参加者募集中】PIECES公開セミナー第3弾|子どものサインに目を向ける

子どもとの関わりの中で「困ったな」と感じる行動に遭遇したことはないでしょうか。
子どものサインをみつめるとはどういうことか。PIECES代表理事の小澤いぶきが、「トラウマ」の視点からお伝えします。  
■日時:2023年11月30日(木)20:00-21:30
■会場:zoomを使用
■参加費:1,000円

子どもへの“支援”を問い直す|CforCレポート

子どもへの“支援”を問い直す
プレーパークでの実践に学ぶ「子どもとともにいる」関わり

子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するオンラインプログラムCitizenship for Children2023。第3回を2023年10月21日に開催しました。

第3回のプログラムは、一般社団法人プレーワーカーズ理事/一般社団法人TOKYOPLAY/世田谷区外遊び推進員の神林俊一さんを講師にお招きしました。

CforC2023基礎コース・探求コースの参加者は、下記4つのパートについて神林さんがお話した講座動画を事前視聴したうえで、プログラムに臨みました。
プレーパークをはじめ、数々の遊び場をつくってきた神林さんの生のお話では、「子どもに何かしてあげる」のではなく、「ただともにいる」ことで生まれる関係性があるのだと、ハッとさせられることが多かったです。

CforC2023第3回講座 子どもへの“支援”を問い直す ~あそび場での実践に学ぶ「子どもとともにいる」関わり~
Part.1 講師紹介/子どもにとっての遊びとは
Part.2 あそび場での実践~東北・世田谷を中心に~
Part.3 対談①~子どもと“ともにある”実践とは~
Part.4 対談②~関わりのカタチ~

講師への質疑応答・対話 

午前中の質疑応答・対話のパートは、基礎コース・探求コースの参加者全員がリアルタイムに集い、自己紹介や講師への質問、参加者同士の対話を行いました。
参加者から講師に投げかけられた疑問や葛藤の一部をご紹介します。

・子どもの遊びでは怪我することもあると思いますが、保護者は大きな怪我をさせたくないし、命の危険を犯したくない。でも、そうしたリスクがあるところでこそ学べることもあると思う。
保護者側からしたら過度にリスクをとれなくなってきているなかで、プレーパークで大切にしているポリシーや安心・安全を守るためのラインなどは、ありますか?

・他者のいる状況で上手く遊びに参加できない子どもに対して何か働きかけをしますか?するとしたらどのようなことですか?

参加者のみなさんは、神林さんに正解を聞くのでなく、対話を通して、自分ができる子どもへの関わりを問い直しているようでした。

ゼミ活動

午後は、探求コースの参加者がワークを通してさらに学びを深めるゼミ活動を行いました。

ワークの最後に、「子どもとの関わり方において、あなたが大切にしたいものは何ですか。また、あなたにとって、子どもとのちょうどいい関わり方はどんな関わり方だと思いますか。」という問いについての対話では、講師の神林さんがお話のなかで発せられた「子どもにとって邪魔にならない存在」という言葉を、キーワードとして挙げる方が多かったのが印象的でした。

参加者一人ひとりが、自分は子どもとどのように関わりたいのか、見つめ直して対話することで、自分にとっての大切なものを見つけていくような時間になりました。

参加者の感想 

私は「邪魔にならない」を、既にそこにいるこどもも大人も"生きている/人生がある/こうありたいとか願いや想いの積み重ねがあり"いまここで一緒にいる。それを勝手にコントロールしようとしないということ/そこに思いを馳せること、と解釈しました。(探求コース・ぷっくん)

CforC2023では今後も、様々なフィールドで子どもと関わる実践者や専門家の方を講師に招き、学びを深めていきます。

執筆:西角綾夏


【参加者募集中】CforC2023公開特別講座:わたしたちの中にある「市民性」を見つめる~一人ひとりの手元から紡ぐ~

PIECES事務局長の斎が講師を務め、CforCプログラムの核となる「市民性」について深める講座を、公開特別講座として開催します!
リアルタイムでご参加いただくと、CforC参加メンバーとともに対話を行うことができます。

後日ご視聴いただけるアーカイブチケットもありますので、この機会にぜひ、ともに学びを深められたら嬉しいです。
■日時:2023年11月4日(土)10:00-12:30 ※11/4(土)9:30〆切
■会場:zoomを使用
■参加費:
①1人2,000円(学生:1,000円)
複数で参加される場合は、参加される方それぞれにお申し込みください。
②アーカイブ1人2,000円(学生:1,000円)

■こんな方にオススメ

・まちやコミュニティでの子どもあるいは多世代向けの活動を、より良いものにしていきたい
・専門家としてではなく、一市民の立場で活動をしていきたいが、自分に何ができるかよく分からない
・CforCのプログラムに参加したいと思ったことはあるけど、まだ参加できていない

CforC2023基礎コース後期の申込みも受付中!〈申込締切:10/27〉
https://cforc2023kiso.peatix.com/

子どもたちの“生きづらさ”に心を寄せる|CforCレポート

子どもたちの“生きづらさ”に心を寄せる 
孤立する子どもたちが本当に求めているものとは?

子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するオンラインプログラムCitizenship for Children2023。第2回を2023年9月30日に開催しました。

第2回は、日頃困難な環境にいる子どもたちのところへ直接訪問しに行くアウトリーチ事業を行っている「NPO法人ビーンズふくしま」の山下仁子さんとともに、「子どもたちの“生きづらさ”に心を寄せる」をテーマに学びを深めました。

CforC2023基礎コース・探求コースの参加者は、事前に山下さんから下記4つのパートについてお話いただいた講座動画を視聴し、当日オンライン上で開催される集合講座に臨みました。

Part.1 講師紹介/ビーンズふくしまの活動紹介
Part2. 子どもたちのいま
Part3. 対談①~人権擁護の実践とは~
Part.4 対談②~子どもとの関わりで大切にすること~

講師への質疑応答・対話 

午前中の質疑応答・対話のパートは、基礎コース・探求コースの参加者全員がリアルタイムに集い、山下さんへの質問、参加者同士の対話を行いました。

参加者から講師に投げかけられた疑問や葛藤を一部をご紹介します。

「子どもが自分の困り感を認識し違和感を持つようになる」という点について、困り感を認識できるようになるためには「自己肯定感が上がることで自然に認識できるようになる」という過程が大切なのでしょうか。それとは別に気付きを促すようなこともされているのでしょうか。

困難な環境にいる子どもと接するときに気を付けていることについて聞かせてください。

保護者と子どもへの思いが対立するとき、どうしていますか?

どの問いに対しても、山下さん自身がその場で参加者とともに悩み、ご自身の経験を紐解きながら、お話してくださった姿が印象に残っています。
どんな環境にいる子どもたちとも、ありのままに接する山下さんの思いに触れながら、参加者一人ひとりが自分はどう在りたいのかを問い直していく深い時間でした。

ゼミ活動「こころで応える」

午後は、探求コースの参加者がワークを通してさらに学びを深めるゼミ活動を行いました。
ワークでは、参加者が子ども時代を含めこれまで、ちょっとした心の痛みや息苦しさを感じた出来事や状況を思い出し、どんな関わりがあったら(もしくはなかったら)良かったのかについて振り返り、グループでシェアをします。グループのメンバーは、話し手の声を聴き、こころで応えることを意識しながら、感じたことを共有しました。

参加者がちょっとしたしんどさをその場に開いたことで、言葉を発さずその人の感情を丸ごと受けとめた人もいれば、あたたかな言葉をかける人、ともに痛みを感じる人、感じ方や寄り添い方も人それぞれ。その場にいる人ひとりひとりのこころに思いを馳せた、じんわりあたたかな時間が流れました。


参加者の感想
プログラムが終わった後も、それぞれが余韻を味わいながら、いろんな感想が届きました。そのうちのひとつをご紹介します。

「心で応える」
頭で答えるのではなく、心で応える。簡単にできることではないけど、とても大切。
目の前の問題だけをみて解決するんじゃなくて、子どものその発言・行動の裏側にはどんな想いがあるのか、急がず、子どもの気持ちに対して想像力をめいっぱい膨らませて、心で応えることができるよう日々を積み重ねたい。
山下さんがおっしゃっていた、応えが違っているかもしれないけど、そこで止まってしまわないで、先へ進むことが必要。
斎さんがおっしゃっていた、山下さんにならなくていい、という言葉にもはっとした。

山下さんの子どもへの向き合い方は山下さんのものだから、山下さんのマネをするのではなく、私なりの<心で応える>をやっていきたい。(探求コース・すーちゃん)


CforC2023では今後も、様々なフィールドで子どもと関わる実践者や専門家の方を講師に招き、学びを深めていきます。

執筆:西角綾夏


【CforC2023公開特別講座】わたしたちの中にある「市民性」を見つめる~一人ひとりの手元から紡ぐ~

11月は一般の方にもご参加いただける公開特別講座を予定しています。コースへの申込みは叶わなかったけれど講座に参加してみたいという方、まずは少し様子を知りたい方という方など、どなたでもお気軽にご参加ください。
■日時:2023年11月4日(土)10:00-12:30
■会場:zoomを使用
■参加費:
①1人2,000円(学生:1,000円)
複数で参加される場合は、参加される方それぞれにお申し込みください。
②アーカイブ1人2,000円(学生:1,000円)

CforC2023基礎コース後期の申込みも受付中!〈申込締切:10/27〉
https://cforc2023kiso.peatix.com/

#問いを贈ろう2023 にご参加いただき、ありがとうございました。

PIECESから贈る17の「問い」を通じて自分や他者、未来に想いを馳せ、より良い社会を目指すきっかけをつくる #問いを贈ろうキャンペーン。8月15日から9月21日までの6週間、多くの方にご参加いただき、本当にありがとうございました。

異なる私たち一人ひとりが大切にされている、そんな社会は誰かがつくる確固たる正解ではなく、ふと感じる違和感や、私たちが受け取る願いや問いから、始まっていく。
そんな思いからキャンペーンを開始し、今年で3年目となりました。

「問い」を通じて自分や他者、未来に想いを馳せる、その想像力の先に、誰もが大切にされる社会があると、私たちは信じています。

今年のキャンペーンは終了となりますが、これからも日々の暮らしの中でふと「問い」を思い出していただけるととても嬉しく思います。

問いの広がり

「問い」に対するアクション(いいねやリポスト、コメントなど)の数で、自分や社会、未来に対する関心の広がりを測りました。

参加者の投稿

いいねやリプライで他の人に問いを贈るほか、たくさんの方が問いに対するお返事を投稿してくれました!
みなさんの多様なお返事から、私たち自身もたくさんの気づきや新たな視点を得ることができました。

参加者の声

・世界中で、そして日本でもいろいろな悲しいことや怖いことが起きていて、先の見えない不安な世の中になってきていると感じていますが、「問い」によってそのことをより強く考えさせられました。
一市民として、幸せに生きられる平和な世の中をつくるためにできることを考え、行動していきたいと思いました。

問うことで様々なことに気づくことができると感じています。 問いを通じて自分の考えをアウトプットする機会を与えていただき、ありがとうございます。

・子供たちとその未来が健やかに育つ社会にしていくために、私たちがするべきことはまだまだあると感じました。 

・普段目を向けることをできなかったこと(してこなかったこと)を改めて考えるきっかけとなりました。ほかの方の問いのお返事もいくつか読ませていただいて、色んな考え、色んな世界の見方を知る機会となりました。

・問いの答えを考える時間はなんだかあたたかい気持ちになるなと思いました。また、わたしの願いとか大切にしたいことを改めて見返して、やっぱり大切にしたいことはこれなんだと気づくことができました。まだ答えてない問いで考えたいものがあるので、キャンペーンは終わったけどまだ続く問いの答えを考える時間を楽しみにしたいなと思います!

・忙しい日常の中で、問いについて想いを巡らせる時間が、私にとってはとても心落ち着くひとときでした。

・問いに答えている時、まだみたことのない遠くにいる名もない子どもたちを感じながら過ごすことができました。 いつになっても、子供たちのために生きていきたいという私自身の願いは変わらないままなんだなと自覚することができました。
また、他の方々の問いの答えを見ていて、すごく自分の心が広くなったのと同時に、暖かい気持ちに包まれていました。 物理的な距離は遠いかもしれませんが、心の距離は近く存れるように生きたいと思いました。

・素敵な企画をありがとうございました。ホッとする問い、 ドキッとする問い、 自分に向き合うきっかけであり、身近な人に向き合うきっかけであり、世界に、未来へのきっかけであり… 日々遠くへと目線が向かう問いをありがとうございました。

PIECESが贈った 17の「問い」

「問い」は、PIECESが全国で展開している市民性醸成プログラム「Citizenship for Children」で長年培ってきた問いかけやリフレクションのエッセンスを凝縮させたものです。

「自分をみつめる」「まわりを見つめる」「未来をみつめる」といった3つのテーマに紐づいた「問い」を贈ることで、自分の願いに気づき、他者への想像力をはたらかせ、願う未来と向き合うきっかけをつくります。
すべての「問い」はキャンペーンサイトからご覧いただけます。

著名人からの「問い」のお返事

さまざまな分野で活躍する【14名】の方々から、問いのお返事をいただきました。ご賛同いただいたみなさま、本当にありがとうございます。
いただいたお返事は、キャンペーンサイトからご覧いただけます。

またご参加いただいた著名人のみなさんからもコメントをいただきました。

・どれもひとことでは言い表せない大切なテーマで、こうして悩んでいる時間が自分にとってとても豊かなひとときだと思いました。

こどもの孤立をなくすための市民性、めちゃくちゃ大事と思います。問いを立てながら生きることは能動的人生に他ならないし、凄く意味深い。

・とっても素敵な活動ですね。私もどうにか子どもたちに笑顔になってほしい一心で色々と活動してます。

オンラインイベント「問いのじかん」

代表の小澤いぶきが、京都大学総合博物館准教授・塩瀬隆之さんと共に「問うこと」について深めました。たくさんの方にご視聴いただき、ありがとうございました。以下よりアーカイブをご覧いただけます。

 

「問い」の先に広がる世界


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今年もたくさんの方々と共に育んできた宝物のような時間となりました。 皆様にとって、この1ヶ月、どんな体験だったでしょうか。
私自身にとっては、問いを通して出会ったたくさんのお返事に触れ、世界の多様さと豊かさを感じ、日々自分がみえていなかった世界と出会い直したような日々でした。

私たちの日常には多様な世界が広がっています。
「問い」を受け取るタイミングにより、どんなことがこころに浮かぶか変化したり、誰かの問いのお返事に触れて自分のこころに新たな感覚が芽生えたりすることは、自分と誰かや世界が交わされ影響し合う瞬間だったように感じます。

「問い」を通じて立ち止まり、お互いの返事を通して新たな世界と出会い、この世界を共にしている自分や他者、未来に想いを馳せることは、共に生きる人や自分に純粋に関心を向けながら、日々の暮らしに、さまざまな願いや想いを発見し、互いにそれを紡ぎながら社会を育んでいくことなのかもしれません。

今年のキャンペーンは一旦区切りとなりますが、わたしたちは、この取り組みを通して、市民性を重ねあい、優しい間を育みながら、願う社会を皆さんと一緒に広げる営みを続けていきたいと考えています。
改めてこの1ヶ月半を一緒に育み、耕し、広げてくださりありがとうございました。

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PIECES代表理事/児童精神科医


イベントレポート|問いのほこら展を開催しました

RYOZAN PARK HOKORAの外観。4坪のちょっと不思議な空間で展覧会を開催しました

PIECESでは、#問いを贈ろうを8月15日~ 9月21日に実施しました。3年目の開催となる今年は、「問い」を受け取り、一息つける場をつくりたいという想いから、展覧会「問いのほこら展」を9月2日、3日、9日、10日に開催しました。

会場は東京都豊島区にある「自分に向き合い、それを世に表現する空間 - RYOZAN PARK HOKORA - 」。都会の片隅に生まれたちょっと不思議な空間で、自分や未来に想いを馳せるひとときをお贈りしました。


#問いを贈ろうでは、イラストレーターのまえじまふみえさんにご協力いただき、言葉だけでは伝えきれない世界感を表現していただいています。

「問いのほこら展」では、まえじまふみえさんのイラストと共に、17個の問いを展示しました。

期間中、来場頂いたみなさまにも「問い」を贈っていただきました。素敵な「問い」が集まりました。

来場者の声

・「問い」がグサグサささりました。自分の中の答えをゆっくり考えたいです。

・素敵な空間でした。もう少し考えたい。もう少し言語化したい。ひとまず、空間があたたかかったとだけ。

・普段は、せわしない日々に忙殺されて、自分と向き合う時間をなかなかとることができませんが、わずか4帖という空間において、素敵に展示された問いと向き合うことで、少し落ち着いた気持ちを取り戻したように感じます。

会場まで足を運んでくださったみなさま、そして今回は参加できなくともお気持ちを寄せてくださったみなさま、本当にありがとうございました!そして展覧会の企画を一からつくってくださったまきばメンバーのはるちゃんに心から感謝しています!

最終日。PIECESのまきば(プロボノ)メンバーやPIECESメイト(継続寄付者)のみなさまとHOKORAの前で。


問いを贈ろう ―思いを馳せることからはじめよう ー

異なる私たち一人ひとりが大切にされている、そんな社会は誰かがつくる確固たる正解ではなく、ふと感じる違和感や、私たちが受け取る願いや問いからはじまっていく。

そんな想いから、PIECESでは2021年から「問いを贈ろう」キャンペーンを行っています。

今年は、8月15日から9月21日(国際平和デー)までの期間、17個の問いを贈りました。

お贈りした問いやみなさまからのお返事は、キャンペーン特設サイトからご覧いただけます。

#問いを贈ろうキャンペーンサイト https://toi-pieces.tokyo/

子どもの声を届ける

こどものモヤモヤ=こどモヤから、こどもの権利を考えよう

PIECESは「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」の実行団体として活動しています。

広げよう!子どもの権利条約キャンペーンでは、2023年4月に「こども基本法」が施行されたことをきっかけに、子どもたちの声※を広く社会に届けるためのSNSキャンペーン「こどモヤ」を実施しています。
こどモヤでは、子どもたちの声を「子どもの権利条約」の視点から捉え、子どもたちはどのような権利を持っているか、子どもたちの願いやさまざまな現状を生み出す社会の課題は何なのか、考えるきっかけをつくっています。
※子どもたちの声は、10代のモヤモヤキャンペーンで集まった声の中から抜粋しています

子どもたちが小倉こども政策担当大臣を訪問

2023年8月28日(月)、集まった子どもたちの声を届けるため、子どもたちが小倉將信(おぐらまさのぶ)こども政策担当大臣を訪問し、PIECESスタッフも同行させていただきました。
当日は、10代のモヤモヤキャンペーンの事務局を担う、フリーザチルドレンジャパンの子どもアンバサダーと「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」の子どもメガホンプロジェクトメンバー計6名がモヤモヤの声を届けました。

▼当日の様子、子どもたちの声や感想はこちらからご覧いただけます
【報告】小倉こども政策担当大臣を FTCJ子どもアンバサダー/子どもメガホンプロジェクトメンバーが訪問しました

子どもとともに

実際にその場で子どもたちの生の声を聴き、子どもたちの声は、社会に必要なさまざまなことを教えてくれていることを改めて感じました。
今回の場は、国に対して提言するという構造ではなく、子どもの隣にいる市民として、子どもたちの声をともに聴き、子どもとともにあるウェルビーイングな社会を探求する場になっていたと感じます。

子どもたちの周りにいる私たちは、子どもたちの声を大切に受け取り、子どもの権利が守られる社会の実現をより一層進めていく必要があります。
尊厳ある一人の権利主体として、子どもたちがこの社会で生きていく環境を、PIECESはこれからも子どもとともに育んでいきます。

執筆:矢部杏奈


広げよう!子どもの権利条約キャンペーン
すべての子どもが生まれながらにして持っている「子どもの権利」という考え方が、日本で当たり前になるように ①日本政府への政策提言 ②賛同団体とのネットワーク構築 ③市民に子どもの権利を知らせる啓発 の3本柱で全国200以上の賛同団体・個人と共に活動しています。

認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン
1995年、当時12歳のカナダのクレイグ少年によって設立された"Free The Children"の理念に共感し、1999年から日本で活動を始めたNPOです。開発途上国での国際協力活動と並行して、日本の子どもや若者が国内外の問題に取組み、変化を起こすチェンジメーカーになるようエンパワーしています。

10代のモヤモヤキャンペーン
25歳以下の若者を対象に、身の回りや社会に対してモヤッとしていることをSNS等を通じて集めたキャンペーン。集まった声をまとめたレポートはこちら

イベントレポート|PIECES公開セミナー「子どもの権利から考える」を開催しました!

子どもと関わるときに、「子どもの権利」を意識して関わっている人は、どれくらいいるのでしょうか?

近年、こども家庭庁の設立などにより、話題に上がることも多い分野ではありますが、日々の生活の中で権利一つひとつに気を配りながら子どもと接する人は、まだまだ少ないのだと思います。また、子どもたち自身も、自分たちがどのような権利を持っているか知っている人は、まだまだ多くありません。

出典:公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「3万人のアンケートから見る 子どもの権利に関する意識」を基にPIECES作成

今回は児童精神科医として10年以上に渡って、子どもたちの声に耳を傾けてきたPIECES代表理事の小澤いぶきとともに、「子どもの権利」について考え、日々の生活の中で子どもの権利をどのように尊重していけるのか、参加者とともに考えました。

子どもの権利とはなにか

セミナーでは最初に、子どもの権利条約の概要や歴史、日本での現状や課題などについて共有されました。「差別の禁止」や「意見表明権」といった子どもの権利条約の4原則の内容や、実際の子どもたちの声(権利が守られていないと感じる時など)も共有されました。

また、子どもたちに子どもの権利について伝えることの重要性や方法、実際に子どもの権利を守るために行われている自治体などの取り組みについても交えながら子どもの権利についての理解を深めました。

子どもの権利を尊重しながら子どもと関わるには?

日々の生活の中でどのように子どもの権利を尊重しながら、子どもたちと接することができるかについての話がありました。
いくつかの場面を例に出しながら、こんな時、私たちはどのようなまなざしをもち、何を大切に考えたらいいか、子どもの権利の本質についてより深く、明確に理解することができる時間になりました。

一つひとつの解説は、こちらからご覧いただけます。

「子どもの気持ちや意見を尊重する」ためにはどのような声掛けをしたらいいかや、大人同士の関わり方や大人自身の権利への意識を見直す必要性など、より実践的な内容となりました。

最後に、小人数に分かれて、セミナーの感想や日々の生活の中で感じていることなどを話す時間を設けました。

それぞれが子どもの権利に基づいて実践してきたことや、困りごと、疑問、あったらいいことなどを少人数のグループで話し合い、全体で共有を行いました。

参加者の感想

子どもの権利について深く学ぶことができたのと、みなさんの思いを伺えたり、子ども大人共に権利を大切にしながらどうやっているのかなど、貴重なお話しを聞けてとても良い経験になりました。

小澤さんの「子どもも権利条約について知りたがっている」というお言葉が印象的でした。

子どもの権利を確保していくためには大人も権利を意識していくことが必要だということが理解できた。

いつも生活や心に馴染む言葉での発信をありがとうございます。そうそう、そうだった!という発見が多いです。

PIECESでは今後も、「価値観のメガネを外す」をキーワードに、様々なテーマでセミナーを開催します。
次回は「トラウマインフォームドケア」をテーマに、11月に開催予定!
詳細が決まりましたら、改めてご案内します。

執筆:広報ファンドレイズ インターン 坂本朱弥音

CforC2023基礎コース・探求コースがスタートしました|CforCレポート

子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するオンラインプログラム「Citizenship for Children2023」

「支援者」ではなく「ひとりの人」として子どもに関わりたいと思うからこそ生まれる、迷いや葛藤。Citizenship for Children(CforC)は、そんな願いや気持ちを持つ人たちが集い、子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するオンラインプログラムです。

CforCは、年に一度参加者を募集しています。今年度は、基礎コース47名、探求コース30名の参加者とともにプログラムをスタートしました(基礎コース後期は10/27まで参加者を募集しています)!

8月26日に実施した第1回プログラムは、PIECES代表理事の小澤いぶきが講師を務め、「子どもの発達と心のケア ~児童精神科医の視点からみえる、子どもたちの今〜」をテーマに学びを深めました。
参加者は、下記4つのパートについて講師がお話した講座動画を事前視聴したうえで、プログラムに臨んでいます。

「子どもの発達と心のケア ~児童精神科医の視点からみえる、子どもたちの今〜」
①子どもを取り巻く現状
②子どもの発達の基盤となる安心・信頼の醸成
③子どもの発達に影響するもの
④子どもが子どもでいられる社会であるために

講師への質疑応答・対話 

午前中の質疑応答・対話のパートは、基礎コース・探求コースの参加者全員がリアルタイムに集い、自己紹介や講師への質問、参加者同士の対話を行いました。初めて顔を合わせた参加者がほとんどのなか、積極的な発言や質問が続き、熱量が高い時間となりました。

参加者から講師に投げかけられた疑問や葛藤を一部をご紹介します。

1対多の現場のなかでアタッチメントを築く難しさを感じます。子どもの人数が多くならざるを得ない現場では、一人ひとりの声を聞く時間がどうしても短くなってしまいます。そんなとき、大人はどんな振る舞いをすれば、子どもの安心につながるのでしょうか。

自尊感情が低い子どもたちと関わることが多いです。背中を押す言葉やケアの方法があれば教えてほしいです。

参加者の言葉からは、ひとりひとりの背景や経験、子どもへの真摯な思いが溢れていました。
講師からのコメントも、関わりへの解の提示ではなくひとつの視点として、講師と参加者との対話が繰り広げられました。

ゼミ活動

午後は、探求コースの参加者がワークを通してさらに学びを深める「ゼミ活動」を行いました。子どもや自分にとって「安心・安全と感じられるときは?」という問いや、子どもとの関わりの事例をとりあげ、参加者同士の対話を行いました。

参加者の感想 なつきちゃん

子どものことを真剣に考えている大人がこんなにたくさんいると知って、しかも近い地域にいらっしゃることもわかり、すごく嬉しかったです。繋がって関わって、何か変化が起こるかも!?という期待がムクムク。そして、すべてのプログラムが受容的で優しい時間でした。出会ったばかりであっても、みんなが意識し、共有できるものがあれば安全な場は作れるのだなぁと思いました。


CforC2023では今後も、様々なフィールドで子どもと関わる実践者や専門家の方を講師に招き、学びを深めていきます。

執筆:西角綾夏


基礎コース後期の参加者募集!

CforC2023の基礎コース前期・探求コースは、募集を締め切っていますが、基礎コース後期の参加者は10/27(金)まで募集しています。
後期は、子どもとの直接的なかかわりからぐっと視点を広げ、市民性の大切さ、コミュニティやまちづくりをテーマとして取り上げています。ぜひご応募ください!また、関心がありそうな方にもオススメしていただければ嬉しいです。

CforC2023詳細はこちら!
https://www.pieces.tokyo/cforc2023lp

基礎コース後期の申込はこちら!
https://cforc2023kiso.peatix.com/

【コラム】夏休み明け、子どもたちの「こころの声」に耳を傾ける

夏休みなどの長い休みが終わるとき、新学期にワクワクしたり、ちょっぴり憂鬱な気持ちになったり、嫌だな、行きたくないなと感じたり、普段生活している場所以外の選択があることにほっとしたり、さまざまな気持ちが出てくるかもしれません。

そういった気持ちをもつことは特別なことではなく、どんな気持ちも子どもたちの大切な気持ちであることに変わりはありません。
そんな中、しんどい、憂鬱だよ、休みたい、という気持ちを、周囲に安全に話せる環境が少ないと感じている子どもたちもいるかもしれません。

どんな気持ちか言葉にしづらいとき、子どもたちはからだやこころの変化をサインで教えてくれることがあります。それはもしかしたら、その子が安全ではないことの大切なサインかもしれません。サインが現れることはとても自然なことであり、子どもたちがもつ力でもあります。

自身の状態を教えてくれる大切なサインを私たち大人は大切に受け止め、子どもが1人だけで頑張る以外の選択肢とつながる道を、子どもの声を聴きながら子どもの周りにつくっていく必要があります。

からだやこころのサインとは?

【からだのサイン】

・ごはんを食べたくない
・頭がいたい
・お腹がいたい
・いつもより嫌な夢をみる 
・身体がちぢこまる
・息をすったりはいたりするのが早い
・身体に力が入らない など

【こころのサイン】

・外にでるのが不安になる
・なんだかイライラする
・自分が今どんな気持ちかわからなくなる
・だれかを頼る、相談することが難しくなる
・好きなことをやる気も起きない
・いつもよりだれかにあまえたくなる
・人のことがこわい
・自分のことを傷つけたくなる  など

※NPO法人ぷるすあるはとPIECESが協働で作成した『からだとこころのワークブック』から抜粋

子どもとのコミュニケーションで大切なこと

いつもと違うサインが出ているなと感じたときは、以下のことに気を付けて子どもたちとコミュニケーションを取ってみてください。

【言葉かけ】

・子どもの感情を否定せずに受け取る
子どもは言葉だけではなく、さまざまな形で自分の気持ちのサインを出しています。
さまざまな表現を丁寧に受け取り、子どもがどんな体験をしているのかを共有する安全な場をつくってみてください。

・子どものこころに声に耳を傾け、受け取る
自身の経験や判断、思い込みをちょっとだけ傍に置いて、子ども自身が何を感じ、どのような体験をしているか、声にしていない心の声に耳を傾けてください。
そして、教えてくれた体験や感情に対して、共有してくれた勇気への敬意を持ちながら、ジャッジすることなく「受け取ったこと」を肯定的に伝えてみてください。

・このような感情を抱くことは自然なことだよと伝える
子ども自身が「どうしていいか分からない」様子がある場合は、そのように感じることもとても自然なこと、そう感じることを共有してくれてありがとうということを伝えてください。
そして話したいタイミングで話して大丈夫だということ、一緒に考える方法もあるということ、私も一緒に考えたいと思っていることを共有してみてください。

・選択肢の情報を共有する
「私以外にも、こんな人に聞いてみたり、こんな場所に行ってみる、こんな選択肢もあるみたいだよ」とうことを、押し付けるのではなく、子どもがどうしたいかを大切にする姿勢で共有するなど、選択肢の情報共有もとても大切なことの一つです。

また、今が安全でないと感じたり、もし死にたい気持ちが強い、自分を傷つけることがやめられない場合は、子ども自身に安全について丁寧に共有し、まず安全を確保しましょう。

【行動】

・習慣を大切にする
毎日行っている習慣や日課を大切にしてみてください。規則正しい生活(いつもと同じ時間に寝る、ご飯を食べるなど)は安心感に繋がることがあります。

・やっていること、できていることに目を向ける
歯を磨いた、ご飯を食べた、好きなことをした、漫画を読んだ、疲れたから横になった、深呼吸したなど、私たちは負荷がかかっている時でもたくさんのことをしています。
そういったできていることに目を向けて見てください。書き出したりリストにしてみることも方法の一つです。

・子どもの声を聴く環境をつくる
大人が伝えるだけではなく、何より子ども自身の考えや感じていることを聴くことを大切にしてください。
今日と明日で意見が変わるのも自然なことです。それを子どもと共有し、安全に声を出していいと思える環境をつくってみてください。
子どもにかかわることは、子どもの考えをまず聴き、話し合って一緒に決めるようにしましょう。

・「やりたい」を尊重する
子どもの「やりたい」という気持ちを尊重する時間を作ってみてください。

子どもの力を信じてかかわる

どんなに小さくても、子どもは尊厳ある一人の人間です。
大人がそうであるように、それぞれの考えや視点、感情をもっています。子どもたちの声に耳を傾け、尊重することから心地よいコミュニケーションが始まります。
また、人の心は揺れて変化します。今日と明日で違うことを伝えてくれることも大切に受け取りましょう。

一人の権利主体であり、尊厳ある「人」として子どもと関わることで、関わる大人自身の中に葛藤が生まれることもあるかもしれません。自身の葛藤も大切にしながら、関わる大人もまた、自分が一人の人として大切にされたり、ケアされる時間をつくってください。

執筆:小澤いぶき


2022年の小中高校生の自殺者数が514人と、統計がある1980年以降で最多となったことが厚生労働省より発表されています。

厚生労働省(警察庁「自殺統計」より厚労省自殺対策推進室作成)

厚生労働省(警察庁「自殺統計」より厚労省自殺対策推進室作成)

特に、夏休みなど長期の休み明けは、子どもたちがさまざまな感情を抱き、不安定になりやすい時期です。
18歳以下の子どもの自殺は長期休業明けに増える傾向があるとして、文部科学省や厚生労働省は注意を呼びかけています。

子どもたちの安全な環境と選択をつくるのは社会の責任でもあります。
子どもたちは私たちのすぐ隣で暮らしており、私たちの振る舞いや関わりは、子どもたちの暮らしに影響を与えているからこそ、子どもを尊厳ある一人の人としてみつめ、子どもの「こころの声」に耳を傾け、子どもと共にある社会と日常を育んでいくくことが大切です。

子供のSOSの相談窓口(文部科学省)
こどもの相談窓口
子どものこころのケアに役立つ資料(兵庫こころのケアセンターより)

「子どもの権利とウェルビーイング」に関する提言を行いました。

写真提供:Save the Children

2023年5月19日~21日で開催されたG7広島サミット(主要7カ国首脳会議)。PIECESはG7の公式エンゲージメント・グループである​​Civil7(C7)の運営を担うG7市民社会コアリション2023の幹事団体として活動しています。

5月21日(日)に、国内外のNGO・NPOが広島に集まり、G7首脳会合に向けて市民の声を届ける「NGOスペース」にて、PIECES代表理事の小澤いぶきが「子どもの権利とウェルビーイング」に関する提言を行いました。当日は、Save the Children Japanの西崎萌さん、NTTコミュニケーション科学基礎研究所の渡邊淳司さんにもゲストとしてお越しいただきました。

提言の背景

近年、各国において「子どもの権利条約」を基盤として、子どもの最低限の生活の実現に留まらず、子ども個人の尊厳と人権を尊重したこどものウェルビーイングの実現が重要視されるようになりました。

複数の研究において、思春期以前のメンタルヘルスが、思春期以降のウェルビーイングや、心身の健康状態、大人になってからのその人の経済状況に影響を及ぼすことが示唆されています。また、子どもの権利とウェルビーイングの関係も複数の研究で示唆されています。

例えばOECD(経済協力開発機構)の調査では、子どものウェルビーイングには以下の要素が重要であると示唆されています。

  • 楽観性(sense of optimism)

  • 主体的に社会に参画・働きかけられているという感覚(sense of agency)

  • ここに居ていいのだという感覚(sense of belonging)

これらは子どもの権利に関わる問題でもあり、子どもの保健福祉医療教育を含むあらゆる分野が関わっています。しかし、日本においては、例えば以下のような実態があります。

  • 子どもの権利条約が認知されていない

  • 子どもの意見表明や参画の機会が限られている

  • 子どもの精神的幸福度が低く、自殺率が高い

  • 特定の環境や状況にある子どもや、難民の子どもが安全に暮らしたり、保護者とくらす、あるいは適切な養育環境での権利が侵害されている

また日本では、子どもの健康に関して身体的には比較的良好な状態であることが知られていますが、精神的な幸福度は低いこと(ユニセフの幸福度調査では精神的健康は38か国中37位)、10代の死因の1位が自殺であることなどが調査から分かっています。

2021年の国民生活基礎調査では、12~19歳の女性の40%、男性の31%が悩みやストレスを抱えていると答えており、2021年の全国調査では小中学生の約10%にうつ症状があり、10%以上の子どもは直近一週間に死にたい気持ちを感じたり実際に自分の身体を傷つけたと答えていることなどがわかってきています。

提言の内容

上記の現状を踏まえ、世界のさまざまな地域との協働のもと、日本においても子どもの権利の認知の拡大及び実質的保障を進めること、子どもの権利に基づくウェルビーイングの充足の実現に向けた取り組みが急務であると考え、以下の提言を行いました。

1.子どもの権利条約の周知と促進を、子どもと共にさまざまな地域や人との協働の元に行う。

ウェルビーイングは、学校のみならず、子どもが生活するあらゆる場面で実現されることが重要である。子どものウェルビーイングは、子どもの権利が土台となるため、子どもの権利が社会の文化となり浸透することが必要である。そのために、政府としても子どもの権利を保障し、普及啓発を推進することが求められる。

2.子ども若者の参画のもとで、子どものウェルビーイングについての検討、取り組み、可視化を行う。

子どものウェルビーイングに関する取り組みは、子ども同士や子どもと大人の対話、言語や文化の違いを超えたコミュニケーションを通して行われることが望ましい。そこで、子どものウェルビーイングにとって何が重要な要素であるかを、子ども自身が自ら体験し、考え、可視化・提言する機会をできるだけ多く、多様な人々と創ることが求められる。

当日の様子

西崎さんからは、Save the Children Japan で3000人の子どもたちの声をきいて行った調査の結果と、そこから見えてきた子どもの権利に関する現状や、子どもと大人の権利の尊重に対する認識の違い、子どもの声を共有いただきました。

渡邊さんからは、ウェルビーイングの要因が書かれた「わたしたちのウェルビーイングカード」を使い、中学校で行ったウェルビーイングを可視化し共有するワークを共有いただきました。大人からは出てこない発想がカードに反映されていく事例も教えていただきました。

小澤からは、これまでのPIECESで行ってきた子どもの権利を子どもや子どもに関わる大人が体験し対話する取り組みや、市民性を通した子どもや子どもに関わる私たちのウェルビーイングに関する取り組み、複数団体とともに行った国を超えて子どもたちが大切にしていることを聴き合い共有し合う企画、子どもの権利条約キャンペーンなどについての共有をしました。

参加者の声

写真提供:Save the Children

会見には子ども記者の方もいて「若者に対してのメッセージを伝えるとしたら何を伝えたいか」などの問いを投げかけてくれました。

また、他国の方からは「僕たちは、権利が当たり前ではない体験をしたから、市民社会がそれを当たり前にしていくためにさまざまな形で協働し、取り組んできたけれど日本はまだまだだとも感じる」といった意見や「今日話されたことを初めて知った。自分たちの企業でもぜひ話して欲しい。何ができるかを考えたい」といった提案などの声もいただきました。

「自分の見ていないことを見ようとしないと、誰かのことをまるでいないかのように扱ってしまうかもしれない。だから見えていないことがあることに気づいていくことが大事だ」という大切な視点も共有いただきました。


子どものウェルビーイングを考えるプロセスに子ども自身が関わり、子ども自身の声が大切にされることの重要さ、子どもの権利の周知と、権利の尊重を進めていくことの重要さをさまざまな観点から共有する時間となりました。

PIECESでは今後も、市民性を通して、一人の人として、自分の心を大切にしながら、子ども、そして地域、社会に関わる営みを育んでいきます

執筆:小澤いぶき